大企業とベンチャー企業のコラボが上手くいかない理由
■伝統的大企業とベンチャー企業のコラボにおける理想と現実
ヒト・モノ・カネのアセットを潤沢に抱えているはずの伝統的大企業。斬新さとスピード感に溢れるはずのベンチャー企業。ふたつがコラボすれば、いかにもイノベーション的なものを起こせそうな気がするが、実際はなかなかうまくいかないようだ。
理想は、
<ベンチャー企業>
スピード感と斬新さに溢れるけど貧乏なベンチャーが、独力では1000年かかっても得られないような大企業のアセットを次から次へと引きだし、一気にジャンプする。
<伝統的大企業>
アセットはあるけど「時代に応じた編集」をしきれない大企業がベンチャーのスピード感とハチャメチャ感にのっかりアドベンチャーして新領域を開拓する。
いかにもうまく行きそうな話だけど、そう甘くはないようだ。多くのコラボが道半ばで倒れる。しかも計画の段階でダメになる。どうやったらうまくいくんだろう。
そんなことを悶々と考えながらfacebookのタイムラインを眺めていたら、師匠の田村誠一さんと友人の菊本洋司さんを発見した。
facebookでのやり取りをコピペする前に、登場人物の二人をざっくりと紹介する。
田村誠一
アクセンチュア エグゼクティブパートナー(戦略コンサル)→ 企業再生支援機構 マネージングディレクター(再建屋)→ JVCケンウッド最高戦略責任者(伝統的大企業)
愛称:「たむ」
特徴:ビジネススクールで学生を調練するのが大好きなドSの側面と、いかにも大変そうな会社を選んで飛び込んでいっちゃうドMの側面を併せ持つ。
菊本洋司
日本ヒューレット・パッカード(昔はかなりいい感じだった会社)→ VMware(今現在イケイケの会社)
愛称:「きくちゃん」
特徴:超ポジティブで、一緒にいるだけで元気になれる。
《以下facebookからのコピペです。》
岩佐 大輝:田村 誠一さんに質問。伝統的大企業とベンチャーのコラボのKSF(コツ)を3つお願いします。いろいろなパターンはありますが、典型的なやつ。
田村 誠一:男女関係と同じです。
(1) 相手に何を期待するのかではなく、自分が何を提供できるのかを考えること、
(2) 短所は見て見ぬふりをし、長所を誉めること、
(3) 一度に多くの成果を求めず、小さな成功を積みあげていくこと。
岩佐 大輝:田村さん、それだ!
田村 誠一:今、大企業にいて、ベンチャー企業とJV作ったり、ベンチャー企業に出資したり、はたまたVCにLP出資したりするなかで、そう感じます。
岩佐 大輝:ありがちなのは、
(1) 相手から少しでも多くのものを得ようともたれかかり、
(2) スピード感と仕事の精度の違いを罵り合い、
(3) 最初から完璧なビジネスプランを創ろうとすること。
かな。
田村 誠一:だよね~
岩佐 大輝:田村さん、もういっこ質問。大企業側の担当者に必要な能力や資質があれば3つ。
田村 誠一:
(1) 東北東に12キロ進め、ではなく、取り敢えず東に向かおう、と言えるいい加減さ、
(2) 意思決定に執着せず、平気で朝令暮改する無神経さ、
(3) 役割分担に無頓着で、何にでも首を突っ込む図々しさ。
少ないけど、ときどきいます。大企業にも。
田村 誠一:むしろ、日の当たらない部署のヒトのほうがいいかもね。
菊本 洋司:相手のことを考えられる人って、会社の規模を問わず大事ですね。
岩佐 大輝:なるほど。それができそうでできないむずかしさは大企業の担当者が、
(1) 担当者が減点主義で評価されるからアップサイド狙ってもインセンティブがない、
(2) エンパワメントされ切ってない(にぎれてない)からざっくり感では進めない、
(3) そもそもベンチャーと一緒なんてどうしていいか分からない、
とかありそうですね。
岩佐 大輝:大企業では本流からはずれちゃって、もはや失うものがない状態で暴れている人の方が、大企業のアセットをうまく引っ張り出して有効活用できていたりするかもしれないなぁ。思い切りもいいし。
岩佐 大輝:そそ、菊ちゃん、何万人いる大企業×ベンチャーでも、接点は担当者×担当者ですからね。人ですよね。
菊本 洋司:最近、『起業家のように起業で働く』って本を読んだところなんだけど、企業でリスクをとって社外リソースを活用できる人が超重要だと。企業規模のギャップがあるほど、同じ景色を共有出来る両者の担当者が超重要なんだろうねぇ。
岩佐 大輝:まとめると、ベンチャーの創業経営者がどんだけアホかを理解するために、最初に僕の本を読むことですね。ふふふ。皆さん今日も素敵な一日を!
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《以上facebookからのコピペ終わり。》
■ベンチャーの創業経営者も大企業を知る努力をすべし
僕がベンチャー経営者ということもあって、このfacebookを見ると大企業もっと頑張らなきゃという論調が強いように見えますが、もちろんベンチャー経営者も大企業を理解する努力をしなければならないのは同じですよね。
ということで、男女の関係のように甘酸っぱく、大企業とベンチャーのコラボを実現させてイノベーションっぽいことを起こしましょう!