1年半ぶりに大学と交流試合 1対0で近畿大学に負けました《3/8 阪神ファーム》
きのう8日、鳴尾浜では阪神ファームと近畿大学硬式野球部との交流試合が行われました。昨年は組まれていなかったため大学との対戦は2014年8月23日の京都大学、同24日の大阪商業大学以来、約1年半ぶりのことです。
大学との交流試合が始まった2011年(予定は9試合でしたが、東日本大震災の影響で2試合を見送り)と、翌2013年に3月と8月を合わせて計7試合あったのが最多で、2013年は1試合、2014年は2試合と少なめですね。これまでの対戦で、その試合にも出ていた選手が阪神に入ったのは、2011年の伊藤隼選手(慶応大4年)や緒方選手(東洋大3年)、2012年の金田投手(大阪学院大4年)など。
きのうの近畿大学戦では今秋のドラフトで指名されるであろう畠世周(はたけせいしゅう)投手が先発しました。詰めかけたプロのスカウト陣の中に、スタンドでスピードガンを手に見つめるヤクルト・阿部健太スカウトの姿も。アマチュア担当なので、プロの試合にはあまり来ないそうで、高校や大学、社会人などを視察しています。近大には松山商業の後輩投手もいたんですが、この日は登板機会なしでした。
入学前の4番と5番に打たれて敗戦
さて、この日の先発メンバーで近畿大学の方は1年生から4年生までの名前があったので思わず確認してしまったのですが、1年生というのは高校を卒業したばかりの新入部員のこと。既に高校の野球部員ではなく卒業式も済んでいるので問題ないそうです。とはいえ入学前なんですよねえ。その“次期”1年生がなんと!クリーンアップに並びました。
1] 二:小深田 3年
2] 三:吉田 4年
3] 右:竹村 1年
4] 中:谷川 1年
5] 指:鷲崎 1年
6] 左:森中 3年
7] 一:末武 4年
8] 遊:松根 4年
9] 捕:川上 2年
3番の竹村陸内野手は神戸国際大附属(兵庫)、4番の谷川刀麻外野手は星稜(石川)、5番の鷲崎淳外野手は創成館(長崎)。また7回から2番サードに入った中川智裕内野手も1年生で、近大附属の出身です。
それでは試合の結果と経過をどうぞ。
《交流試合》3月8日
阪神- 近畿大学 (鳴尾浜)
近大 000 001 000 = 1
阪神 000 000 000 = 0
◆バッテリー
【阪神】青柳-伊藤和-トラヴィス / 原口-小豆畑(6回~)
【近大】4年:畠(5回)-2年:横山(3回)-2年:伊波(1回) / 2年:川上
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]中:江越 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃中:俊介 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
2]一:荒木 (3-0-0 / 1-0 / 1 / 0)
3]右:板山 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
4]指:ペレス (2-1-0 / 1-1 / 0 / 0)
〃打指:柴田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
5]遊:北條 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
6]捕:原口 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃捕:小豆畑 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
7]左:一二三 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃左:中谷 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
8]三:西田 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 1)
9]二:植田 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
青柳 4回 55球 (3-3-4 / 0-0) 143
伊藤和 3回 44球 (2-3-0 / 1-1) 140
トラ 2回 31球 (1-3-0 / 0-0) 144
試合経過
青柳は1回、先頭の小深田に右前打され犠打で二塁へ進めますが、竹村と谷川は連続の空振り三振で無失点。2回は三者凡退。3回は先頭の松根が左前打、川上はバントを失敗して捕邪飛となるも松根に盗塁を許し、小深田への四球で1死一、二塁。しかし吉田を遊ゴロ併殺打に切って取り、ここまで無失点の青柳。ただ大きく外れるボールもあり少し不安な状態でした。
4回は先頭の竹村に対して、0-2と追い込んでから死球を与え、谷川の投ゴロを二塁に送球して併殺。2死ランナー無しとなったものの鷲崎に四球、森中は中前打、さらに末武も死球で満塁のピンチを迎え、原口と北條がマウンドへ。そのあと松根を空振り三振(ミットに当たった打球を原口がナイスキャッチ!)に仕留めて3者残塁、4イニングを0点に抑えています。
2人目は伊藤和。5回は先頭・川上をサード西田の捕球エラーで出しますが後続をしっかり断って無失点。ところが6回は谷川と鷲崎に連打を浴び、犠打で1死二、三塁。末武の中犠飛で1点を失います。7回は連続三振を奪うなど三者凡退だっただけに残念。最後はトラヴィスが登板し、8回は先頭の3番・待場に右前打されたものの、あとを遊ゴロ、遊飛、空振り三振と3人で片づけます。9回はビシッと三者凡退!二ゴロと、真っすぐでの連続三振でした。
打線は近大・畠の前にまず1回が三者凡退。2回は先頭のペレスが左前打するも後が続かず、3回はまた三者凡退です。4回に2死から板山が中前打、ペレスの四球で一、二塁となりましたが、北條は一邪飛。5回は先頭の原口が左前打を放ち、続く一二三はサードの捕球エラーで無死二、三塁とチャンス到来!続く西田の左飛でタッチアップした原口がホームに滑り込み…惜しくもアウト。まだ得点できません。
近大2人目は左の横山。6回は荒木が四球を選んで二盗を決めますが、それだけ。7回は北條が三振したあと小豆畑が中前打、中谷の三振で2死となり、西田が中前打を放って2死一、二塁。でも右打席に入った植田は右飛に倒れて、やはり無得点。8回は先頭の俊介がサードの送球エラーで出て、荒木の三ゴロなど2死二塁となり、暴投で三塁まで進みましたが代打・柴田は見逃し三振。9回は右の伊波に交代。2死から中谷が左前打したものの西田は一ゴロで試合終了です。
課題は継続、制球と送球
2月21日、安芸キャンプでの練習試合(ハンファ戦)以来、2度目の先発だった青柳投手。まずプロ最長の4イニングを投げた点は「長く投げられたのは嬉しいです。課題もいっぱい出たので、次に生かせればと思います」と話しました。課題とは?「制球がほとんどですね」。初めて1軍のオープン戦で登板した5日、10球続けてストライクが入らなかったことを反省して臨んだものの、4四死球という結果が悔やまれるのでしょう。
また、以前からの懸案事項である牽制も課題のひとつ。「二塁への牽制で引っかけたこと」(1回。一塁へはスムーズにいきましたが、二塁へ進まれた直後の牽制はかなり手前でワンバウンド…)。「併殺は取れたけど送球がワンテンポ遅れたこと」(4回。無死一塁でのピッチャーゴロを捕り、二塁へ送って1-6-3の併殺)。確かに、牽制や送球など力を抜いて放る時は、まだ少し心配になります。
あとは「2回がよかったのに3回、4回で崩れたのは何か。あすからの練習に生かしていけたら」とのこと。それでも結果は無失点でした。「結果だけ見れば…。でも練習試合とかは内容にこだわっていきたいので。この前から(課題にしていたことが)改善できていない」と悔しさが滲む表情。修正するために「フォームの細かいところ、いい時と悪い時の差を確認しておきたい」と言います。
今回は大学生との対戦ですが「特に意識はないです。自分も(大学を)出たばかりなので」と青柳投手。そのあと少し力を込めてこう話しました。「大学生というよりバッターと勝負できる機会が増えて、そこでの課題を見つけられるから有難い。大学、プロ関係なく試合に出させていただくのが一番ですね」と。次はどこで投げるのか、また楽しみです。
「形が表れてきた」トラヴィス
続いて、2回1安打3三振0四球で無失点のトラヴィス投手。「投げたのは真っすぐとフォークだけでした。1イニング目に自分の投げたい球、2イニング目は真っすぐで押していこうと」とのことです。5日の教育リーグ・中日戦(5日)も9回1イニングを3人で片づけ、今回も無失点。「まだまだ課題はたくさんありますが、とにかく低めにいこうと思っていた。キャンプの練習試合は全部高めに浮いていたので」と振り返っています。
しっかり低めに真っすぐが来ていましたね。「最初はまだ少し高くなったけど修正できたし、構えたところに投げられたのもよかったと思います」。最速144キロも久しぶりだとか。「しっかり指にかかったのが何球かあったので、それを続けいていけるようにしたいです」。最後に、先頭をヒットで出したあと崩れる気配を感じなかったと言ったら、こんな答え。
「まだ塁は2つある。そう思って投げました」
この気持ちをどんな時も忘れなければ大丈夫でしょう。そうそう、5日の登板後に「いつも長身ピッチャーの画像を見て勉強中」と話していたトラヴィス投手。「今朝も見た?」と聞いたら「はい!きょうはストラスバーグさんと岩隈さんのを」と笑顔で返事がありました。やっぱりストラスバーグ“さん”(笑)
久保投手コーチの談話もご紹介します。「青柳の課題はやっぱりコントロール。自分のバランスとリリースポイントをしっかり覚えてしまわないとね。どこで(ボールが指から)離れているか。伊藤和は3イニング目で吹っ切れたと思うけど、まだつかんでいない感じがする。トラヴィスは、きょう初めていいとこ見せてくれた。やっと形が表れたね。いいことがあると、こうやればいいんだと気づいて続けていける。続けていけば、また良くなる。悪いことばかりだと続けられないからね」
久々のリードで5回無失点
久しぶりにファームの試合で、久しぶりに先発マスクをかぶった原口選手。「久しぶりにキャッチャー姿を見た!」と言ったら「だって、キャッチャーするのが久しぶりですもん」と、とっても嬉しそうに笑っていましたよ。そういえば宜野座キャンプに合流してすぐ、2月25日の練習試合以来ですよね。試合でマスクをかぶるのは。スタメンは安芸キャンプの練習試合、2月14日以来です。そりゃあ嬉しいでしょう。
5回には左前打も放ち「1打席目(2回の捕邪飛)はボール球を打ってしまったので2打席目は切り替えた。スイングはそれなりによかったと思う」と自己分析しました。でもそれで満足する原口選手じゃありません。「練習していることが実戦で出せるようにやっていかないと」と、さらに上を目指します。
5回のホームタッチアウトについて、ナイススライディングと言うと「え、アウトなのに?」と苦笑い。いやいや、いい滑りでしたよ。「セーフかな~と思ったんですけど、パンパンって感じでしたね」と、キャッチャーが捕ってすぐにタッチしてきたという仕草。あの走塁はもちろんベンチの指示だったそうです。なお、キャッチャーの捕球体勢の話になって「僕は、捕ってから入ったように思えました」と原口選手は言いますが、ベースに入ってからのようにも見え、微妙ですねえ。
その原口選手に代わって、6回の守備から出場した小豆畑選手は7回に中前打。この日最初の打席で、初球を打ったもの。いい反応だったと思います。これが今季の「実戦初ヒット」と、ホッとしたような顔でした。5日に1軍のオープン戦へ呼ばれていったものの出場機会なし。「また頑張ります!」と前を向いています。
打席での雰囲気が変わった?
北條選手は近大・畠投手をよく知らなかったそうですが、畠投手にとって高校時代の北條選手は「テレビでよく見ていた」存在だったとか。そんな同級生に対し、北條選手の1打席目は遊ゴロになったものの素晴らしい当たりでした。2打席目は4回2死一、二塁で一邪飛。北條選手は「打てる球はあったんですけど、それを仕留められなかった」とひとこと。試合後もファーム事務所のガラス扉に自分のスイングする姿を映して、繰り返し何かを確認している様子でした。
今季初となるファームの試合、久しぶりの鳴尾浜で気合いが入っていたはず。足の状態も気になります。何となく顔つきが険しくなったように感じるのは気のせいかな?「体重落ちましたよ、キャンプで」。やっぱり。険しくってのはイメージがよくないですか。精悍になったと言っておきましょう。それにしても打席での雰囲気が変わりましたねえ。相変わらず細かく動いているけど、そこに落ち着きも見えます。変更もあるので断言はできませんが、あすからまた1軍のようです。