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子連れ母がフードコートで「私だって好きなものを食べたい!」で共感続出 なぜこんなことに……

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

フードコートに子連れ

フードコートはよく利用しますか。

小さい子どもがいる家族であれば、ショッピングモールなどにあるフードコートに訪れることが多いのではないでしょうか。

フードコートで食事するある家族に関する投稿が反響を呼んでいます。

フードコートにて4歳位の男の子とその両親が食事をしてる。「ママだって好きなラーメン食べたいわ!」と語気強めの声が聞こえたので見ると、子どもがマクド◯ルドのハッピーセットを食べてて奥さんはそれをシェア(フォロー)してる感じ。ご主人は二郎系の大盛りラーメン。 色々察する。

出典:@shu_izumi1983(X)

共感の声が続々

投稿の中身は、幼児を育てている母親に関するもの。

母親と父親、4歳くらいの男の子がフードコートに訪問。父親は大盛りラーメンを食べており、母親は子どもが喜ぶハンバーガーショップのセットを一緒に食べています。そこで母親が、自分だって好きなラーメンを食べたいと主張していたというのです。

これには大きな反響がありました。

「父親は自分の食べたいものを食べる」「外食では自分の分は注文せず、子どもの食べ残したうどんを食べていた」から、「食べ物だけは譲れないから子どもと自分の分は別々に頼む」までありますが、基本的に共感する声がほとんどです。

フードコートのルール

飲食店では1人1品オーダーするのが基本。ファインダイニングであれば、入店には中学生以上などの条件が設けられており、大人と同じコースを注文する必要があります。カフェであれば、料理ではなく、ドリンクのオーダーでもOKというところがほとんど。ブッフェであれば、未就学児や幼児以下は無料になっていることが多いです。

フードコートでも1人1品のオーダーが基本で、そこに属している店舗から購入したものを食べたり、飲んだりする場合にだけ、テーブルに着くことができます。フードコートは商業施設内に設けられていることが多いですが、フードコートの中に設けられているテーブルや椅子は、商業施設を訪れた人に無償で提供しているのではありません。あくまでも店舗で購入した人が飲食できるようにしているのです。

今回の場合は母親が子どもとシェアしており、件の投稿内容から推察すると、3人で2品を注文したのでしょう。子どもは幼児なので母親と料理をシェアするのは仕方ありませんが、できるようなら、何かドリンクも注文して、3人で3品オーダーした方がよかったかもしれません。

フードコートの特徴

フードコートは通常の飲食店とは異なります。いくつもの店舗が集まっており、それぞれが好きな店舗で、好きなものを食べられるのが魅力です。小さな子どもがいて食べ物に制約が多かったり、好みが分かれてしまい店舗が選べなかったりする場合には、とても重宝します。

年齢制限がないのも気軽です。乳幼児を連れて行っても全く問題ありません。通路などの空間も広いので、ベビーカーでも入れます。フルサービスではなくセルフサービスであり、ワイワイガヤガヤと賑やかなので、スタッフに気を使ったり、必要以上に子どもを宥めたりしなくても大丈夫です。

フードコートは子どもがいても安心して利用できるので、子連れには心強い味方。こういったことで、件のファミリーも利用していたのでしょう。

ちなみに、栄養の偏りやカロリー過多、濃厚な味や添加物の使用などから、外食は子どもによくないという考え方もあります。ただ、その一方で、知らない料理や味を知るきっかけとなったり、色々なものから選べたり、マナーや他の人との関わり方を覚えたりするメリットもあるのです。

子どもとの食事

子どもと一緒に食事する場合には、不確定要素がつきまといます。子どもは、その時の体調や気分、環境や状況に大きく影響されるので、何をどれくらい食べられるのか、親でも正確に予測するのは難しいところです。

幼児が食べる時には、大人が面倒をみなければなりません。子どもがある程度一人で食べられるようになっていたとしても同様です。食べやすく切ったり、食器の位置を調整したりする必要があります。食べ物をこぼしたり、コップを倒したりしないように、注意もしなければなりません。

子どもの食事を円滑に進め、空腹を満たしてあげることが最優先なので、親は自身の食事が後回しとなり、味わって食べることなど、ほとんど無理でしょう。

食べ残しに対する意識

無理して食べ過ぎて体調を崩す必要はありませんが、食べ残すことがもったいないと思ったり、悪いと感じたりして、食べ物を残さないように考えたり行動したりすることは健全です。

子どもが全部食べられないと思えば、最初からシェアして食べようと思うのは自然なこと。食べ物を平気で残すことがよくないと子どもが学び、食育にもつながります。

無関心が原因

今事案が起きた原因は、母親だけが、食べ残さないようにと努力していて、父親は食べ残しに無関心だったからではないでしょうか。

もしも、父親も、食べ残しがないようにしなければと考えていたら、自分も責任を感じて一緒に食べていたはずです。そうすれば、母親は子どもの分をあまり食べなくてすむようになり、好きなものを選んで食べることができました。

そこにいるみんなが、食べ残しに気をつけていなければ、誰かに皺寄せがくるのは当然のことです。「名もなき家事」という言葉がよく聞かれますが、母親が今回は「名もなき育児」や「名もなき食育」をこなしていたように感じます。

共食の役割

共食とは一緒に食卓を囲んで共に食べることです。平たくいえば、誰かと一緒に食事をすること。友人や親類と食事することもあると思いますが、子どものいる家庭であれば、共食の機会が多いのは家族となるでしょう。

「食育」ってどんないいことがあるの?/農林水産省

共食をするとどんないいことがあるの?/農林水産省

子どもの共食は非常に重要であり、自己評価が高くなったり、栄養をバランスよくとれたりします。共に食べる人たちとコミュニケーションをとり、絆も育まれることでしょう。

親であれば、共食の重要性を知り、子どもとの食事では、子どもにもっと関心を向ける必要があるように感じられます。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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