控え選手が魂を見せたNBAオールスターブレイク前の熱戦
ーーーエネス・カンター選手は、今日、22得点21リバウンドと良い仕事ぶりでした。ここ数試合、非常に力を発揮しているように見えます。その伸びをどのように見ていらっしゃいますか?
試合後のオンライン会見で、私はポートランド・トレイルブレイザーズのテリー・ストッツ監督に訊ねた。
現地時間3月4日、試合終了5分41秒前のスコアは98-103。ブレイザーズはサクラメント・キングスにビハインドを負っていた。が、エースであるデイミアン・リラードがチームを引っ張り、123-119で白星を挙げた。
リラードは前日の不調が嘘のようなコンディションでコートに立ち、44得点7アシストと気を吐いた。40得点超えは今シーズン4度目であり、44得点は1月30日のシカゴ・ブルズ戦と並ぶ、今シーズンのハイである。
リラードの活躍も光ったが、この日、強烈な存在感を示したのがセンターのカンターだった。
2019年のシーズン途中からブレイザーズに加わり、23試合に出場。昨シーズンはボストン・セルティックでプレーしたが、今季、再びポートランドに戻って来た。
シーズン開始当初はスターティングのセンターであるユスフ・ヌルキッチのバックアップ的なポジションだった。プレー時間も20分を超えることは稀だった。が、ヌルキッチは1月14日のインディアナ・ペイサーズ戦で右手首を骨折。以降はカンターがスターティングとなっている。30分以上コートに立つことが普通だ。
当初、ヌルキッチと比べて見劣りしていた部分が確かにあった。208cm、113kgのサイズは、213cm、131kgのヌルキッチより、一回り小さい。
しかし、ここへ来て、味方との連携が格段に良くなった。そして、このキングス戦では、チーム一と呼べる闘志を前面に出してプレーした。
オフェンスリバウンドの6も逞しかったが、15を記録したディフェンスリバウンドにおいて身体を張ってチームを救う様は、ブレイザーズになくてはならない選手となったことを印象付けた。
トルコの血が流れ、スイスで誕生したカンターは、17歳でアメリカに移り住み、ケンタッキー大を経て2011年に全体3位でユタ・ジャズにドラフトされてNBA入りした。
4シーズン、ジャズでプレーし、オクラホマシティー・サンダー、ニューヨーク・ニックスと渡り歩き、今季が10シーズン目である。
試合後、満面の笑みを浮かべながらオンライン会見に姿を見せたカンターは「とても幸せな日々を過ごしています。でも、ケガをしているプレーヤーには早く戻ってきてほしい。寂しい」と笑いを誘った。
34分19秒の出場でダブルダブルをマークしたカンターは、語った。
「コーチに休暇(オールスターでNBAは5日間休みとなる)前のラストゲームですから、プレーさせて下さい。自分の仕事をやり遂げたい、って言ったんですよ」
ブレイザーズのテリー・ストッツ監督は、冒頭の私の質問に対し、次のように応じた。
「エネスは素晴らしいスキルを持っており、自分の仕事を理解しています。チームとして、使える選手です。1試合のみの働きを期待してはおらず、シーズンの最後までいかに動くかを我々は話し合っています」
ケガ人を抱えながらのやりくりで、チャンスを得た選手がブレイクすることはままある。目下西地区5位のブレイザーズの後半戦の戦いが、楽しみになって来た。