さいたま小4男児殺害事件で父親逮捕:子供は他人より親に殺される
■さいたま小4男児殺害 父親を逮捕
「埼玉・小学生殺害事件で32歳父親に逮捕状請求へ 警察の取り調べに対し一部事件の関与を認める供述も」9/19FNN
■親に殺される子供たち
日本は殺人の少ない国です。それでも昭和から平成の頃は毎年千人ほどの殺人被害者がいましたが、現在は300人程度です。ブラジル6万人、アメリカ1万7千人に比べると、本当に少ないことがわかります。
殺人の発生率(10万人あたり)を見ても、ブラジル30.74、アメリカ5.32、カナダ1.80、イギリス1.20、韓国0.59、日本0.24です。
日本では治安の悪い国のような強盗殺人などは少ないのですが、日本の殺人の特徴は近い人同士で起きることです。
日本の殺人事件の半分以上は親族間で起きています。アメリカなどではその割合は2割程度です。日本では、親も子も他人に殺されるよりも、家族に殺されています。
一年間の間に殺害される子供は、数十人です。その中で、いわゆる不審者に殺される例は、ごく稀です。
一般の殺人事件では、8割が男性なのですが、子供を殺害する親の9割は母親です。殺される子供の年齢で一番多いのは、0歳0ヶ月0日。生まれてすぐ殺害されています。
一般に、女性殺人者は弱さを持ち、止むに止まれぬ理由で子供や家族を殺害します。家族無理心中を図るお母さんや、トイレで子供を産みすぐに殺害するような女性たちには、もっと強くなろうと言いたいぐらいです。
一方、男性殺害者はもっと乱暴な態度を持っている例が目立ちます。男性凶悪犯罪者には、もっと冷静に、もっと大人しくなろうと言いたい気持ちになります。
■子供を守るために
今回の事件でも、被害者の遺体が発見された直後の報道では、「不審者」が話題になりました。しかし一目でわかるようないわゆる不審者によって殺害される子供は、極めて例外的です。
一目で普通ではないとわかるようなタイプの人は、子供に危害を加えるにしても、多くの場合はもっと軽微な罪を犯します(もちろん、軽微とはいえ子供の心には大きな傷を作りますから、決して軽い問題ではありませんが)。
ほとんどの子供は、夜中に人通りのない場所を歩いたりはしません。夕方の帰り道などを襲う場合、犯人に社会的能力がないと、子供を襲えないのです。
たとえば、自動車を使って素早く動き子供を誘拐するとか、ことば巧みに子供に近づき連れ去るなどのことができないと、犯罪は実行できません。
だから、子供を殺害したり、ひどい被害を与える犯人は、子供文化に詳しく子供の扱いが上手い人、子供に関する仕事についている人、あるいは近所に住んでいて子供と顔見知りの人などの例がしばしば見られるのです。
さらに、一番子供に近い親が、加害者であることも多くなります。無理心中などは、動機は憎しみや金目当てではなく愛であり、「愛他的殺人」とも言われます。生まれたばかりの赤ちゃんを殺す嬰児殺しは、性教育の不足、金銭的貧しさ、人間関係の貧しさなどが背景にあります。
とても悲惨な虐待死の場合も、単純な憎しみや金目当て殺人とは異なり、心理的問題や歪んだ家族関係の問題があります。
子供たちを守るためには、不審者対策のパトロールよりも、むしろ家庭という密室の中で起きている悲劇や凄惨な虐待、家族の問題を解決していくことが必要です。
(本事件はまだ容疑段階のため、事件に関する断定的な判断は避け、事件を通して考えられる一般的な家族問題、子供への被害の防止について考えました。)