御年92歳!人形町の和菓子司「東海」の生粋の職人がおひとりで焼き上げる白餡の栗饅頭は秋の名おやつ
男性、女性共に平均寿命が80歳を超えた令和の今。いずれ日本人の半数の平均寿命は100歳を超えるということもなかなか現実味を帯びてきましたね。
しかし、その100年間の中で自力で二足歩行をし、食事や入浴、掃除に買い物といった日常生活をこなし、更には仕事をこなすということは何歳までできるのかと思うことも。まれにテレビショッピングなどで元気ハツラツな高齢者の方々をみても、おそらくそれはごく少数なのでしょう。
東京都中央区日本橋。かつて花街として栄えた街には、今も尚老舗にてその腕を振るう職人さん達がいらっしゃいます。おそらくその中でもトップクラスの重鎮と私がお持っているのが、昭和28年創業の和菓子屋「東海」さんのご主人である田所さん。
2024年に92歳を迎えた今も、毎日おひとりで厨房に立ち(土曜日のみお嬢様がお手伝いにいらっしゃることも)週に5日間、朝早くからお饅頭やワッフルを作り、あんこを炊いています。
今回は通年商品でありながらも今の季節により相応しい焼き菓子「でこぼこ栗饅頭」をご紹介。
小柄なお饅頭は、確かにでこぼことした凹凸がなんともいえない愛敬を放っていますね。こちらはパイ饅頭のようでありますが、うっすらとしたビスケット生地で白餡を包み焼き上げたもの。てっぺんを卵黄でおめかししたお饅頭は、しっとりとした上部とさっくりとした底面の食感の違いもまた美味しい楽しみ。バター系のビスケットではなく、素朴な小麦粉とお砂糖の甘さがきいたビスケットです。
また、中餡はこちらもまろやかながらさらりとした余韻の白餡。滑らかで心持ちねっとりとした白餡のなかには、鮮やかな栗の甘露煮がひとかけら。秋になると立派な栗の甘露煮がひと粒まるごと包まれた栗饅頭も登場しますが、このちょっとした宝物を発見したような嬉しさがおやつの時間に温もりをもたらしてくれるのです。
ところでこちらの菓銘。でこぼこ、の文字が「で小ぼこ」になっているのもまた味があって人形町らしい粋といいますか、捻りがきいているなぁと思うんですよね。掛け紙を留める黄金色のリボンが交わっている部分に指を絡ませながら帰路に着くと、数十年前の同じようにどこか浮足立って家路を急ぐ人たちと同じような気分を味わっているのではないかと頬が緩むのです。(人によっては飲み屋さんかもしれませんね。)
最後までご覧いただきありがとうございました。
<御菓子司 東海>
東京都中央区日本橋人形町1-16-12
8時30分~18時45分(全て出揃うのは10時頃)
定休日 日曜・月曜
※おひとりでご対応なさっているため、お電話番号の掲載は控えさせていただきました。