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源泉かけ流しばかり!「外湯が充実した温泉地」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

「よい温泉地の条件とは?」という質問に対してはさまざまな答えがあるが、筆者は次のように答えることが多い。

「外湯(共同浴場)が充実していること」。多くの場合、外湯は温泉地が形成される初期の段階から存在する。温泉が発見され、その源泉の近くに湯船がつくられ、地元の人が入りにくる。そのうち、その湯船を中心に街が形成され、まわりには旅人を受け入れる旅館が誕生する。これが温泉街の形成の一般的なプロセスである。そういう意味では、外湯(共同浴場)は温泉街の原点といえる。

したがって、共同浴場は温泉街のシンボルであり、地元の人に大事にされている。源泉も近いので湯の質もよい、というのが相場だ。だからこそ、外湯が充実している温泉地は信頼できる。

そこで、外湯が充実している温泉地を5カ所紹介したい。

蔵王温泉(山形県)

標高880メートルに位置する歴史ある温泉地。白布温泉、高湯温泉とともに「奥羽三高湯」のひとつに数えられる。スキーリゾートとしても人気で、春は新緑、夏は避暑地、秋は紅葉、冬は樹氷が楽しめる。温泉街には小さな民宿、ペンションから温泉旅館まで100軒ほどの宿泊施設があり、ニーズや予算に合った宿を選べる。3つある共同浴場はもちろん、ほとんどの施設が源泉かけ流し。

四万温泉(群馬県)

上州を代表する出湯のひとつ四万温泉は、湯量豊富でほとんどの宿が源泉かけ流し。特に『千と千尋の神隠し』のモデルとなったとされる老舗旅館「積善館」周辺は湯の街情緒にあふれ、温泉街に沿って流れる四万川の渓谷美も魅力。温泉街にある共同浴場「御夢想の湯」「上の湯」「河原の湯」は無料で入浴できる。ただし、一般客は9時から15時までと時間制限があるので要注意。

野沢温泉(長野県)

標高600mに位置する情緒あふれる温泉地で、周辺はウインタースポーツのメッカとしても有名。温泉街には旅館や土産物屋、飲食店などが並び、街歩きをするにはちょうどよい規模感。温泉街には13カ所の共同浴場があり、寸志で利用できる(賽銭箱に心づけを入れよう)。いずれも源泉かけ流しだ。温泉のついていない民宿やペンションに宿泊する人はこれらの共同浴場を利用できるので安心だ。13の共同浴場を湯巡りをするのも楽しい。

別府温泉郷(大分県)

共同浴場といえば、別府を抜きに語ることはできない。「犬も歩けば共同浴場に当たる」というくらい共同浴場が数多くある。観光の合間にふらっと地元の共同浴場に立ち寄るも楽しい。その別府の共同浴場の象徴的存在ともいえるのが竹瓦温泉。風格漂う建物は、まるで映画のセットのよう。もちろん、かけ流しの湯も最高だ。貴重な「砂湯」も楽しめる。

飯坂温泉(福島県)

福島市内の温泉街で、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅の途中に立ち寄った歴史をもつ。「鯖湖湯」や「波来湯」をはじめ共同浴場が充実しているのが魅力で、共同浴場をいくつか巡りながら、温泉街を散策するもの楽しい。源泉の温度が高めなので、総じて熱めの湯だが、シャキッと心身が引き締まる感覚が気持ちいい。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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