【ハワイで愛される日本のアニメ・特撮の今とは?】あなたの大好きに会える!キャラクター大国ハワイの魅力
みなさま、こんにちは!
文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。
早いもので3月に入りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回のテーマは「海外進出」です。
グローバル戦略を筆頭に、よく企業プレゼンテーションやネット報道等で目にするこの「海外進出」という言葉ですが、その形は実に様々。
例えば、日本の「キャラクター」。海外における日本のマンガやアニメ、特撮作品の人気が叫ばれて久しいですが、これらの作品に登場するキャラクターグッズも、海外では日本でも販売されていた物がお店に並んでいたり、現地向けに新しい商品がお店で販売されている光景も、今では珍しくはありません。
異国情緒溢れる国を訪れた結果、自分が幼少期から馴染んできたキャラクターが現地に浸透している様子を見ると実に不思議な感覚ですが・・・。
これらキャラクターの海外進出で面白い点は、単に日本でお馴染みのキャラクターを現地に持ち込むだけで無く、現地の風俗習慣に溶け込めるようなアレンジ(いわゆる「ローカライズ」)をされた上で、地元で存在感を発揮していることだと思います。
私達日本人にとって大人気観光地である米国ハワイ州では、現地のコンビニ(ABCストア)で『ポケットモンスター』や『鬼滅の刃』の関連商品が販売されているほか、空港内(ダニエル・K・イノウエ国際空港)の本屋さんや、ターゲット等のスーパーマーケットでも『SPY×FAMILY』のコミックスやフィギュアの購入が可能です。
現地で暮らす人達にとっても、これだけ身近な存在として日本のキャラクター達が浸透しているハワイ。ハワイと日本のキャラクターとの交流史を振り返ってみても、特撮ヒーロー番組の出演俳優が名誉市民に選定されたり、日本のキャラクターと州観光局とのコラボレーション企画が度々行なわれたりと、その繋がりは極めて深い関係にあります。
そこで今回は、米国ハワイ州での日本のキャラクター達の活躍について、少しお話をしていきたいと思います。
※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」「ハワイに行ったことがない」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けたらと思います。
【そもそもハワイってどんなとこ?】コンビニにはポケモン!空港にはゴジラ!日本のキャラクター天国・ハワイの魅力とは?
日本のキャラクターとハワイとの関係についてお話しをする前に、少しだけハワイのことをご紹介をさせてください。
ハワイは太平洋に浮かぶ島々によって構成されている(ハワイ)諸島であり、アメリカ合衆国50番目の州です。西暦500年から800年頃にポリネシアの人々が現地にて居住するようになり、18世紀末には西欧人はハワイ諸島を「発見」したことに伴い、カメハメハ大王が彼らの武器を導入し、ハワイ諸島を統一してハワイ王国を建国しました。しかしこのハワイ王国はアメリカやヨーロッパ諸国をはじめとする他国からの干渉を受け続け、王国は滅亡。最終的にはアメリカに併合されて1959年に米国50番目の州となりました。
外国からの干渉による王国滅亡という悲しい歴史もあるハワイですが、この間にたくさんの国々からの移民がハワイへやって来ました。もちろん日本も例外ではありません。1868年(明治維新の年)よりたくさんの日本人移民がハワイへやって来ており、現在に至る日系人のルーツ、そしてハワイにおける多民族社会が形成されていくことになります。
戦後を経て、1960年の時点でハワイ州での日系人人口は20万3000人に達し、州総人口63万3000人の約32%を占める最大のエスニックグループとなりました。
そんな中、州内各局にて日本のテレビ番組の長時間放送を希望する声が現地の日系人達から高まっていくようになり、1967年に海外で初の日本語テレビ局である「KIKU-TV」が開設されました。当テレビ局の開設にあたり、KIKU-TVは日本からのテレビ番組の調達を開始しました。その際に時代劇やドラマ、バラエティ番組と並んで買い付けられたのが、日本の特撮ヒーロー番組でした。株式会社東映(以降、東映)制作の特撮ヒーロー番組『人造人間キカイダー』をはじめ、『仮面ライダーV3』や『秘密戦隊ゴレンジャー』、円谷プロダクション制作の『ウルトラセブン』等、各社が制作した特撮ヒーロー番組がハワイで放映されました。その中でも『人造人間キカイダー』は爆発的なヒットを巻き起こし、主演俳優の名誉市民化や記念日の制定等、ハワイの州政治や歴史に対しても大きな影響を及ぼすことになりました。
ちなみに『キカイダー』を放送していたKIKU-TV(外部リンク)は、現在も「20」チャンネルで日本のドラマやバラエティ番組を絶賛放送中。もし旅行中に日本のテレビ番組が恋しくなった際は是非。夜に視聴すると刑事ドラマやファミリードラマ、バラエティ番組と、放送内容は盛り沢山なのでお勧めです。
前述してきたハワイ州内の「キカイダー」ブーム以降も、現在までたくさんの日本のアニメ・特撮ヒーロー番組がハワイへ輸出され、現地での放送や関連商品の販売等、現地の人々に向けて様々な展開が行なわれてきました。
それだけでなく、日本のキャラクターとハワイ州観光局(外部リンク)とのコラボレーション企画も幾度も行なわれてきたほか、ハリウッド映画のロケ地としても有名な「クアロア・ランチ」でも、怪獣ゴジラ(ハリウッド版)の足跡も残されている等、その形跡は現在まで様々な形で残されています。
またハワイは、現地での生活と日本のキャラクターとの距離が非常に近いのも特徴で、コンビニ(ABCストア)に行けばポケモンカードやフィギュア、ハローキティのぬいぐるみが販売され、これらの商品がお弁当や飲み物の買い出しついでに気軽に購入できるほか・・・。
空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)では、搭乗前に本屋さんで日本のキャラクターのコミックが購入できたりと、頻繁に目にとまるのが日本のキャラクター達なのです。
視点によっては、もはや「日本のキャラクター天国」と呼んでも差し支えないハワイですが・・・今回はそんなハワイの中でも、特に日本のキャラクター達との遭遇率の高い巨大都市・ホノルルに焦点を当て、現地での私の体験談も交えながら、ゆっくりお話をしていきたいと思います。
【ホノルル市ってどんな都市?】ゴジラも上陸したハワイ州内最大の都市の歴史と現在
さてここからは、ハワイ州オアフ島内・ホノルルについてお話していきたいと思います。
ホノルルは、ハワイ州の中枢部に位置する巨大都市。ココヘッドやご存知ダイヤモンド・ヘッドなど、数多くのクレーターが点在する火山地帯であり、昔のホノルル地区の大半は森と湖の広がる湿地帯でした。ホノルル地区内にある大都会「ワイキキ」も。ハワイ語で「水の湧き出る土地」という意味があり、19世紀までたくさんのタロイモの水田やフィッシュ・ポンド(養魚池)がつくられていました。しかしながら、ホノルルは都市として拡大していった結果、水田は次々と姿を消し、白人実業家達により干拓されてしまった後は、私達がよく知るリゾート地帯へと生まれ変わっていきました。
現在もコロナ禍を経て、少しずつですがホノルルにも日本人観光客が戻りつつあります。私も先日、数年ぶりに現地に里帰りしましたが、「コロナ前とコロナ後で何が大きく違うの?」と言われると、まず物価高騰に驚愕しました。ハワイはもともと物価が高い地域ではあるのですが、近年の国際情勢の変化や、円安等の為替の問題もあって、レジャー活動においても少なからず経済的な影響も発生しました。これまで10ドル以下だった映画のチケットは約14ドルに跳ね上がり、動物園や水族館等のレジャー施設で消費した額の高低差に、現地で驚愕する状況だったのです。
そんな現在のホノルルでも、変わらず大活躍しているのが日本のキャラクター達。本当は全部取り上げたいところですが、事例が多すぎるので、今回はハワイにおける日本のキャラクター達の「グッズ」に焦点を当て、「①商業施設」、「②スーパー」に絞ってお話をしていきたいと思います。
【S.H.Figuartsがアラモアナセンターに集結?】ハワイの大型商業施設で活躍する日本のアニメ・特撮キャラクターは?
まずは「①商業施設」ですが・・・ハワイ州内最大の大型商業施設である「アラモアナ・ショッピングセンター」(外部リンク)をはじめ、近年リニューアルオープンした「インターナショナルマーケットプレイス」(外部リンク)等、ホノルルには様々な大型ショッピングセンターがあります。
「アラモアナセンター」だけでも350店舗以上、「マーケットプレイス」だけでも100店舗もお店が入っている等、ホノルルの商業施設は他の地域と比べてお店の桁が違いますが・・・。そんなホノルルの商業施設の中でも、日本のキャラクター達は施設の中で存在感を発揮し続けていました。
例えば、「アラモアナセンター」内にある本屋さん「バーンズ・アンド・ノーブル・ブックセラー アラモアナ・センター店」(外部リンク)。当店は本屋さん、コーヒーショップ、レコード屋さんを内包している店舗なのですが、一般書や学術書、コミック、はたまたCDやDVD等も当店にて購入できます。(※当店は本屋さんかつ、周囲の環境の配慮及び静寂の確保のため、店内の写真撮影は一切行なっておりません)
上記のような外国産のテレビドラマや映画雑誌だけに留まらず、『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』を筆頭とする、英語翻訳された日本の人気マンガ作品が並べられたコーナーのほか、なんと日本のアニメキャラクターのアクションフィギュア(特にS.H.Figuarts、chibi-arts等)をずらっと揃えて1コーナーとなっている場所等、日本でも馴染み深いアニメ・マンガ作品が、同様にハワイでも勢揃いしている状況には親近感を感じたものです。
※今回ご紹介しているのは、『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』、『チェンソーマン』等の少年ジャンプの作品に絞っていますが、店内は全ての把握が困難なほど実にたくさんの日本のアニメ・マンガ作品の英語翻訳版コミックスやプライズフィギュア等が販売されています。お気に入りの作品がきっとあると思いますので、来店したら是非チェックしてみてくださいね。
またコロナ前後で感じた当店の大きな変化のひとつに、ウルトラマンや仮面ライダーといった日本の特撮ヒーロー番組のコミックやBlu-rayを目にする機会が増えたことも挙げられます。
ハワイ州でも「ゴジラ」や「パワーレンジャー(米国版スーパー戦隊シリーズ)」等のDVDやコミックが多数販売されていましたが、不思議とウルトラマンや仮面ライダーシリーズの関連商品を目にする機会は極めて限定的でした。しかし、「ノーブル」のような大型商業施設の本屋さんに、すぐ目に付く形で両シリーズの商品が置いてある・・・という状況が定番化したのは、やはり嬉しいもの。
仮面ライダーシリーズに焦点を当ててみると、上記の『仮面ライダーゼロワン(2019)』の米国市場向けコミックスの販売の他、歴代仮面ライダーシリーズBlu-rayの販売も米国では着々と進んでいます。(現在まで『仮面ライダーBlack(1987)』、『仮面ライダーBlack RX(1988)』、『仮面ライダークウガ(2000)』、『仮面ライダー龍騎(2002)』、『仮面ライダーゼロワン(2019)』がリリースされていますが、4月には『仮面ライダーギーツ(2022)』のBlu-ray BOXが発売予定です)
これまで、仮面ライダーシリーズをはじめ数多くの東映特撮ヒーローが米国へ進出してきましたが、時を経ながらさらに攻勢をかけている状況が嬉しくもあり、今後の現地での展開にも期待が高まります。
(※米国販売用のDVD・Blu-rayを買う前の注意点)
米国で販売されているDVD及びBlu-rayの一部は、日本とリージョンコードが異なります。つまり、日本のDVD・Blu-rayデッキでは再生できないソフトがあります。例えばアメリカのDVDのリージョンコードは「1」、日本のリージョンコードは「2」なので、アメリカのリージョンコード「1」に対応できるデッキが必要となります。事前に自分が欲しい米国のDVD、Blu-rayのリージョンコードを確認し(通常はパッケージの裏側に表記)、自宅のデッキで再生できるか確認をしておくと便利です。また海外DVDを再生できるデッキも、ネット通販等、国内で購入が可能ですので、ご参考にして頂きますと幸いです。
【ドンドンドン♪ドンキー♪】スパイファミリーからセーラームーンまで!コミックもBlu-rayも揃う!ハワイのスーパーの魅力とは?
さて、ここまで「①商業施設」で活躍する日本のキャラクターについて概説してきましたが、彼らの活躍の場は「②スーパー」にも及んでいます。私達が暮らす日本でもたくさんのスーパーがあって、そこで雑貨や食料品、本や玩具(食玩)が購入できるように、ハワイでも「ウォルマート」や「ターゲット」、さらに日本から「ドン・キホーテ」といったたくさんのスーパーマーケットが存在します。
そんな数あるハワイのスーパーでも、数多くの日本のキャラクターに出会うことができます。その中でも、特筆したいのは「ターゲット」(外部リンク)。
この「ターゲット」とは、アメリカの大型ディスカウントストア。食料品から生活雑貨、玩具やDVD、レジャー用品まで何でも揃っており、私も現地の生活において大変お世話になっているスーパーですが・・・。
実はこのターゲット、日本のキャラクター商品もたくさん販売されており、店内では「SPY×FAMILY」や「セーラームーン」のBlu-ray BOXも気軽に手に取ることが出来る上、比較的コンパクトな価格で購入することが可能です。
そんな魅力的な「ターゲット」の商品の中でも、当スーパー内の一画を占める程に注力されている玩具があります。それがアメリカの玩具メーカー「Funko」社の代表商品「FUNKO POP!」です。当商品は国内外の人気映画やドラマ、アニメ作品に登場した様々なキャラクターや著名人達を全長約13cmの大きさで立体化した人形シリーズ。日本からも『鬼滅の刃』や『ドラゴンボール』といった人気アニメシリーズのキャラクターや、『スーパー戦隊シリーズ(米国名:Mighty Morphin Power Rangers)』のキャラクターが商品化されています。
そんな「FUNKO POP!」商品の中でもコレクター泣かせなのが、「ターゲット限定商品(Target Exclusive)」の存在です。一般販売品だけで無く、ターゲットをチェックしなければ、真のコンプリートには行き着かない故、作品フィギュアを収集しているファンにとって「ターゲット」は正に「関門」と呼べるのかも知れません。
ここまで、ハワイの商業施設やスーパーにおける日本のキャラクターの活躍について上述してきました。今回はホノルルに絞ってお話しをしていますが、ハワイの魅力は当然、ホノルルだけに留まりません・・・。
ホノルルから出ればゴジラやキングコング達に会える、日米怪獣ファンにとって聖地とも呼べる場所があるのですが、これはまた次の機会へ譲りたいと思います。
いよいよGW(ゴールデンウイーク)の予定も立てたくなるこの季節。家族旅行先のひとつとして、たくさんの日本のキャラクター達とも遭遇できるハワイも非常に魅力的な場所のひとつだと思います。
最後までご覧頂きまして、誠にありがとうございました。
(おまけ)旅の注意点
・ハワイでの生活において、私が苦戦したのが「トイレ」の問題です。日本では公園の公衆トイレの利用や、店員さんにお願いしてコンビニのトイレをお借りすることができますが、ハワイでは状況が異なります。一部の商業施設やレストランのトイレは暗号式になっており、施設やレストランを利用した人達でしか入室できない仕組みになっています(ご利用の際は店員さんに確認を)。治安も日本とハワイでは全く異なる上、公衆トイレも時間を過ぎれば閉鎖されますので、ご注意ください。
・また、ハワイは夜10時以降の外出は大変危険です。夜のホノルルはパトカーのサイレンが毎晩鳴り響くような状況なので、深夜までの外食の際は、タクシーがお勧めです。「Hawaii Hana Taxi (ハナタクシー)」(外部リンク)等のタクシー会社に事前にコンタクトをとり、空港とホテル間の送迎や夜間の移動等、事前にタクシーの利用を踏まえたハワイ滞在の計画を立てると便利です。
(参考文献)
・アロハ検定協会、アロハ検定オフィシャルブック、株式会社ダイヤモンド・ビッグ社
・大場吾郎、「テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」、人文書院
・山下大樹・嶌田美智子(ノトーリアス)、「特撮ヒーローの常識 70年代篇」、双葉社
・勝野 宏史、研究最前線 ハワイの『キカイダー』ブーム : ファンダム研究の視点から、人間科学研究
・ジェフリー, A・S・モニーツ、多様な社会における多文化教育アプローチとしての多様な視点の尊重と涵養、教育学部論集 19
・吉田伸浩、「てれびくんデラックス ウルトラマンギンガS超全集」、小学館