「ヒアリ」上陸~正しく怖がるために知っておくべきこと(最終更新17年7月23日)
追記(7月23日最終更新)
6月23日にこの記事を書いたのち、ヒアリが各地で見つかっています。
以下環境省の新着情報です(ヒアリが確認されたもののみ)。
- 茨城県内におけるヒアリの確認について(7月16日)
- 横浜港におけるヒアリの調査状況報告について(7月14日)
- 神戸港におけるアリの調査状況報告について(7月14日)
- 東京港におけるヒアリの調査状況報告について(7月13日)
- 愛知県内におけるヒアリの確認について(7月10日)
- 東京港におけるヒアリの調査状況報告について(7月7日)
- 東京港におけるヒアリの確認について(7月6日)
- ヒアリに関する諸情報について(7月6日)
- 兵庫県内におけるアリの調査状況報告について(7月5日)
- 大阪港におけるヒアリの確認について(7月4日)
- 大阪港におけるヒアリの確認について(女王アリの確認)(7月4日)
- 名古屋港におけるヒアリの確認について(6月30日)
ヒアリの日本定着の可能性が高まっており、まさに瀬戸際という状況です。しかし、今迅速な対応をとれば、定着を防ぐことができます。
首相官邸は閣僚会議を開催しました。
ヒアリ拡大を防ぐために、私たちも関心をもって情報を追っていく必要があります。
以下に重要リンクを掲載します。
- ヒアリに関する諸情報について(環境省)
- ヒアリ対策関係閣僚会議
- ヒアリに刺された場合の留意事項について(厚生労働省)
- ヒアリに関するFAQ(国際社会性昆虫学会日本地区会(JIUSSI))(もっとも情報が正確で詳しく、更新もなされており、必見サイトです。ブックマークしましょう。)
- ヒアリの簡易的な見分け方(暫定版)(環境省)
- 危険な外来生物ヒアリ(東京都環境局)
- 『ヒアリの生物学』でヒアリの生態を知る
重要だと思われる記載を引用します。
なお、一部「ヒアリで人が死ぬことはない」との報道がなされていますが、ヒアリの死亡例はあります。年間100名死亡が根拠が乏しかったというだけです。
過小評価せず、かつ、過剰反応せず、正しい情報で正しく怖がっていただきたいと思います。
「最凶」の蟻、日本上陸
「その日」は唐突にやってきた…
数年間から、関係者が警戒していた小さな生き物…小さくても凶暴すぎる蟻、ヒアリが、ついに日本国内から発見された。
これを受け、コンテナが置かれていた神戸市のポートアイランドを調べたところ、ヒアリが見つかった。
どうやらこのヒアリたちは、既にヒアリが定着している中国でコンテナに迷い込んだようだ。幸いまだ迷い込んだだけで、日本に住みはじめたわけではないようだが、サナギまでいたとなると、日本にすでに侵入している可能性も完全には否定できないし、これからもこうしたケースは出てくるだろう。
なぜヒアリは怖いのか
しかし、どうして蟻の発見がニュースになるくらい大きな話題になったのだろう。
ヒアリは漢字では「火蟻」と書く。英語でもfire ant、文字通り火の蟻と呼ばれている。問題になっているのはfire antのなかでも「Solenopsis invicta(S invicta)」で、体長はわずか2-6mm。こんな小さな蟻だが、極めて凶暴(人間の勝手な言い草ではあるが)だという。
家畜を死傷させ、また、刺された人が死亡するケースもある。公園など人がいるそばに巣をつくるため、子どもや老人が被害を受ける可能性があることが危惧されている。
経済的な被害も甚大で、アメリカでは年間5000億円もの被害が出ているという。
原産地は南アメリカ。亜熱帯、温帯でも生息できるため、現在環太平洋地域に広がっており、日本はヒアリがいる国に包囲されていると言っても過言ではない。
アメリカでは、環境科学の名著と言われる「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著)が、ヒアリの拡大のきっかけを作ったと言われているという。
ヒアリに刺されたら…
もしヒアリに刺されたらどうすればよいだろうか。
基本的には、ハチに刺されたときと同じ対応であり、ヒアリ特有の対策が必要というわけではない。
しかし、ハチに刺されて亡くなる人は年間20人もいる。現段階でヒアリに刺される可能性のある人は、ハチに刺される人よりはるかに少ないし、軽症で済むことがほとんどだが、命の危険にさらされる可能性があることは肝に銘じたい。
以下の資料を参考にされたい。
ヒアリの毒が死をもたらすのは、アナフィラキシーを引き起こす可能性があるからだ。
アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」をいい、これに血圧低下や意識障害を伴うと、アナフィラキシーショックという(日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドラインより。こちらからダウンロード可能)。
ちょっと難しいので、簡単に解説すると、ヒアリと接触して皮膚や粘膜が赤くなり、じんましんが出る、かゆくなる、息が苦しくなる、ふらつく、意識が遠のく、吐き気がする、吐くといった症状があらわれた場合、アナフィラキシーと考える。
そういう症状が出た場合、横に寝せ、すぐに助けを呼ぶ(救急車を呼ぶ)ことが必要だ。
救急隊が到着するまでは、仰向けにして足を30センチメートル程度高くする、呼吸が苦しいときは状態を起こす、吐いているときは顔を横向きにするといった対処で、息ができるようにする。急に立ち上がるのは禁物だ。
ヒアリに接触する可能性がある人で、過去にハチに刺されたことがある人など、アナフィラキシーの経験がある人などは、アドレナリン自己注射薬(商品名エピペン)を携帯することが効果的な場合がある。また、抗ヒスタミン薬の内服薬を持っておくことも効果的かもしれない。いずれも、医師に相談してどうするか決めてほしい。
ヒアリに関心を
ヒアリの侵入を防ぐため、ヒアリは「特定外来生物」に指定されており、飼育、運搬等が禁止されている。違反すると最大懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が課される。
今から9年もまえ、2008年に発売された「ヒアリの生物学 ―行動生態と分子基盤―」(東正剛・緒方一夫・S.D.ポーター 共著 海游舎)のウェブサイトの紹介文には以下のように書かれている。
ヒアリが国内で見つかった今、まさに定着を防ぐ瀬戸際にあると言っても過言ではないだろう。ヒアリの定着を防ぐために、環境省や農林水産省、国土交通省、自治体の方々のご尽力をお願いしたい。
こんな記事を書いている私自身、最近までヒアリのことを知らなかった。
ヒアリの侵入、定着が現実的な危機になっている今、私たちはヒアリに対する関心を持ちつづけ、過剰反応せず、とはいえ無視、軽視せず、冷静にヒアリを恐れていきたい。