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オールスターに選ばれた選手をヤンキースがシーズン中のトレードで獲得は8度目。過去の7人は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・ベニンテンディ May 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 この夏、アンドルー・ベニンテンディは、カンザスシティ・ロイヤルズの選手として、オールスター・ゲームに選ばれた。そして、トレード・デッドラインの前に、ロイヤルズからニューヨーク・ヤンキースへ移籍した(「ヤンキースがトレードを成立させ、これから対戦するチームの外野手を獲得する」)。オールスター・ゲーム選出は初、トレードは2度目だ。昨年2月の三角トレードにより、ボストン・レッドソックスからロイヤルズへ移った。

 今回のトレードについて、ESPNスタッツ&インフォは、オールスター・ゲームに選出された選手を、その年のミッドシーズンのトレードでヤンキースが獲得するのはこれが8度目、とツイートしている。また、同じ流れのトレードが5度を超える球団は、他には皆無だという。

 過去の7度を調べたところ、以下の7人のトレードが該当した。

筆者作成
筆者作成

 セントルイス・カーディナルスからリー・スミスを獲得した1993年に、ヤンキースはポストシーズンへ進めなかった。だが、今シーズンの場合、ここから急降下し、ポストシーズン進出を逃すとは考えにくい。一時の勢いはなくなっているとはいえ、勝率.667はア・リーグで最も高い。

 1949年のジョニー・マイズと2003年のアーロン・ブーン――殿堂選手とヤンキースの現監督――は、ポストシーズンで値千金の働きをした。マイズは、この年のワールドシリーズで、代打として2打数2安打。第2戦のヒットは得点につながらなかったものの、第3戦は同点の9回表、2死満塁の場面にヒットを打ち、2人を生還させた。ブーンは、ヤンキースのワールドシリーズ進出を決めた。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第7戦の11回裏に、サヨナラ・ホームランを打った。

 なお、昨年の夏に加わったジョーイ・ギャロは、現在もヤンキースにいるが、ベニンテンディに出場機会を奪われることになりそうだ。

 ベニンテンディと同じく、ギャロも今オフにFAとなる。打率があまりにも低いため、ギャロの出塁率は.290に届いていないが、四球率14.8%はベニンテンディの10.0%を上回る。パワーと選球眼を備えた打者として、この夏にギャロを欲しがる球団はあるかもしれない。トレードを申し込まれれば、ヤンキースは喜んで放出するのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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