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【JAZZ】レ・コマティ(Nobie、太田朱美、片倉真由子)@モーション・ブルー・ヨコハマ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家
レ・コマティ@モーション・ブルー・ヨコハマ
レ・コマティ@モーション・ブルー・ヨコハマ

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、女性3人によるレ・コマティのステージ。

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レ・コマティ(les KOMATIS)は、日本のジャズ・シーンの次世代を担うと言っても過言ではない3人の女性ミュージシャンが結成したユニットだ。

ヴォーカルを担当するNobie(ノビー)は、東京大学薬学部薬学科在学中からブラジル音楽に傾倒。卒業後は薬剤師をしながら活動を続けるが、2008年ごろからシンガーの活動を本格化させ、トニーニョ・オルタのツアーに参加するなどめきめきと頭角を現わした。ブラジル人を納得させるサウダージな声質とセンス、そして抜群のヴォイス・コントロールによってオルタナティヴなシーンでも一目置かれる存在だ。

フルートの太田朱美は中学の吹奏楽部でフルートを手にし、広島大学のジャズ研究会でジャズの扉を開いてからはライヴハウスで研鑽を積み、卒業後は東京へ進出。2008年にはファースト・アルバム、2012年にはセカンド・アルバムをリリースしているが、その活動はジャズにとどまらず、ポップス界やクラシック界からも引っ張りだこという“オールマイティ”の技量とセンスを備えた逸材である。

ピアノの片倉真由子は洗足学園短期大学に入学したタイミングでジャズへ転向し、バークリー音楽大学、ジュリアード音楽大学にも入学を果たして研鑽を積んだ学歴ならぬ“楽歴”の持ち主。渡米中は多くのレジェンドやトップ・プレイヤーたちとの共演を重ね、アメリカのジャズ系のコンペティションでも高く評価されるなど早くから世界的なプレイヤー&コンポーザーとして注目されていた。

同い年というこの3人が意気投合してバンドを結成したのが2年前。機が熟してアルバムを完成させ、ファースト・アルバム『レ・コマティ』を3月3日(桃の節句)にリリースしたタイミングでの“アルバム発売記念ライヴ”となるのがこのステージだ。

ボーダレスであることを可能にする突出した個性とコンセンサス

レ・コマティ『レ・コマティ』
レ・コマティ『レ・コマティ』

“ちまたで評判の女子”を“小町(こまち)”と言ったりするが、これをフランス語風に定冠詞を付けて洒落たのがレ・コマティの由来らしい。たしかにジャズ界の話題をさらっている感がある3人のコラボレーションは評判にならないはずがない。

ファースト・アルバムでは、作曲家としても才能を発揮している3人のオリジナルがカヴァーとバランスよく配置される。

オリジナルでは、それぞれの“得意分野”をあえて強く意識することによって、このユニットがひとつのジャンルに収束しようとしていない“姿勢”を示そうとする。

カヴァーでは、ジョアン・ドナート、マッコイ・タイナー、ジミ・ヘンドリックスと多彩でありながら3人の個性をしっかり感じさせる選曲。

つまり、双方を混在させることによって、きわめてボーダレスな彼女たちの音楽観そのものを表現しようとしているような気配がかなり濃厚なのだ。

ボーダレスというコンセプションはいかようにも組めるだろうが、説得力のあるサウンドに昇華させるには文字通りボーダレスな演奏者同士のコンセンサスが必要になる。そのコンセンサスを証明しようという“意志”が、このアルバムの構成に表現されていると思えるのだ。

そして、その“意志”がどれほどの“厚み”をもって再現されるのかを体感できるのが、レ・コマティのステージということになる。

では、行ってきます!

●公演概要

4月30日(木) 開場18:00/開演19:30

会場:モーション・ブルー・ヨコハマ(横浜)

出演:レ・コマティ(les KOMATIS):Nobie(ヴォーカル、パーカッション)、太田朱美(フルート)、片倉真由子(ピアノ)

レーベルのサイトで試聴できます。

les KOMATIS|bowz.net online shop

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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