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東京都医師会が緊急謝罪:パチンコ業界への風評で

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

さて、東京都医師会から以下の様な謝罪&訂正文が発表されました。以下、公式サイトからの転載。

5月13日開催の記者会見における発言の一部訂正について

https://www.tokyo.med.or.jp/18877

5月13日に開催いたしました記者会見におきまして、配布資料「都民の皆様と考える、これからのライフスタイル」を説明する際に「ライブハウス、パチンコ、ジムなど今回クラスターが本当に発生した場所をどう運営するか知恵がわれわれにはないが、運営の方々に新しいスタイルを考えてもらいたい」という発言がございました。

現在のところ、パチンコ店においてクラスターが発生したという情報はなく、三密の発生しやすい場所という部分で、他の施設と混同しての発言となってしまいました。

関係各所の皆様におかれましては、事実誤認の発言によりご迷惑をお掛けいたしました。今後は、正しい情報を発信していくよう努めてまいります。訂正させていただくとともに深くお詫び申し上げます。

4月24日に大阪府が行った新型インフル特措法に基づく施設名の開示以降、なぜか全国自治体によるパチンコ店のみを対象とした施設名の開示が続きましたが、上記で東京都医師会が訂正&謝罪をおこなっている様に全国パチンコ店において、これまでクラスターが発生したという事実は「ありません」。

それどころか、業界団体加盟率が他業界と比べると異常に高いパチンコ業界では、各都道府県の遊技組合を中心に加盟企業への自粛呼びかけが強力に行われており、業界誌調査ではゴールデンウィーク中の休業率は、調査対象8,300軒のうち8,196軒、98.7%(コロナ禍前から休業していた店舗、自粛要請の出てない地域の店舗等を除く)に及んでいるなどという調査結果も発表されていました。業界単位でみた場合、この程までに高い休業率を達成している業は他産業にはほぼ存在しないどころか、多くの業界はこの様な産業内休業率すら集計されていない中で、公民束になってパチンコ店のみをターゲットとして糾弾を繰り返す様は「普段から気に入らなかった/以前から怪しいと思っていた」という理由だけで数万人の人間を文字通り「吊るし上げた」と言われる中世ヨーロッパにおける「魔女狩り」と同様の状態であると言って良いでしょう。

ましてやその過ちを、医療科学に基づいて社会に広く情報発信する立場にある東京都医師会が犯してしまったとするのならば、それは本当にあってはならない事といえます。

この様な世間的な風潮に対して、世の中には偏見を排除し、事実に立脚しながら、コロナへの対策を進めている主体もあります。その代表格が、愛媛県の中村県知事。愛媛県では5月8日に、パチンコ店を含む様々な商業者に対する営業自粛要請の緩和が行われました。以下は、その時に行われた中村県知事による会見の模様。

中村県知事:

誘客、遊技施設で全国的に注目を浴びたのがパチンコ店だったと思います。パチンコ店については、実はまず第一点に、これまでに全国的にクラスターが発生した事例はありません。それから四国の状況で御座います。ゴールデン連休中は徳島県、高知県についてはパチンコ店は休業要請外としてオープンしていました。香川県は休業対象となっていましたが、これは連休明けに解除されるということで、四国は他3県がパチンコ店はすべて開業という判断をしております。その結果、四国内においては愛媛が開いているから県境を越えてこちらに来るという人の流れというのはないという風なことになります。

そしてまた、勿論ギャンブル依存症等、業界にはまだまだ問題はありますけども、法律で認められている業態であるということ。そしてもう一つは愛媛県の経営者の皆さんは、実は他の県の様に我々は協力金をセットにしませんでした。協力金ゼロであったにも関わらず県の要請をしっかりと受け止めて、要請翌日から全店県内のパチンコ店は速やかに休業して頂きました。本日も休業中で御座います。

いわば地域への配慮というものが、他県では要請に従わない店があるようですけども、そういう経営者は居ないという事だけは私は皆さんに伝えておきたいと思います。勿論、無条件ではありません。三密の対策をしっかり採った上での緩和という事で御座いますので、その点皆さんにお伝えしておきたいと思います。

改めまして、東京都医師会の皆様に対しては特定業界に関する誤った情報を広く発信してしまった事に猛省を即すと共に、中村・愛媛県知事におかれましては逆に偏見を排した、冷静な政策判断を行って頂けていることに深く賞賛を送りたいと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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