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強い台風3号 関東最接近は13日予想 なぜ、急にスピードが速くなるのか

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風3号の進路予想図:ウェザーマップ作画(6月10日午前9時現在)

 強い台風3号は10日(土)午前9時現在、フィリピンの東海上をゆっくりとした速さで北上しています。中心の気圧は970hPa、最大風速は40メートルで、11日(日)にかけて発達のピークとみられます。

信頼度アップ 予報円半径は半分に

 傍から見ても明らかなのがこれまでと比べて、進路予想がシャープになってきたことです。実際に、13日午前9時の予報円半径は3日前の半分になり、予報の信頼度が高くなったことがわかります。

 さらに、台風は今後、スピードを上げて本州に近づき、関東に最も接近するのは13日(火)午前中です。

 先日の台風2号のときはフィリピンの東海上から関東地方に接近するまで5日かかりましたが、今回の台風3号では3日となるため、早めの対策、準備が必要です。

なぜ、急にスピードが速くなるのか

 台風3号はあるものに影響を受けて、北上スピードが速まります。あるのもとは何か?それは雲画像をみるとわかります。

気象衛星ひまわりの水蒸気画像(6月10日午前9時):ウェザーマップ作画、筆者加工
気象衛星ひまわりの水蒸気画像(6月10日午前9時):ウェザーマップ作画、筆者加工

 雲画像の左側にあるのは白く大きく渦を巻く台風3号(赤丸)です。一方、右側に見える中心付近に雲のない、穴の開いた雲が上空の寒気によって発生した雲(青丸)で、その名も寒冷渦(かんれいうず)と言います。

 一見すると気がつきにくいけれど、スケールの大きい渦巻きであることは同じで、互いに働きかけ、影響を及ぼします。2つの渦の相互作用というと、藤原の効果を思い浮かべますが、寒冷渦でも同じことが起こります。過去には寒冷渦に影響され逆走した台風がありました。

2018年7月台風12号の動きと寒冷渦:ウェザーマップ作画、筆者加工
2018年7月台風12号の動きと寒冷渦:ウェザーマップ作画、筆者加工

500hPa高度と気温偏差(6月10日00UTC初期値):ウェザーマップ作画、筆者加工
500hPa高度と気温偏差(6月10日00UTC初期値):ウェザーマップ作画、筆者加工

 この寒冷渦は今後、小笠原諸島近海を北上する予想で、台風3号は寒冷渦の後を追うようにスピードが速まるのです。

【参考資料】

森田正光、2013:「藤原の効果」のルーツは、Yahoo!ニュース個人

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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