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総務省はいつから家電量販店になったのか?1.4億円『スマホ乗り換え相談所』今夏開始!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:西村尚己/アフロ)

KNNポール神田です。

菅政権となり、各省庁が、今までよりも改革に鼻息が荒くなっているのはわかるが、どうも空回りしているように見えてしかたがない…。

携帯電話料金問題が、なかなか進展しないようでついに『スマホ乗り換え相談所事業』に総務省が乗り出す。

□総務省は今夏にも、携帯電話の乗り換え手続きを支援する「スマホ乗り換え相談所」の試験事業を始める。

□中立の立場で各社のサービスを比較して、利用者それぞれに合った会社や料金プラン、機種への変更を後押しする。

□政府が税金を投じ、民間サービスを比較する場を設けるのは異例

□相談所は今夏以降、全国3カ所以上に開設する

□運営は民間の中古端末取扱事業者や修理事業者、量販店などに委託する方針

□総務省は、携帯各社の料金プランを比較できるシステムの構築費用や人件費など約1億4,000万円を負担

□特定の携帯会社に偏らずに中立性を保てるビジネスモデルや運営事業者の資格制度

□大手携帯会社と契約している利用者のうち4割程度が、月20ギガバイト以上のプランだが、実際にそこまでのデータ容量を使っているのは1割程度にとどまる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fafad6b5e4988e8d44d60edad8ff4d43a99bedce

■総務省はいつから家電量販店になったのか?

今回の予算で税金から、1.4億円負担しても、3店舗の実験店舗を運用したところで、結局は乗り換え相談所は、従来の家電量販店のサービス程度にしかならないのではないだろうか?

また、新たにシステムを構築し、1店舗あたり4,600万円も支援する価値はどこにもないだろう。

すでに大手家電量販店では、各通信者の俗に言うメーカー派遣社員で構成され、各通信者ごとのブースも設置され、比較検討しようとすれば時間さえかければ検討できるようになっている。

それでも、複雑怪奇なプランの仕組みもかなり改善されてはいるものの、公正な立場としての乗り換え相談したとしても、顧客の希望する乗り換えには結果としてならない。

価格のみで考えると、常に、乗り換え続けるという手間をかけるのが最適な乗り換え策となるからだ。しかし、顧客は価格だけではなく、快適さや、わずらわしさから逃れたいという欲求のほうが高かったりするからだ。

生活ステージやレベルによって満足度は違う。

大手通信社解約の4割が、月20ギガバイト以上の契約で1割しか使用していないところが契約そのものを理解していないケースが多いと考えられる。

■総務省ができるところは他にあるのでは?

総務省は携帯の料金比較などではなく、そもそもの解約や契約の難しさの本来の権限で力をふるうべきだろう。

たとえば新しいプランを一ヶ月だけ試してみて、何もなければ簡単に元に戻せるなど、MNPの変更期間を2週間ではなく、3ヶ月間有効にするなど、常に通信会社が満足度をあげる努力を続けなければならない状況を作り出すことが重要だ。

また、新規も乗り換えも、登録データベースの締め切りがあるので、店舗などでは19時以降の契約がむずかしい。また、契約に関する書類がたくさんあり、契約するのに1時間程度、待ち時間を考えると2時間以上かかることを考えると、通信端末に関する契約書を簡易にすることなどが総務省の本来の仕事ではないだろうか?

ネットでの解約や契約がいくら可能でも、通信会社のウェブサイトの解約ページが検索ロボットにクロールされないようにnoindexになっていたりしており、解約で検索してもたどりつけないなど、改善点は未だにいくらでもある。

こういった場面に切り込んでいかなければ、乗り換え促進や、ギガバイトの使用に応じたプラン検索なども、民業を比較するのであれば、総務省のページで、マイナンバーを駆使して、おすすめプランやマインバー割引を、実施してみてはどうだろうか?

■公的な立場の『マイナンバーによる解約センター』を検討してほしい

むしろ『マイナンバー』の監督省庁が、総務省からデジタル庁へと変わるので、マイナンバーによるデジタル化という意味では、公的な『解約センター』を新設してほしいと筆者は願う。

マイナンバーを利用した解約申請がだされると、複雑な解約プロセスを得ずに解約できれば国民側にとってはマイナンバーカードの利用のメリットが出る。

複雑な法的な印鑑などによる契約変更も簡素化され、DXが促進される。あくまでも国民側からの養成の多いところから、手をつけることができる。

NHKを解約したいという声がたくさん集まれば公共放送のありかたも検討すればよいというわけだ。

企業が社会の公器であれば、政府は、国民の公器であるはずだ。国民の声が届くDXを早急に構築することはデジタル化の一番の仕事ではないだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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