Yahoo!ニュース

「元・北海道日本ハム」の投手が、セーブを挙げても喜ばなかった理由

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、T.ダーノー、C.マーティン、D.スワンソン Jul 31, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月31日の試合で、クリス・マーティン(アトランタ・ブレーブス)はセーブを挙げた。9回表のマウンドに上がり、ヒットと四球で2死一、二塁とされたものの、5人目のウィルソン・ラモス(ニューヨーク・メッツ)をライトフライに討ち取り、1点のリードを守りきった。

 ところが、マーティンは喜びの表情を見せることなく、一塁側のダグアウトへ歩き出した。どうやら、9回表ではなく、8回表だと思っていたらしい。途中でバッテリーメイトのトラビス・ダーノーに声をかけられ、マーティンは試合が終わったことに気づいた。上の写真のようになったのは、その後だ。

 この日は、シーズン3登板目。7月24日は7回裏、29日は8回表に登板し、それぞれ1イニングを投げた。セーブを記録したのは、今シーズンだけでなく、昨年の夏にブレーブスへ移籍してから初めてのことだ。

 ただ、試合を締めくくるのは、これが最初ではない。2015年にニューヨーク・ヤンキースで1セーブ。昨シーズンはテキサス・レンジャーズで4セーブ。2016~17年に在籍した北海道日本ハムファイターズでも、22セーブを挙げている。

 11対10の乱戦だったので、イニングを間違えたのかもしれない。それとも、どのイニングでも変わらぬ気持ちでマウンドに上がっているということなのだろうか。

 なお、マーティンは、セットアッパーからクローザーに「配置転換」されたわけではない。クローザーのマーク・マランソンが7月29日と30日に連投したため、この日はマーティンが9回表に起用された。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事