キラーロボットの脅威を訴えた2本の動画:国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチが日本語字幕
2021年12月にスイスのジュネーブで国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons: CCW)の会議が開催されて、自律型殺傷兵器について議論されていた。AI(人工知能)技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。
AI技術の軍事への活用は積極的に行われており、アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、トルコなどでは自律型兵器の開発が進められており、現実的な兵器となってきている。実際の紛争で自律型殺傷兵器で攻撃を行ったのは初めてのケースとして、2020年3月にリビアでの戦闘で、トルコ製の攻撃ドローンKargu-2が兵士を追跡して攻撃を行った可能性があると、国連の安全保障理事会の専門家パネルが2021年3月に報告書を発表していた。キラーロボットの脅威は現実味を帯びてきている。
現在、人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界で30か国が自律型殺傷兵器の開発や使用に反対しているが中小国がほとんどだ。CCWでも一致した結論は出ずに「これからも自律型殺傷兵器の開発や使用については継続して協議をしていく」こととなった。
「判断が完全自動化されていたら、あなたは今生きていないかもしれません」
日本人にはあまり馴染みのないキラーロボットだ、が国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが日本語の字幕付きで2018年11月と2020年7月に動画を公開している。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチはキラーロボットの開発と使用に反対しており、国際NGO団体のキラーロボット反対キャンペーンのコーディネーターを務めている。両動画ともオリジナルの動画に日本語字幕を付けている。
2018年11月に公開された動画は「完全自律型AI兵器のもたらす未来とは?」というタイトルでキラーロボットの脅威を訴えている。そして最後に「世界の国々が強調すれば、2019年末までに国際禁止条約について交渉を進めることができます」と伝えているが、現状では国際社会の足並みはそろっていない。
2020年7月に公開された動画は「キラーロボットがもたらす未来とは?」というタイトルで、1983年の米ソ冷戦期に米軍で働いていた人が登場して、人間の判断が入ったことによって世界規模での核戦争にならないですんだ歴史的な出来事を紹介して「この判断が完全自動化されていたら、あなたは今生きていないかもしれません」と訴えている。
▼「完全自律型AI兵器のもたらす未来とは?」(2018年11月)
▼「キラーロボットがもたらす未来とは?」(2020年7月)