スマホ市場はかつてないほどの成長鈍化、一筋の望みは何だ
米国の市場会社IDCがまとめたレポートによると、世界におけるスマートフォンの年間出荷台数は、昨年(2017年)の約15億台から、2021年には約17億台となる見通しだ。
ファブレット、2019年には5割超に
その2016年から2021年までの年平均成長率は3.0%と、かつてのような高い水準ではない。しかしこの市場では、“ファブレット”と呼ばれる、ディスプレーが5.5〜7インチの大型端末が急速に伸びている。
同社が推計する、昨年のファブレット世界出荷台数は6億1100万台。これが今後、年平均18.1%の成長率で伸び、2021年には10億台に達するという。
一方で、ディスプレーサイズが5.5インチ未満の、これまで一般的だった画面サイズの端末は減少していくと見られている。2012年時点では、ファブレットの全スマートフォン出荷台数に占める比率はわずか1%だった。しかしこれが、昨年は4割に達し、2019年には5割を超えるとIDCは見ている。
中国はファブレットでも世界最大市場
そして、その急成長を支えている主な要因は、米グーグルのOS(基本ソフト)「Android」を搭載するファブレット。
しばらくの間、この分野では、いち早く大型端末を投入した韓国サムスン電子が市場を支配していた。しかし、それも今や昔の話。昨今は、世界最大のスマートフォン市場である中国で、数多くの地場メーカーがAndroid搭載ファブレットを手がけ、販売を伸ばしている。
2016年はファブレット世界出荷台数の5割を中国が占めた。この傾向は今後も続き、同国は、大型スマートフォンの分野でも世界最大市場であり続けると、IDCは指摘している。
消費者は、動画、ゲーム、ソーシャルメディアなどを、かつてより多くスマートフォンで楽しむようになっている。こうした状況で、大きなディスプレーは、端末購入時の重要な要素になっているという。
アップル、iPhone Xなどが奏功しプラス成長か
米アップルも同様にファブレット分野で躍進している。IDCの推計によると、iPhoneの「Plus」モデルと「iPhone X」を合わせた出荷台数は、iPhone全出荷台数の41.2%を占める。そして、この数値は2018年に、50%以上になるとIDCは見ている。
iPhoneの2018年モデルについては、早くもiPhone Xの大型版が登場するとの観測が出ている。これが事実ならば、アップルにおけるファブレットの比率は、さらに拡大するだろうと、IDCは指摘する。
最後にiPhoneの販売実績について見てみよう。その2016年における年間販売台数は、2億1539万5000台で、前年実績から約7%減少した。
しかしIDCの推計によると、2017年はプラス成長に回復。同年発売した、「iPhone 8」「同8 Plus」とiPhone Xがアップルの業績向上に寄与したはずだとIDCは見ている。2017年におけるiPhoneの前年比伸び率は2.4%にとどまるが、2018年はこれが8.1%になると予測している。
(このコラムはJBpress2017年12月2日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報などを加えて編集したものです)