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円安でカクテル1杯5850円!人気ルーフトップバーで泣くバンコクでバンヤンツリー第2の絶景バーが穴場

タイ旅行ライター吉田彩緒莉タイ大好きトラベルライター

タイ・バンコクと言えばルーフトップバー。既に観光名所の一つと言える。バンコクには「初めて訪れるならここ」という二大ルーフトップバーがあり、どちらかは訪れておきたいもの。

もちろんバンコクが大好きになり、リピーターになる!という方は、穴場から新しいルーフトップバーまで今後網羅できていくだろう。しかし最新ルーフトップバーがどんどんできているので、追いつけないかもしれない(笑)。そちらはYahooニュースエキスパートでも、慌ててご紹介していく予定だ。
しかし初めてのバンコク旅行で、バンコク二大ルーフトップバーが予算的にどちらもアウトの場合や、満席だった場合、バンコク旅行での目的を3分の1くらい損した気持ちにならないだろうか?
しかし、大丈夫だ。既に旅費予算不足でバンコク二大ルーフトップバーに行きづらい、いや行けない筆者が(哀)、バンコク二大ルーフトップバーに行けない時に出会った空中庭園のような絶景バーを合わせてご紹介したい。

バンコク二大ルーフトップバーとは?

「そもそもバンコク二大ルーフトップバーって何?」と思っている方も多いだろう。いや、バンコクそのものに興味がない場合は「何だそれ?」と思っているかもしれない。
バンコクは日本と異なり地震が非常に少なく、建築基準法も決して厳しいとは言えない。超高層ビルが乱立するようになってから、屋上にはものすごい勢いでルーフトップバーが進出。今や追い越せ追いつけとその趣き、ド派手さで競い合い、お得な穴場もあれば、既に話題で客だらけの最新バーもある。
バンコクで2大ルーフトップバーと讃えられるバーは今現在の「バンコクと言えばルーフトップバー」という確固たる地位を最初に築いてくれたバーで、今は大御所感たっぷり。ルーフトップバーの矢〇永吉と松任△由実みたいな感じだろうか(例え方!)。

一つはタイのルーフトップバーの元祖で、スリルある空間づくりが名物。バンヤンツリーバンコクのルーフトップバー「ヴァーティゴ&ムーン・バー」。もう一つは、ほんの少し前まで「世界一高い位置にあるバー」(同じバンコクのマハナコーンビル最上階や、香港の「OZONE」が出現し、2025年現在は世界一でない)として世界中にその名を轟かせ、映画『ハングオーバー2』の舞台になったルブアアットステイトタワーの最上階レストラン「シロッコ」にあるスカイバーだ。

ルブアアットステイトタワーのルーフトップバー「スカイバー」

バンコクで最も有名なルーフトップバーと言えば「ルブアアットステイトタワー」のレストラン「シロッコ」のスカイバーだろう。

名物の大階段をバックに映える写真を撮ることに旅行者が命を懸けている。自撮り棒が頭にぶつかったり、観光客の背中で夜景が見えないこともあるが、やはりバンコクでは一度は行かなくては、と思わせられるバーだ。
本来ならバンコクの壮大な夜景を眺めながら、静かにグラスを傾けたいところだが、スタンディングバーといことで、あまり長居ができない。いや、それだけではない。超円安が続く我ら日本国民は、それ以上に長く居られない理由がある。
まずはスカイバーの一番お得なカクテルの料金を知って驚いてほしい。
一杯のカクテルが最低1,100バーツ。これに加え10%のサービス料と、7%の税金が計上される。じゃ、じゃあ、おいくらなの?ゴクり...。

2025年1月現在、1,100バーツと言えば約5,000円。5,000円の17%は850円ということで、スカイバーで一番お得なカクテルは、1杯5,850円!チーン。

夕張メロンが入っているような凄いフルーツカクテルでなければ、シャンパンカクテルでもない。所謂、ジントニックとか、ウォッカソーダとか、言い方が悪いけれど、混ぜれば誰でも作れるカクテルが1杯5,850円なのだ。
「大丈夫!私アルコール飲めないから、ノンアルコールで!」

ですって!?
ノンアルコールドリンクも900バーツから!いかがだろう。地上の屋台の搾りたてのオレンジジュースを飲みたくなったんじゃないかな。

最近円安すぎて行ってない(笑)。だから遠影
最近円安すぎて行ってない(笑)。だから遠影

オープン当初はルブアアットステイトタワーではなく、メリタスというホテルだった。
オープンから10年間ほどは、友達とバンコク旅行をするたびに「バンコクに行ったらルブアアットステイトタワーのルーフトップバーなんでしょ!?」と同行者たちにせがまれ続け、そこまでハマっていないのにアテンドしていた筆者。だからそれなりに移り変わりは見守って来た。
オープン当時、制服姿の大学生が背伸びして彼女に奢るようなシーンを見ることができ、そんな姿を微笑ましく、見守ったこともある。それができる時代でもあった。あの頃は1杯のカクテルが350バーツから400バーツで、日本円も3円。遠い遠い幸せな日々だったなあ(遠い目)。
それが今ではタイの物価高で値段自体が3倍近くに跳ね上がり、日本人にとっては円安を入れて4倍強、というか約5倍に価格が高騰した感がある。とほほほ。

DATA
ルブアアットステイトタワー スカイバー
所在地:64th Floor, State Tower Bangkok, 1055 Si Lom Rd, Si Lom, Bang Rak, Bangkok 10500
営業時間:18時~0時
公式サイト:Skyber

まあ、行ける人はどんどん行ってもらうとして、筆者の場合は、徐々に年々上がっていくドリンク代と、年々衰える脚力から立ち飲みに疲れ(哀)、「座れる方がマシ!」とばかりに「ムーンバー」と並ぶバンコク2大ルーフトップバーの一つ、バンヤンツリーバンコクのルーフトップバー「ヴァーティゴ&ムーン・バー」に通っていたものだ。

バンヤンツリーバンコクのルーフトップバー「ヴァーティゴ&ムーン・バー」

最もお得なカクテルが、スカイバーの半額!もうこれだけで俄然行く気になるのが、バンコク二大ルーフトップバーのもう一つ!タイで一番最初にできたルーフトップバー「ヴァーティゴ&ムーン・バー」だ。
こちらは余分な空間を一切排除。細い板状のビルに入るバンヤンツリーバンコク最上階にあり、テーブルのすぐ下が空というスリル満点の空間が多いバー。宙に浮いている感覚をとことん味あわせてくれる。

コロナ禍前までは「座れる」という心遣いが好きで、日没のマジックアワーから夜景の時間へと移り行くバンコクの空を楽しんでいた。

所がだ!スタンディングバー形態ではなかったはずの「ヴァーティゴ&ムーン・バー」にコロナ禍以降、異変が起きていた。

確実に座れていた頃の「ヴァーティゴ&ムーン・バー」
確実に座れていた頃の「ヴァーティゴ&ムーン・バー」

久しぶりに「やっぱり立ちっぱなしのスカイバーより、ヴァーティゴ&ムーン・バーよねえ」などと言いながら、エレベーターで59階の「ヴァーティゴ&ムーン・バー」のレセプションに到着。ここからは螺旋階段で「ヴァーティゴ&ムーン・バー」のある61階に向かう。

ああ、やはりここだ、と安堵に似た気持ちで歩みを進めて驚愕。

「え?なんで立って飲んでいる人がいるの?」

ゲストが立ってカクテルを飲んでいる
ゲストが立ってカクテルを飲んでいる

スカイバーとは異なり、店の端の方は足元がすぐ空、という環境から、以前はスタンディングで飲むことは逆に許可されていなかったはずの「ヴァーティゴ&ムーン・バー」だが、立ち飲みの方が多数いる。
茫然としていると、スタッフにこう言われた。
「ご予約は?ご予約がない場合はお断りしています。」

えー?スタンディングで予約いるんかーい?

コロナ禍以前は、いつ行っても必ずどこかの席が空いていたし、1人や2人でも座れる今にも落ちそうなカウンター席はスリル満点で、たくさんのスペースが確保されていたが、席の配列がテーブルメインになった気がする。
また、バーエリアが満席の場合は、レストランの席に案内してくれることも多い、親切かつ、気の利くバーだったが、それは絶対にしない確固たる姿勢を圧を感じた(笑)。
仕方がない。バンコクはオーバーツーリズム。有名どころはどこも観光客で一杯なのだ。

DATA
バンヤンツリーバンコク ヴァーティゴ&ムーンバー
所在地:61th floor, 21/100 S Sathon Rd, Thung Maha Mek, Subdistrict, Bangkok 10120
営業時間:17時~午前1時
公式サイト:Moon Bar

バンヤンツリーバンコクにはムーン・バーより好きな場所がある!

筆者はバンヤンツリーに来ると、こんなことがあってもさほど慌てないし、まあいいや、と思える。なぜならバンヤンツリーバンコクには「ヴァーティゴ&ムーン・バー」より好きな場所があるからだ。
螺旋階段を降りると「ヴァーティゴ&ムーン・バー」に意気揚々と登っていく筆者を覚えていたホテルスタッフが「どうしましたか?」と尋ねてきた。あれ?強がってみたものの、やっぱりしょんぼりしていたのだろうか。恥ずかしい限りである(笑)。
「ヴァーティゴ&ムーン・バーはスタンディングバーになったの?それでも、予約しないと入店できないの?」と彼に尋ねると「いえ。今日は混雑していたので、お席の予約がない限りご案内できないのではないでしょうか?」とのこと。
どうしても「ヴァーティゴ&ムーン・バー」に行きたいという方は、今はもうこんな時代なので、予約をして行こう。スタンディングバーカウンターで待つことになるかもしれないが、それはもう仕方がない。
「大丈夫です。サフロン・スカイガーデンに行きます」と言うと、彼はにっこり笑って「良い時間を」と見送ってくれた。

ここは空中庭園か?「サフロン・スカイガーデン」

2018年頃、バンヤンツリーバンコクに泊まる機会があり「新しいバーがオープンしました」とチェックインの際、案内されたことがある。それが筆者と、この空中庭園との出会いだった。

52階のレストラン「サフロン」の店内を突っ切り、ドアを開けると、ねっとりとまとわりつく南国の風と、その風にそよぐ木々が迎えてくれる。
この瞬間、癒しのバーに一目惚れしてしまった筆者なのだ。

これ52階ですよ!
これ52階ですよ!

いや、本当によくぞこんなに素敵な空間を、高層ビルの52階に作ってくれたものだ。
今流行りのルーフトップバーは派手さで競っているが、ここは違う。たった9階しか違わない場所の喧騒と異なり、この静けさ。
ここでは静かにグラスを傾ける良いバーでの過ごし方を心得た大人が目立つ。

食事をする人はルンピニー公園側、ゆったり飲みたい方はチャオプラヤー川側

ルンピニー公園側は、スケルトンのおしゃれなテーブル席があり、食事に適したダイニングテーブル仕様のエリアが多い。

絶景が楽しめるホテルのバーとしては、かなりコスパの良いライトミールと、フローフローを合わせたお得なプランもあるようなので、そんな時にはこちらの席がおすすめ。

しかし、じっくりと飲むのであれば、柔らかいクッションが嬉しい、ソファ席が良いだろう。

カップル、夫婦、友達同士と2名であれば同じような絶景を眺めながら、ゆったりと寛げるシート配置。そして座席間隔のゆとり。大好きな席だ。

チャオプラヤー川の日没と、徐々に灯がともるバンコクの街並みに見惚れていただきたい。

ただし、あまりにもバンコクの夜景を静かに、そして誰にも邪魔されず堪能できるので、帰国前に来ると筆者はすぐ号泣してしまう。そのため、まだ帰国までに余裕がある頃、訪れるようにしている。それくらい静かなバーなのだよ!

新ラマ9世橋の美しい姿も

他にも少し背の高い椅子があるテーブル席があり、テーブル席やソファ席より人がいない。筆者は一人で来た際は、こちらで飲むことが多い。

いや、これ本当に良いのか?61階の人の多さを考えると、この環境が冗談みたいでしょう?
この絶景を全面的に自分たちだけで楽しめる環境がたまらない。これを知ってしまうと、他のルーフトップバーや絶景バーに行く気がなくなってしまうほど、今のバンコクでは基調で、贅沢なことなのだ。

更にこの席からは「新ラマ9世橋」の姿が。ライトアップも行われる美しい橋の姿には、うっとりすること間違いナシ。

サフロン・スカイガーデンのカクテルはヴァーティゴ&ムーンバーより安い

先ほど、バンコクで最も有名なルブアアットステイトタワー「シロッコ」のスカイバーと、バンヤンツリーバンコク「ヴァーティゴ&ムーンバー」の一番お得なカクテルの料金の比較を書いたがおさらいしよう。
バンヤンツリーバンコク「ヴァーティゴ&ムーンバー」の一番お得なカクテルは、ルブアアットステイトタワー「シロッコ」のスカイバーの半額程度だ。
では、サフロン・スカイガーデンはどうなのだろうか?「ヴァーティゴ&ムーンバー」より100バーツ以上安い。

400バーツ台で、カクテルがほぼ飲めてしまう。
そうなってくると、筆者はあえてあの、喧騒の、立ったまま飲まされるルーフトップバーに戻る気がしなくなってしまうのだ。
もしあなたが、スカイバーに行ったものの、料金に躊躇し、ヴァーティゴ&ムーンバーに移り、予約を忘れていた場合「もうバンコクの絶景なんて見たくないわい!」と諦めずに、ここでまったりとお酒を飲んでほしい。その方が、バンコクの夜景を堪能できるはずだ。ぜひお試しあれ。

一度に大量の客を相手にせずに済むせいだろうか。こちらのバーのスタッフはいつ伺っても、穏やかで優しいのが、これまたお気に入りのポイントだ。

DATA
バンヤンツリーバンコク サフロン・スカイガーデン
62th floor, 21/100 S Sathon Rd, Thung Maha Mek, Subdistrict, Bangkok 10120
営業時間:11時30分~23時
公式サイト:Saffron skygarden

最後までケチな部分を丸出しに語らせてもらう

「ああ、この人、お金ないんだな、可愛そうに」というユーザーの声をあえて正面から受ける形で、最後までケチ(しっかり者と言ってほしい)な目線で語らせていただきたい。
タイのホテルにあるルーフトップバーはおつまみが出ることが多い。サービス料に付随したちょっとした優しさだ。サフロン・スカイガーデンは、ヴァーティゴ&ムーンバーと同じ量、同じ種類のおつまみが出る。この時はグリーンピースやピーナッツだったが、日本のオカキの時もある。

結構なボリュームで種類も3種と意外にうれしい
結構なボリュームで種類も3種と意外にうれしい

ただし、ルブアアットステイトタワーのムーンバーは、造りから言って当初レストラン「シロッコ」のウェイティングバーとして登場したのではないかと推察する。それがいつの間にか、あのカウンターバーだけを訪ねるゲストが増えてしまった。
100歩譲ってそのせいだと思いたいのだが、ムーンバーでおつまみのようなものは出たことはない。

これはあくまでも筆者の感覚なのだが、同じ金銭感覚の人と分かち合いたい気持ちがある。
・バンコクのルーフトップバーには、お酒と景色を存分に楽める場であってほしい
・安心して複数杯のお酒を楽しめる場であってほしい
・ラグジュアリーホテルと言われるホテルのバーであれば、上質で大人の雰囲気があってほしい

というわけで、自分が思う雰囲気を満たした「ルーフトップバー」ではないが、バンヤンツリーバンコクの第二の絶景バーである「サフロン・スカイガーデン」を紹介した。
二大バンコクルーフトップバーに入れず、そのまま帰国しようとしている誰かのお役に立てれば幸いだ。

もちろん、一杯約6,000円のカクテルや、数万円のシャンパンをガブガブ飲める方は素直に羨ましいし、その成功を称えまくりたいと思う。
そして、笑顔で言うだろう。
「奢ってください(ジョーダンです)!」

タイ大好きトラベルライター

タイ旅行・タイエンタメ関連ライター。25年前タイにはまり「住んだら飽きるかも?」と1年住んで、ますますハマってしまいタイ大好き病が悪化。タイ関連記事は旅行、映画、ホテル、タイ芸能人・文化人インタビューなど多媒体&多岐に渡る。個性あるタイのホテルが大好きで泊まり歩く日々。特に好きな都市はチェンマイ、チェンライ、カオラック、バンコク、ホアヒン。ライター・編集者歴30年。大手音楽事務所宣伝部を経て某バンドの会報ディレクション、映画情報誌・旅行誌・インバウンドサイト・旅行サイトなど多くの編集部で執筆・編集を行ってきたライター・編集ひと筋のヒト。

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