村上宗隆だけじゃない!史上初の三冠王日米同時達成に期待がかかるポール・ゴールドシュミットの打棒
【史上初めて日米で同時三冠王達成のチャンス】
NPBでは現在、ヤクルトの村上宗隆選手が打撃主要3部門でセ・リーグ首位に立ち、2004年の松中信彦選手以来となる三冠王達成に期待が高まる中、シーズン終盤を迎えたMLBでも同様に、三冠王を射程圏に見据える選手が現れた。
現地時間の8月25日に行われたカブス戦に「3番・一塁」で出場したポール・ゴールドシュミット選手が4打数3安打2本塁打5打点の活躍でチームの勝利に貢献した。
すでに打率でMPBトップに立ち続けているゴールドシュミット選手は、この日の活躍で今シーズンの通算打点105に伸ばし、メッツのピート・アランソ選手を抜いてナ・リーグ単独トップに立ち、通算本塁打数も33に伸ばし、リーグ単独1位に立つフィリーズのカイル・シュワバー選手に2本差に迫ることに成功している。
シーズン後半戦に入りますます打撃好調ぶりを見せているだけに、三冠王達成の可能性が高まってきた。
【MLBの三冠王達成者はたった8人だけ】
仮に村上選手が三冠王を達成した場合、史上8人目、通算12度目の快挙となるが、NPBより長い歴史を誇るMLBでも三冠王達成は決して多くはない。近代野球として分類される1900年以降で三冠王達成者は8人で、計15度しか快挙は生まれていない(1900年以前でも2人のみ)。
最も直近の達成者は2014年のミギュエル・カブレラ選手で、それ以前となると1967年のカール・ユストレムスキー選手まで遡らなければならないほど、三冠王達成は非常に難しくなっている。
2018年にブルワーズのクリスチャン・イエリチ選手がシーズン終盤まで三冠王を争う活躍を見せていたが、最終的に打点は1差で2位タイ、本塁打数は2本足りず3位タイに終わり、首位打者のタイトルを獲得しただけに止まった。
ちなみにゴールドシュミット選手はナ・リーグ所属選手なので、同リーグの三冠王達成者ということになれば1937年のジョー・メドウィック選手(奇しくもゴールドシュミット選手と同じカージナルス所属)以来の快挙となる。
もちろん同一シーズンにMLBとNPBの両リーグで三冠王達成者が出たことは、過去に一度もない。それだけ珍しいシーズンになる可能性が出てきたのだ。
【シーズン後半戦に入り前半戦を上回る長打力を披露】
シーズン前半戦までブルワーズと熾烈な地区首位争いを演じていたカージナルスだが、後半戦に入った途端、ここまで22勝9敗と勝率7割を超えるペースで勝ち続け、ブルワーズを6.0ゲーム差まで引き離し、独走態勢を固めようとしている。このチームの快進撃を牽引しているのが、ゴールドシュミット選手の打撃だ。
今シーズンのゴールドシュミット選手は前半戦から打撃好調ではあったが、後半戦に入りさらに打撃が上がっている。前半戦の打率でも.330を記録していたが、後半戦は28試合に出場し.364を残しているのだ。
特に長打力が顕著な進化を見せており、前半戦の長打率は.590だったのに対し、後半戦は.785まで跳ね上がっている。それに伴い本塁打率も改善され、前半戦は1本塁打当たり4.5試合ペースだったのに対し、後半戦は2.2試合ペースと完全に量産態勢に入っている。
【すでにナ・リーグMVPの最有力候補に】
8月5日にMLB公式サイトで公開された今シーズンのMVPを予測する記事によれば、ゴールドシュミット選手はナ・リーグMVPの最有力候補で、現在のような活躍を続けていけば満票受賞できる可能性すらありそうだ。
ちなみに前述の2018年のイエリチ選手は三冠王こそ逃したものの、30票中29票の1位票を獲得し堂々ナ・リーグMVPに輝いている。
果たして史上初の日米両リーグの三冠王達成は実現するのか。村上選手のみならず、是非ゴールドシュミット選手にも注目して欲しいところだ。