三条2戦目、コツコツと1点ずつ取ってソフトバンクに逆転勝ち!《6/5 阪神ファーム》
5日も新潟県三条市の三条パール金属スタジアムでウエスタン・阪神-ソフトバンク戦が行われました。前日は完封負けを喫し、寂しい思いをされたであろう阪神ファンの皆さんも、この日は逆転勝ちに沸いてくださったようです。三条市が生まれ故郷という掛布監督は「2歳までしかいなかったので記憶はあまりないんですよ」と言いながらも「新潟の方も、勝って喜んでくれたんじゃないかな」と笑顔でした。
ただ田面投手が先取点を与え、こちらも打線爆発とはいかずにコツコツと1点ずつ返す展開で…。溜飲を下げるところまではいかなかったかもしれませんね。でも6回に1点差とし、7回に追いつき、8回に勝ち越しと大盛り上がり。リリーフ陣は、鶴投手以外みんな走者を出しながら粘りのピッチングで逃げ切っています。
この日のヒーロー賞(MVP)は勝ち越し打の梅野選手。昨年に続いての受賞です。
《ウエスタン公式戦》6月5日
阪神-ソフトバンク 14回戦 (新潟三条)
ソフ 210 001 000 = 4
阪神 001 101 11X = 5
◆バッテリー
【阪神】田面-山本-鶴-○筒井(3勝3S)-S福原(5S) / 鶴岡-坂本(7回~)
【ソフ】笠原(6回)-柳瀬(1回)-●島袋(2勝4敗)(1回) / 斐紹
◆本塁打 江川3号2ラン(田面)、鶴岡1号ソロ(笠原)
◆二塁打 江越2、陽川、梅野
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]一:中谷 (4-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .277
2]二:森越 (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .174
3]中:江越 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .256
4]三:陽川 (3-2-2 / 1-0 / 0 / 1) .375
5]左:伊藤隼 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .143
〃左:緒方 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .252
6]指:梅野 (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .218
7]右:柴田 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .215
8]捕:鶴岡 (1-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .320
〃捕:坂本 (2-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .231
9]遊:植田 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .114
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
田面 5.2回101球(6-5-5 / 4-4 / 5.65) 147
山本 0.1回 12球 (2-0-0 / 0-0 / 2.57) 141
鶴 1回 8球 (0-1-0 / 0-0 / 1.54) 145
筒井 1回 29球 (0-3-2 / 0-0 / 2.91) 144
福原 1回 19球 (0-1-1 / 0-0 / 6.97) 145
試合経過
前日同様、先取点はソフトバンクでした。田面は1回1死から釜元に四球を与え、続く江川に左中間への2ランを浴びます。2回は先頭・金子圭と斐紹に連打され、さらに暴投で無死二、三塁として2死後に福田の左前タイムリー。3回にも四球と連打などで1死満塁のピンチを作りましたが、ここは斐紹を遊ゴロ併殺打に打ち取って無失点です。
ソフトバンクの笠原に2回まで完璧に抑えられた打線は3回、1死から鶴岡がチーム初ヒットとなる今季1号ソロを左中間の芝生席へ放り込みました。4回は森越が四球、江越は三塁線を破る二塁打で無死二、三塁として、続く陽川が右犠飛!これで3対2と1点差に詰め寄ります。
田面は4回を三者凡退に、5回は先頭から2四死球だったものの投ゴロ併殺打などで無失点と粘り、6回も簡単に2死をとりましたが、代打・幸山に四球を与えたところで降板。代わった山本は川瀬と福田に連打を浴びて4点目を許し、また2点差。
するとその裏、1死から江越が三塁線突破の二塁打を放ち、陽川がレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打!即座に再び1点差とします。2死後に梅野の四球で一、二塁となりますが、やはり1点止まり。7回は鶴と坂本のバッテリーが、最後は森越の好捕による二直もあり三者凡退に抑えました。
7回裏は柳瀬に代わったソフトバンク。まず先頭の坂本が右前打、植田がバントを失敗したあと、盗塁とキャッチャーの送球エラーで三塁へ進んだ坂本は、中谷の右前タイムリーで生還!この回も結局は1点で終わりましたが、ついに4対4の同点に追いつきます。
8回表は筒井が登板し、2四球で走者を出すも三振3つで0点。三振、四球、三振、四球、三振という内容でした。そしてその裏、ソフトバンク3人目・島袋に対し、陽川が中前打し、緒方の犠打で1死二塁。続く梅野の左中間へのタイムリー二塁打で勝ち越し!
9回は大きな拍手に迎えられた福原が、1死から釜元に四球を与え、2死後にカニザレスの三ゴロを陽川が送球エラーして一、三塁としますが、最後は塚田を初球で捕邪飛に仕留めて、坂本がしっかりキャッチして試合終了です。
掛布監督、8回の1点を評価
掛布監督は「きのう(の試合結果)があったから、ここまで粘れたのかもしれない。細かいミスは出たけど、よく8回に1点取ったよ。そういう意味で選手ひとりひとり、ゲームの準備ができていた。負けられない、という気持ちで」と試合を振り返りました。
梅野選手について「状態はよくなってるね。原口が上で打っていたり、坂本が帰ってきたり、いろいろな刺激を受けながら、彼は1軍でやらなきゃいけないキャッチャー。バッティングの状態、守りの方もいろいろ考えてね。守りも粘りが出てきています」とのこと。
また陽川選手には「打てるボールを仕留める確率をあげないと。仕留められるボールを打ち損じてしまうことが多い。脆さもあるけど、割り切っていけるように。ボール球で崩されて、軸をずらされている。打てるゾーンで確率を上げることですね。そのあたりの頭の整理が、だいぶできてるんじゃないかな」と、上向きという分析です。
相手の打つ気をそぐ配球を
次に久保投手コーチによる田面投手談をご紹介しましょう。「ホームランはタイミングが合ってたかな。ちょっとまた(ランナーを)出して、でもそういうとこで抜け出せたからね。今までは心配したら、そのまま心配だったけど。こういうのが成長。ただ、きょうは6回まで投げさせたかった。最後のフォアボール(代打・幸山選手)が惜しいですねえ!余分でした。あそこは完了してほしかった」
その対策として「ゲームの中でしかわからない相手との間合いとかがある。1軍で実感しただろう。真面目すぎるピッチングでは、相手と波長が合ってしまう。ふっと抜いて、相手の“打つ気”をそらすとかしてほしいね。例えばフォークを抜いてみたり、カーブを遅めにしたり。いいボールがいいボールになるように」という話でした、
田面投手は「同じテンポで投げて、リズムとかがバッターと合っちゃったんで…。ずらすとか配球を変えるとか、気をつけていかないといけないですね」と話しています。バスへ急ぐところを足止めしたもので、短くてすみません!
「よく粘った。そこが成長」と鶴岡
続いて鶴岡選手。ホームランには「真っすぐですね」と一言だけで「僕のことはいいから、梅野や坂本のヒットを聞いてやって」と言われました。
では田面投手の話を。よく持ちこたえた?「悪いなりのピッチングができた。よく粘ったなあ。そこが、あの子の成長。きょうはそんなによくなかったけど、それなりのピッチングはできたかなと思うよ。自分で出してしまったフォアボールだけど、要所でのダブルプレーも大きかった」
コメントが何だかコーチみたいですね。私は野球教室を見て『鶴岡総監督』と名付けましたけど(笑)。「あの子の成長」って言葉は聞いていて嬉しくなったくらいです。ほんと頼りになる、頼もしい鶴岡さん。
それともうひとつ。久保コーチが「筒井はボール自体、ずっといいよ。“出番待ち”やね」とつけ加えました。出番とはもちろん1軍の、です。
6試合連続2安打ずつの陽川
陽川選手は4回に犠飛、6回がレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打、そして8回は中前打を放って勝ち越しのホームを踏みました。この日もマルチで、6試合連続の2安打ずつとなっています。
掛布監督いわく、頭の整理ができていると。「1つ1つの配球だったり、空振りしたボールに対して切り替えができていますね。数字が残っているってのはありますけど、待っている球をとらえることができているかなと思います」
打席に入る前から、待つ球を決めて?「追い込まれるまでは決めています。でも、違う配球に反応してヒットにもできている。いい状態だと思っています」。その要因は?「打席の中で余裕が出ているのか一番。それが一番、結果に結びつきますね」
ちなみに、6回のタイムリー二塁打でレフトの江川選手は両手を挙げる仕草をし、それを見た陽川選手は走りながら「あれ?入るんかな?と思いましたよ~」と苦笑い。私も騙された1人です。見事なフェイクに。
梅野「集中して」勝ち越し打!
終盤に貴重な勝ち越しのタイムリー二塁打を放った梅野選手は「集中していました」という言葉。試合前に、前日のプレー(三塁への牽制球が逸れ、梅野選手の送球エラーとなる)を想定した練習を行っていた点を聞かれ「それは毎日のことで、反復練習も大事だし、きのうやったからというのは別にして日々、試合はあるので」と、特に何かを思うわけではないと話しています。
「結果が出たらいいし、貢献できたかな」とは、勝ち越し打のことでしょう。原口選手が1軍で打っていますね。「自分がやることをやるだけです。特別な思いはなく。ダメだから落ちたけど、ダメにするつもりはない。状態を上げていきます」
植田、左打席のバントに苦戦
森越選手はこの日セカンドを守り、2併殺に絡んだだけでなくライナーもナイスキャッチ!いい守備を見せました。「タイミングです。タイミングだけ」
最後に、7回無死一塁で左打席に入っての送りバントを失敗した植田選手。以前、左でも成功させたのですが、それは「セーフティーだったから」と言っていました。今回も「セーフティーだったらいけるんですけど」とガックリ。もちろん左打席でのバント練習はしっかりやっています。
「マシンの真っすぐならできる。でもスライダーとかフォークとか、ピッチャーだと来るし…」。そりゃそうですよね。「2球目はボールやと思って迷ったら、ファウルになってしまって」、最後もファウルで三振。次は決めましょう!