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過剰反応それとも正当防衛?!若手有望選手に対する不当なストライク判定でマリナーズがMLBに文書を送付

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
レイズ戦ですとらいくっ判定に抗議し退場処分を受けたサービス監督(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【マリナーズがMLBに正式文書を送付】

 4月24日のオリックス対ロッテ戦で、ストライク判定を巡って白井一行球審が佐々木朗希投手に対してとった行動が、今も日本国内では大きな関心事になっているが、MLBでもストライク判定が大きな問題になってしまった。

 MLB公式サイトなど米メディアが報じたところでは、マリナーズが今シーズンMLBデビューを果たした有望新人選手に対する不当なストライク判定を巡り、MLBに公式文書を送付したようだ。

 マリナーズが主張することが事実だとするならば、選手差別にもなりかねない大きな問題だ。だがここ数年人種差別問題に厳しく対処しているMLBの現状を見れば、特定選手にだけストライク判定が変えられているというのは考えにくい面がある。

 いずれにせよマリナーズからの文書を受け取ったMLBが、どのような反応をするのかに注目が集まるところだ。

【レイズ戦で退場処分を受けたサービス監督】

 前述のMLB公式サイトの記事によれば、現地時間の4月28日に行われたレイズ対マリナーズ戦の試合後メディアに対応したスコット・サービス監督は、MLBに文書を送付したことを明らかにした。

 文書の内容は、チームが最も期待を寄せている有望新人選手のフリオ・ロドリゲス選手に対するストライク判定が不当ではないかというものだ。

 この日もロドリゲス選手は6回に見逃し三振になっているが、3球続いた高めのボールの判定を巡り球審に抗議をしたサービス監督が退場処分を受けている。

 MLB公式サイトでマリナーズを担当しているダニエル・クレイマー記者は、この一連の投球の動画をTwitter上で公開しているので、チェックして欲しい。

【ロドリゲス選手の見逃し三振数17はMLB最多】

 もちろん今回の判定だけで、マリナーズがMLBに正式文書を送付するはずがない。

 シアトル・タイムズ紙のライアン・ディビッシュ記者の記事によれば、サービス監督は以下のように経緯を説明している。

 「コロナの陽性反応で1週間自宅待機しながら試合を観戦していたが、とにかくフラストレーションが溜まった。

 本当にフリオはよくやっている。現在彼が置かれている状況を、あそこまで冷静に対処できる人物はそう多くはいないだろう。彼は一言も抗議していないし、アプローチを変えず、ボール球に手を出そうとしない。

 とにかく間違っている。彼は21歳だ。プレーさせてやって欲しい」

 この日の見逃し三振を加え、ロドリゲス選手の見逃し三振数はMLB最多の17となっているが、Twitter上に投稿されている下記の動画を見る限り、マリナーズ戦の中継TV局も、以前から彼に対するストライク判定に疑問を抱いていたようだ。

【ストライクゾーンの可視化でストライク判定が重要な争点に】

 先日本欄でも報告しているように、すでにMLBは、中継TV局がストライクゾーンを可視化し、さらに専門家がSNSを通じて審判をデータ分析する時代になった。

 これまで曖昧だったストライク判定に、現在のファンは間違いなくその正誤を求めるようになっている。時代の潮流を考えれば、今後ストライク判定も他の判定同様に先端技術の力を借りなければいけなくなりそうだ。

 今回マリナーズが訴えた不満は、彼らのみならず他のチームも感じていることではないだろう。現状のままでは、これからも不満の声が止まりそうにない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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