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藤井聡太叡王、五冠堅持か? 出口若武六段、初タイトル獲得か? 4月28日、叡王戦五番勝負開幕!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月28日。東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」 において第7期叡王戦五番勝負第1局・藤井聡太叡王-出口若武六段戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 前期五番勝負は豊島将之叡王に藤井聡太二冠が挑戦(立場は当時)。フルセットの激闘の末、藤井新叡王が誕生しました。

 藤井叡王は今期、叡王位初防衛を目指す立場です。

 史上最年少19歳で五冠を保持する藤井叡王。それらをキープしたまま、六冠、七冠、そして全八冠制覇への期待もかかっています。

 藤井叡王にとっては今期五番勝負は8回目のタイトル戦番勝負の舞台。おそるべきことに、過去には一度も敗退していません。

 過去7回対戦したのは渡辺明名人(3回)、豊島将之九段(3回)、木村一基九段(1回)と、いずれもタイトル獲得経験のあるトップクラスです。若手実力者・出口新六段との対戦は、新鮮な組み合わせとなりました。

 出口六段は井上慶太九段門下の若手実力者です。ちなみに昨年の今頃、北村桂香女流初段との結婚が発表されました。

 出口挑戦者は今期、段位別予選の五段戦を勝ち抜きました。

 本戦では村田顕弘六段、斎藤慎太郎八段、佐藤天彦九段、服部慎一郎四段を連破。タイトル戦初登場を決めるとともに、六段昇段を果たしました。

 2021年度成績は、藤井叡王は52勝12敗(勝率0.8125)。出口六段は39勝14敗(勝率0.7358)です。

 今年度は、藤井叡王は本局が初対局。出口六段は本棋戦挑決の勝利などを含め、現在3勝1敗です。

 なお出口六段の誕生日は本局がおこなわれる4月28日。記念すべきタイトル戦初陣の日に27歳となります。

過去の対戦

 両者はともに奨励会に在籍していた2016年6月、三段リーグで対戦しています。結果は藤井三段の勝ち。史上最年少14歳2か月での藤井四段誕生につながりました。

 2018年。藤井七段と出口奨励会三段(段位は当時)は新人王戦を勝ち抜き、決勝三番勝負に進出。結果は藤井七段が2連勝で優勝しています。

 両者が棋士になって以降は藤井2勝、出口1勝です。

 直近の一局は2020年3月の棋王戦予選で、出口勝ちでした。

下馬評は藤井ノリだが

 今期五番勝負、下馬評では藤井叡王防衛を予想する人が圧倒的に多いでしょう。

 しかし出口六段は過去に藤井叡王から白星をあげています。現在も充実著しく、初タイトルを獲得して、なんら不思議ではありません。ニューヒーローの誕生も十分に考えられそうです。

 叡王戦の持ち時間は各4時間。すべての時間をカウントするチェスクロック方式で、タイトル戦の中ではもっともスピーディーな設定。通例では夕方から夜にかけて終局となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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