おせちに良く使用されるイクラ。子どもが初めて食べて発症することが多いアレルギーの相手です
年始に食べるおせちなどには、『いくら』や『かずのこ』など、魚卵がよく使われていますよね。
日本では、さまざまな魚卵が食べられています。
魚卵やその加工品は、日本以外でもロシア、トルコ、ギリシャ、ポルトガルなどでも広く生産生産されているのですが、日本ほど魚卵を生や加工品で輸入している国はありません[1]。
そして、日本における魚卵アレルギーは多く、原因となる食べ物として魚卵は6位に位置しています[2]。
そして魚卵アレルギーは、たべてすぐ起こる、『即時型アレルギー』が多く、年末年始に発症すると大変です。
そこで今回は、魚卵アレルギーに関してお話してみたいと思います。
子どもの魚卵アレルギーは多い
魚卵アレルギーは全体としても少なくないのですが、『新しく発症する』食物アレルギーとして、1歳~2歳においては食物アレルギーの3位、3歳~6歳においては2位となっています[2]。
おせちで初めて魚卵を食べて症状があった、ということもめずらしくないということです。
魚卵のなかでもイクラアレルギーがもっとも多い
魚卵にはたくさん種類がありますよね。
イクラやすじこ(サケの卵)、タラコ(スケトウダラの卵)、かずのこ(ニシンの卵)、キャビア(チョウザメの卵)などです。
そして魚卵アレルギーの中で一番多いのはいくらアレルギーで、魚卵アレルギー全体の中の95%を占めると考えられています。残りの5%のなかで多いのはタラコです[2]。
なお、おせちに使われることの多いカズノコ(ニシンの卵)や、最近良く食べられるようになっているトビコ(トビウオの卵)に関する研究結果はほとんどありません。
イクラアレルギーは、どんな症状を起こしやすい?
イクラアレルギーを疑われて、実際にイクラ10g(軍艦巻き1つ~2つ程度)を食べ、どれくらいの確率で症状があったかを調べた研究があります[3]。
すると62人中34人が陽性となり、症状は、吐いたりお腹が痛くなったりといった消化管症状が88%と最も多く、じんましんや皮膚がかゆくなるといった皮膚粘膜症状が59%でした。
イクラアレルギーがある場合に、鶏卵・魚肉はどうする?
ではイクラのアレルギーがあった場合、例えば鶏卵や魚肉に関してもアレルギーを起こすかというと、基本的にはほとんどアレルギーとしては重ならないということがわかっています[4]。
ですので、イクラアレルギーがあっても多くの人が鶏卵を食べられますし、イクラが食べれないからといって魚を食べられないというわけではありません。
いくらアレルギーがある場合に、他の魚卵はどのように考える?
では、いくらアレルギーがあった場合に、他の魚卵のアレルギーがある可能性はどれくらいあるでしょうか?
イクラアレルギーのある患者25人に対し、タラコやシシャモの卵にアレルギーがあるかどうか確認した研究があります。すると、タラコアレルギーのひとは25%、シシャモの卵アレルギーのある人は11%しかいなかったという結果でした[5]。
いくらアレルギーがあっても、他の魚卵は食べられる可能性はあるということですね。
とはいえ、年末年始にチャレンジをする理由はないでしょうから、医師に相談してくださいね。
さて今回は、魚卵アレルギーに関して、簡単に解説してみました。
年末年始に魚卵を初めて食べる場合、とくにイクラに関しては十分気をつけておいてくださいね。
この記事が、なにかのお役にたつことを願っています。
そして今年一年、記事を読んでいただきありがとうございました。
参考文献
[1]Academic Press; 2022:211-242.
[2]令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書(令和4年3月消費者庁)
2022年12月31日アクセス
[3]Pediatric Allergy and Immunology 2016; 27:324-7.
[4]日本小児アレルギー学会誌 34(3): 400-407, 2020.
[5]小児科臨床 71(3): 324-330, 2018.