Yahoo!ニュース

もうこれが限界!定食にかけた想い、1000円の壁が越えられない…飲食店が抱える危機【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

先日、元町商店街から海方面へと下った道を歩いている時に、ポツンとある洋食屋さんを見つけました。夜だったのですが店頭のメニューには定食がずらり、20時半まで定食があるようですよ。

普段ひとりでは飲まないので、定食だけ食べて帰れるお店はかなり嬉しい。バーカウンターがあるような個人店なのに定食メニューなのは何故だろうと、疑問に思いながらも入店しました。まさか後で衝撃の事実が知らされるとは…

メニューを見ると「朝引き鶏のレアチキンカツ定食1,100円(税込)」←1日5食限定、「低温調理のこだわりトンカツ定食1,000円(税込)」など、調理法などにかなり特徴がある様子。そして迷いに迷って決めたメニューはこちら。

「本場宮崎風チキン南蛮定食1,000円(税込)」、女性や子供に人気があるそうですよ。揚げ鶏肉はしっかり味の甘味あるタレが絡まり、そこに酸味が爽やかなタルタルソースがベストマッチ。以前宮崎で食べたことがある味を思い出しました。

定食はご飯(おかわり無料)、味噌汁付き。定食を注文すればドリンクを200円でセットにできます。定番の定食は8種類あり、日替わりが日によってはあったりも。この日はビフカツとビーフシチューでした。

「低温調理のトンカツ」が気になったので、別日にもう一度行ってみることに。大きな固まり肉を真空状態にして、中心部が外側と一定の温度になるまで4〜5時間程かけて低温で茹で続けるというこだわりのポークメニューです。

火が入りすぎないのでお肉がとても柔らかく、色もピンク色なのだとか。時間がかかる料理法で、前準備できる数がどうしても限定されてしまうので、限定数が出てしまうと夜にはお店を閉めてしまう事もあると言います。

それにしてもボリューミー、200gほどあるのだとか。この手間暇で定食で、夜も同じ値段で1,000円ポッキリってなかなか他に無いのでは。

そして食べてみてびっくり、本当に柔らかさが凄い!厚みがあるのに箸でも切れます。お肉からはジュワッとした旨味が。ドレッシングやソースなども全部手作りなのだとか。

そうそう、ひとつ疑問がありました。以前は一品料理やお酒の種類もいっぱいあったそうなのですが、ガラリと方向転換して「なぜ定食屋さんに?」

実は、苦肉の策としての定食屋なのだとオーナーの山本さんは言います。「コロナで若者を中心に飲みや外食離れがあり、今では戦争の影響もあり米、油や食材が値上がり。逆境に耐えしのぶための営業形態なんです」

お肉を買うにも飼料代も上がっていて、淡路産の鶏肉も豚肉より高いのだというから驚きです。相次ぐ値上げでここまで影響が出ている現状、これはもう明らかに「社会問題」です。

昔からの個人店が、今どんどんと店を閉めていると言います。「昼定食の『1,000円の壁』はなかなか越えられないんですよ、今、店を辞めるか続けるかを悩んでいる個人店が多いのではないかと思います。知り合いの飲食店は4割ほど辞めてしまいました。来年の3月までにお店が一気になくなるかもですね」

これはもう、衝撃のお話です。あなたの好きなお店も、ある日突然なくなっているかも知れません。気付かないうちにこんな事になっていたなんて…そんな悲しいことにならないためにも、頑張って続けている個人店にできるだけ食べに行けたらいいなと思いました。

努力をしながら、クオリティーを保っている「神戸食堂MARUWA」さん。昼も夜も同じ値段で提供してくれる定食屋さんには本当頭が上がりません。皆さんもぜひ、食べに行ってみて下さいね。

神戸食堂MARUWA

神戸食堂MARUWAインスタグラム
住所:兵庫県神戸市中央区栄町通5丁目1−17-1F 栄町ダイヤハイツ
電話番号: 078-335-8430
営業時間:11:00〜21:00 (L.O.20:30)
定休日:日曜日(特別なお休みは、店頭にて告知します)
※取材では神戸食堂MARUWA様の協力により、低温調理のこだわりトンカツ定食を無償で提供いただきました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

【関連記事】

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

Hinata Yoshiokaの最近の記事