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3階級制覇王者の息子が元世界ミドル級王者に判定勝ち

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/Fanmio

 シェーン・モズリー・ジュニアが、過去に2度ミドル級で世界チャンピオンとなったダニエル・“ザ・ミラクルマン”・ジェイコブスとの10回戦で判定勝ちを収めた。スコアは100-90、99-92、99-92というワンサイドだった。

 勝者は戦績を22勝(12KO)4敗、敗者は37勝(30KO)5敗とした。

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 5連勝となったモズリー・ジュニアは言った。

 「ラウンドを重ねれば、ジェイコブスが疲れてくるのは分かっていた。中盤は彼にプレッシャーをかけていった。元チャンプはベテランであり、対処法を理解していたようだね」

 とはいえ、ジェイコブスにとって2年5カ月のブランクは大き過ぎた。37歳のジェイコブスは、もはや世界王座に就いていた頃の彼ではなかった。

 モズリー・ジュニアは続けた。

「ダニーはパンチがあったが、俺はただゲームプランを忠実に守り、仕事をやり遂げた。自分自身を誇りに思うよ。エリスランディ・ララとやりたい。俺の声を聞いているなら、応えてくれ、ララ!」

 彼は現WBAミドル級王者、エリスランディ・ララに挑戦状を叩きつけたのだ。

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 3階級を制し殿堂入りを果たした”シュガー”シェーン・モズリーの息子であるジュニアの踏み台となってしまったジェイコブスも振り返った。

 「モズリー・ジュニアはもっと手を出してくるファイターだと考えていた。私が良いショットを打つたびに、彼は驚いていたね。

 上手い具合にメンタルが整っていると感じていたが、今回のファイトは終始100パーセントの力が発揮できなかった。カムバック戦に安牌の選手を選べば勝てたかもしれない。だが、私は、ある程度のレベルの相手と戦いたかったんだ」

Esther Lin/Fanmio
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 ジェイコブスは最終ラウンドで力強く前進し、元世界王者の意地を見せた。この試合で最高のパンチも放ったが、何度もモズリーの反撃に遭ってしまった。

 2011年5月に、生命を脅かすレベルの骨肉腫と診断されたジェイコブスは、強靭なハートで病と闘い、2014年8月9日にWBAミドル級タイトルを、2018年10月27日にはIBF同級タイトルを獲得した。時の流れと共に衰微を見せたとしても、彼の足跡が色褪せるものでは決してない。

 モズリー・ジュニアには世界タイトル挑戦が用意されるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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