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「ラヴィット韓国ロケ騒動」 当地・韓国での反応 番組での女性アナの謝罪に「奇妙な文化」

2日にTBS「ラヴィット」のオンエアにて起きたお笑いタレント山添寛による「韓国爪楊枝騒動」。

ソウルのマンウォン市場でのロケ中、本人は市場で販売中の唐揚げに使用済みの爪楊枝を直接刺して食した。共演者からは「それはマナーが悪い!」「絶対ダメ」など指摘を受けた。

韓国人店員は真剣な表情でダメ出しをしたものの、「ラヴィットヨ」「ラヴィッソヨ」と番組名に絡めた言葉で返したというもの。

当地の韓国ではどう報じられているのか。

3日から4日にかけては国内最大の経済紙「毎日経済」などを含む25媒体がオンラインで記事を掲載した。

多くは「衛生テロ」「つまようじテロ」という表現で、日本の報道ぶりを伝えるものだ。「現場となったソウル市マンウォン市場での激怒の声」といった追加取材は見られない。

そういったなかで、韓国側の見方が分かる数少ない報道が6日付の「ソウル新聞」。「TBSの謝罪報道への違和感」だった。

男性芸能人一人を守るために女性アナウンサーを犠牲にするのか? 

「男性コメディアンが『唾テロ』...女性アナウンサーが『謝罪』。日本の奇妙な謝罪文化」

じつのところ「ソウル新聞」のこの記事もまた、日本での本件に対する反応を伝えるもの。いっぽうでその切り取り方によって韓国での受け取られ方が垣間見える。

同記事はこう伝えている。

「最終的に、放送局はコメディアンの代わりにアナウンサーが謝罪文を発表することになった。アナウンサーの田村真子が頭を下げた」

「これを見た日本のネット民たちは憤慨した。ポータルサイトにも謝罪したアナウンサーの写真がメインで飾られ『間違いを犯したコメディアンや制作陣は後ろに隠れ、若くて年下の女性アナウンサーがなぜ代表して謝罪しなければならないのか。まるでアナウンサーが間違ったかのようだ。卑怯だ』というコメントが寄せられた」

また、「男性芸能人一人を守るために女性アナウンサーを犠牲にするのか。編集なしで放送した制作陣も、問題を引き起こした当事者も問題だ。何もしなかったアナウンサーに謝罪文を読ませて、彼女もまた叩かれるのは適切だろうか」と声を上げた。

ソウル新聞はもう一歩踏み込み、「日本でこういった謝罪形式があったのは初めてではない」とも伝えている。

日本で女性が男性の過ちを代わりに謝罪することは珍しいことではない。「夫が浮気をしたが…妻が謝罪するの?」という状況が過去にもあった。

有名アナウンサーの夫の不倫が暴露された後、全国民に向けて謝罪したことがある。TBS報道番組「ニュース23」のメインキャスターを務める女性アナウンサー・小川彩佳さんも夫の不倫が報じられた際には、「本当に申し訳ありません」と述べ、直ちに謝罪した。

また、水泳の日本代表である瀬戸大也選手の不倫が発覚した際には、被害者である彼の妻・瀬戸優佳さんの手書きの謝罪文が掲載された。また、有名なお笑い芸人・渡部建さんの不倫スキャンダルが明るみに出た際には、妻である女優の佐々木希さんも「夫の不適切な行動により、多くの方々を不快にさせてしまったことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。

こういった事例では、日本国内でも「夫の不倫に対して、なぜ妻が謝罪するのか」という疑問の声が上がってきた。

じつのところ韓国ではこの件をもって「直接的な怒り」という報道は少ない。あくまで日本国内での出来事として「YouTubeで食品衛生上の事件が続いた後の出来事」として日本国内での反応を伝えているというところ。そういったなかでも「男性コメディアンの過ちを女性アナウンサーが詫びる」という点はいびつに映っているようだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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