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祝・婚約。ところでパリス・ヒルトンは、最近何をしているのか

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
パリス・ヒルトンと婚約者クリス・ジルカ(写真:Splash/アフロ)

 パリス・ヒルトン(36)が、久々にメディアを騒がせている。それも、セックステープ流出や警察沙汰ではなく、婚約というおめでたいニュースだ。お相手は、32歳の俳優クリス・ジルカ。プロポーズはこの週末で、婚約指輪は20カラットのダイヤモンドだったらしい。仲良しの妹ニッキーは、2015年にロスチャイルド一族の男性と再婚し、昨年秋、ふたりめを生んでいる。

 妹とともにヒルトン姉妹としてパリスがマスコミを騒がせ始めたのは、2000年前後のこと。トランプのモデル事務所でデビューしたが、むしろ、セレブの集まるパーティやファッションショーにせっせと出かけたことで、ソーシャライトとして有名になった。いわば「なぜ有名なのかわからないけれど有名」なセレブの走りである。

 比較的控えめなニッキーと違い、パリスは表に出るのが大好きで、映画にカメオ出演をしたり、歌手デビューを果たしたりしては、世間の注目を集めようとした。だが、彼女を最も有名にしたのは、「It’s hot」の口癖と、元恋人が2003年にリリースしたセックスビデオ、そして同じ時期に放映が始まったニコール・リッチー共演のリアリティ番組「The Simple Life」だ。ホラー映画「蝋人形の館」やコメディ「The Hottie and the Nottie(日本未公開)」などにも出たものの大コケで、最悪の演技に対して送られるラジー賞を受賞するに終わっている。

 その後もリアリティ番組はいくつかあり、飲酒運転やコカイン 、マリファナ所持などで何度か悪い話題を提供したが、ここ7、8年は、あまり姿も、名前も見ない。お騒がせ度では、「なぜ有名なのかわからないけど有名」仲間のキム・カーダシアンにすっかり負けている。だが、その間、彼女は女性起業家としての道を着実に歩んできた。そして今や、総資産3億ドル(約337億円)を築くまでになったのである。

フレグランスの売り上げは20億ドル以上。DJのギャラは一晩100万ドル

 大手化粧品メーカーと組んで自分の名前の香りを出しているハリウッドセレブは、サラ・ジェシカ・パーカー、リアーナ、ケイティ・ペリー、ジェニファー・アニストンなど、数多い。しかし、これまでに23種類をリリースしたパリスは、ジェニファー・ロペスと並ぶ、このジャンルのリーダーだ。2004年から現在までのフレグランスの売り上げは総額20億ドル以上とされる。ほかにも、ハンドバッグ、時計、サングラス、服など、19種類の商品を展開。それらを集めた専門ブティックも、世界に50軒ある。

 ホテル一族に生まれた彼女はまた、フィリピンに初の自分のホテルをオープンした。今後、ドバイ、ニューヨーク、ラスベガスにもオープンする話があるという。近年はまたDJとしても活躍。一晩100万ドル(約1億1,200万円)のギャラを稼ぐのだそうだ。VRゲームが大好きで、自分のゲームを開発する企画もある。

 幅広いことを手がけ、年間250日をL.A.の自宅以外で過ごすという彼女は、今年、ビジネスウーマンとして活躍するための指南書も出版の予定だ。「It’s hot」で沸かせた頃に出した1冊目の著書「Confessions of an Heirless(相続人の告白)」は、ある意味ジョーク本だったが、今度の本がまじめな内容になるのかどうかはわからない。

「Confessions〜」では10万ドルの前払いをもらい、結果的にベストセラーになったことで、かなりしっかり儲けている。この頃から、某オスカー女優は、彼女について「みんなが思うほどバカじゃないかもよ」と言っていたし、パリス本人も「おバカなブロンドでいるのにもそろそろ飽きてきた」と言ったことがある。そのイメージから移行を始めて10年近くなる今、彼女は、リアリティ番組のスターではなく、家庭と仕事を両立する女性起業家の立場を築こうとしているのだ。24歳だった彼女を筆者がインタビューした時にも、「将来は、結婚して、子供を作って、仕事もするサクセスフルな女性になりたい」と語っていたことを思えば、ちゃんと思い描いた人生を歩んできたとも言える。

 過去に婚約解消も2度経験している彼女だが、今度こそ本当にウエディングドレスを着るとあれば、それもまた新たなビジネスのチャンスになるだろう。そのうち、ベイビーグッズや子供服にも手を広げるのではないか。いや、それこそ、リアリティ番組のネタになりそうだ。彼女が「結婚して、子供を作って、テレビの仕事もほかの仕事もするサクセスフルな女性」になる日も、そう遠くないかもしれない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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