Yahoo!ニュース

虎の子の1点を守り切って今季2度目の完封勝利《4/7 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

きのう7日、阪神タイガースは本拠地・甲子園球場での開幕を迎えました。残念ながら序盤の失点が響き負けてしまったのですが、島本浩也投手の甲子園初登板を見られて喜んでいます。もちろんオープン戦では経験したマウンド。ファームでは先発もしているので、本当の“初”ではありませんけど、お客様の数も雰囲気も今までとはまったく違ったでしょうね。

6対3とリードされた7回に登板した島本投手は、3番・梶谷選手を中飛、4番・筒香選手は空振り三振と左打者2人を切って取り、2死としました。三振を奪ったフォーク、よかったですねえ!ところが5番・ロペス選手には、そのフォークをホームランされます。そしてバルディリス選手に左前打を許しながらも、最後は飛雄馬選手を遊ゴロに。1軍公式戦2試合目、初めての甲子園登板は15球でした。

楽しみな『細腕繁盛記』

ホームランを打たれたあとの表情が、2年前のオープン戦のそれとは全然違っていましたね。マウンドでの顔もです。なんというか、簡単に言うと「楽しくて仕方がない」って感じでしょうか。投げ終わってからベンチで、この日投げた能見投手や金田投手と並んで座り、試合を見ている時もです。ロペス選手のホームランによる1点がなければ試合は変わっていたかも…というご意見もあり、笑みを見せちゃいけないのかもしれませんが、グラウンドを見ながら「あそこで投げたんやなあ」と自然に口元が緩む(私の想像ですが)支配下1年生をお許しください。

試合後、きっと忙しいだろうなと思いながら連絡をしてみると、いつも通りすぐに返事が来ました。「山口さんに『マウンドへ行ったら、周りを見渡してみ』と言われたので見渡してみた。そしたらまったく緊張しなかったです」とのこと。なるほど、それで周りを見ていたんですね。ブルペンから出る時に、そう言って送り出してくださった山口投手コーチはさすが。もうジェット風船を膨らみかけている、あの大観衆をぐるっと見渡して逆に落ち着いたってことでしょう。

結果は1軍公式戦初被弾も経験して2安打1失点でしたが「収穫と反省が出てよかったです」と島本投手。でも「楽しかったでしょ?もっと投げたいでしょ?甲子園」と言ったら「やっぱ甲子園ですね!」という返事。ご両親とおじいちゃんが観戦されるのは11日の予定で、お母さんはハラハラ、ドキドキの毎日みたいです。当日はきっと涙で見えないかもしれませんねえ。

島本投手の細腕繁盛記、これからもご注目ください!って、細腕繁盛記なんて言葉は50歳以上の方にしかわからないかも(笑)。それに、腕は細くない?…すみません。

虎の子の1点、守り切りました!

では、きのう7日にナゴヤ球場で行われたウエスタン・中日戦の結果を書いておきます。現場へ行けていないので選手のコメントはないんですが、試合経過を教えてもらいました。初回の得点機に凡退してしまった4番の西田選手と5番の北條選手が4回に速攻で得点!これを投手陣が守っての勝利です。完封負けが今季もう2度ありますけど、完封勝ちも2度目ですね。

なお、きょう8日の試合は朝8時半に中止が出ました。タイガースは午後、ナゴヤ球場の屋内施設で練習を行っています。ほんと1日置きにしか試合ができませんねえ。ドラゴンズもそうみたいです。

《ウエスタン公式戦》4月7日

中日-阪神 4回戦 (ナゴヤ)

阪神 000 100 000 = 1

中日 000 000 000 = 0 

◆バッテリー

【阪神】○二神(1勝)-藤原-鶴-山本-S小嶋(3S) / 小宮山

【中日】●朝倉(1敗)(7回)-祖父江(1回)-西川(1回) / 桂-加藤(9回表)

◆三塁打 西田

◆二塁打 桂、遠藤、伊藤隼

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .250

2]右:緒方  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .235

〃遊:植田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .130

3]指:伊藤隼 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .171

4]二一:西田 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .344

5]遊二:北條 (3-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .259

6]三:荒木  (0-0-0 / 0-4 / 0 / 0) .067

7]中:横田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .089

8]捕:小宮山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .364

9]一:黒瀬  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃右:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

二神 5回 78球 (3-4-1 / 0-0 / 0.00) 141

藤原 1回 8球 (0-0-1 / 0-0 / 1.80) 143

鶴  1回 13球 (1-1-0 / 0-0 / 2.25) 142

山本 1回 9球 (1-0-0 / 0-0 / 4.26) 135

小嶋 1回 16球 (0-1-1 / 0-0 / 0.00) 143

西田&北條で挙げた1点

阪神の攻撃からご紹介します。1回は1死後に緒方が中前打し、続く伊藤隼の右前打で三塁へ進み、西田が左邪飛だったものの伊藤隼がタッチアップ。2死二、三塁としましたが北條は二ゴロで無得点です。2回は先頭の荒木が四球を選んだあと、横田と小宮山はともに中飛で2死。黒瀬のところで荒木が二盗を決めるも得点にはつながらず、3回は三者凡退でした。

ようやく4回、先頭の西田が右中間フェンスを直撃する三塁打!北條が中犠飛を打ち上げて1点を先取しています。次の荒木はここも四球、しかし横田は二ゴロ、小宮山は遊ゴロ。5回と6回は三者凡退です。7回は先頭の荒木がまたまた四球を選びましたが、横田は三邪飛、小宮山は三ゴロ併殺打と3人で終了。中日・先発の朝倉から1点を奪ったとはいえ、7回で3安打です。

8回は祖父江の前に三者凡退で、9回は西川から先頭の伊藤隼が右翼線二塁打を放ち、1死後に北條の遊ゴロで三塁へ。荒木の四球で2死一、三塁となります。続く横田がライトへ大きな当たり!でも古本がジャンプしてキャッチ。追加点は挙げられませんでした。それにしても荒木選手、4打席すべて四球だったんですねえ。

5投手が5安打完封リレー

一方の投手陣は、まず先発の二神が三者凡退で立ち上がります。2回は4番・古本を空振り三振に仕留めたあと和田に左前打されますが、松井佑の投ゴロで二塁封殺。北條がジャッグルしたため併殺は取れなかったものの、残った松井佑を二神が牽制で刺して3人で片づけました。3回は2死から9番の桂に左中間二塁打を浴び、工藤に四球を与えながらも谷を遊ゴロに切って取り無失点。

4回は先頭の遠藤に右翼線二塁打(一塁ベースに当たったもよう)を許した二神ですが、古本は真っすぐで見逃し三振!和田の中飛で三塁へ進めるも松井佑を三ゴロに打ち取っています。5回は三者凡退で交代。5イニングを投げて3安打無失点という内容でした。

6回は藤原で、2死を取ってから遠藤に死球、古本は二ゴロで0点。7回は鶴が登板して和田に左前打され犠打で二塁へ進めますが、後続を断って無失点。8回は山本が登板、先頭の桂に左前打されたものの友永は三ゴロで併殺、谷は中飛と3人で終わらせています。9回は小嶋が先頭の代打・赤坂に四球を与えたあと、古本は見逃し三振、和田が右飛、松井佑は一邪飛で試合終了。こちらより1本多い5安打を許しながら連打はなく、5投手による完封リレーです。

そろそろ見られるか?玉置vs谷

中日の谷投手が苦手だという玉置投手は登板していませんが、谷選手は「玉置が来てるな」とわかっているでしょうねえ。昨年3月15日の教育リーグ(ナゴヤ)で、玉置投手から空振り三振を奪われた時の谷選手の話を、同19日の記事に書いていました。ちなみにシーズン中は谷選手が1軍に行っていたりで、しばらく対戦はなかったと思われます。

まず「彼のすべてが嫌いなんです」と衝撃の?告白がありました。「6年間で打ったヒットは1本だけ。しかもラッキーヒット(笑)。だから前の回に1人でも出てくれと思っていたのに、よりによって」。なるほど。8回の攻撃でランナーが1人でも出れば、山本投手のままで打席に立てたわけですね。

ネクストバッターズサークルでバットを振りながら、一塁側で投球練習をする玉置投手が見えていたのでしょう。そして「よりによって」先頭で回ってきた9回裏の打席。谷選手は「きょうこそ打つ!と思ったら、初球でアカンかった…」と127キロを見逃し、続く128キロはハーフスイングを取られます。3球目はボールで、次の131キロを空振り三振。どう見ても玉置投手の武器であるチェンジアップに見えるんですけど、スピードがちょっと速いような気が。でも本人いわく「思いきり腕を振ったチェンジアップ」です。最後に谷選手はこんなことを言いました。

「マエケンのスライダーなら打てるのに、玉置は打てない」

これ以上の称賛はありませんね。玉置投手は「マジっすか?それは嬉しいですねえ!いや~すごい」と感激の面持ち。相手バッターから「すべてが嫌い」と言われて、最高のほめ言葉だと喜びました。「谷さんって1軍でもやってはりますよね?すごい良い選手やと思っているから、いつも気合いが入ってます、と伝えてください」。なお玉置投手自身は得意とか苦手というのがなく「その日、その試合、その場面ごとに違う」そうです。

きょうは中止になってしまいましたが、あす対戦があるでしょうか。そして1軍の甲子園やナゴヤドームでの勝負も見てみたいものです。ちなみに玉置投手のチェンジアップは「握りがフォークなんで、フォークっちゃフォークなんですけど…」とのこと。投げる人がそう言うなら、チェンジアップでいいんですよね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事