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大坂なおみをアンバサダーに任命した資生堂は、なぜWTAファイナルズの冠スポンサーになったのか!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
資生堂・中国CEOの藤原氏とにこやかに写真におさまる大坂なおみ(写真/神 仁司)

 女子プロテニスツアーの最終戦・資生堂WTAファイナルズのオープニングマッチに登場した第3シードの大坂なおみ(WTAランキング3位、10月21日付け、以下同)は、ラウンドロビン(総当たり戦、以下RR)の初戦で、第6シードのペトラ・クビトバ(6位、チェコ)を、7-6(1)、4-6、6-4で破って幸先のいい1勝目を挙げた。

 2年連続2回目のWTAファイナルズ出場となった大坂だが、これがファイナルズでのマッチ初勝利となった。 

「もちろん今はとても嬉しいです。すべてのトッププレーヤーがプレーしている大会ですからね。過去には少し苦しんだ部分もありましたし。自分が大一番を制した選手のように感じます。高いランキングの選手とプレーするとき、なかなかうまくいかないこともあります。だからこそ、この大会は私にとって大きなチャレンジなのです」

 今年からWTAファイナルズは、昨年までのシンガポールから舞台を移して、中国・深センで開催されている。しかも2019年から10年間開催されることが確約されている。

 そして、WTAツアーで最も権威のある大会の冠スポンサーを務めるのが、日本の化粧品企業の代表格でもある資生堂だ。3年間冠スポンサーに就くことになった理由を、資生堂・中国地域CEOの藤原憲太郎氏は次のように語る。

「もともとWTAツアーの主旨に、女性の地位向上というのがありまして、われわれも化粧品会社なので、もっと女性をエンパーメントすることを活動としてやっていきたいと考えています。ぜひ、中国でも、やはり経済的価値だけでなくて、社会的価値も高めていきたいということで、このスポンサーシップを決めました」

 大坂が、資生堂のアンバサダーを務めていることも大きいだろう。まだ、22歳になったばかりの大坂は、この先約10年は世界のトップクラスで活躍できる可能性を秘めているからだ。

 今回深センで、大坂の勝利を目の前で見届けた藤原氏の喜びもひとしおだ。

「大坂さんは、われわれの商品のアンバサダーになってもらっています。(資生堂が)今回テニスのスポンサーを中国ですることになり、大坂さんが出られて、無事に勝てて本当に嬉しかったです。見ている方はすごいドキドキもしましたけどね(笑)」

 記者会見場の檀上の机には、マイクの前に日焼け止めなどの資生堂の商品が飾ってあったが、初戦のポストマッチインタビューを終えた大坂は、「これ、持って帰っていい?」と聞くと、笑顔でその商品を取り、結局飾ってあった4個全部持ち帰るというオチャメな行動をとって、藤原氏も含めて周囲の人間を和ませた。

 10月29日に行われるRR第2戦は初戦を勝利した者同士で行われ、大坂は、第1シードのアシュレイ・バーティ(1位、オーストラリア)との大一番に臨むことになった。ラウンドロビンを突破して準決勝進出を決めるための非常に重要な戦いになる。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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