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前代未聞、制作期間わずか2か月の生田絵梨花主演リモートミュージカルドラマに感じる、創造力と熱意

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/Paravi

「リモート制作」の可能性にチャレンジした話題の連続ミュージカルドラマ『とどけ!愛のうた』

5月から6月かけていわゆる「リモートドラマ」が盛んに制作された。コロナ禍でドラマの放送延期や制作中断が続いてきた中で、“3密”を避け何かできないか、方法はないかと探っていった結果の緊急対応が、リモートドラマだったかもしれない。しかし不自由さの中であればあるほど人間はより創造力を駆使し、そこに様々な可能性を見いだす。そう感じたのが、7月6日から動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で毎日(5日間)配信され、10日に最終日を迎えた話題の連続ミュージカルドラマ『とどけ!愛のうた』だ。その“とど愛”が7月12日(日 13:00〜)メイキングを含めた本編がBS-TBSでオンエアされる。さらに8月15日(土 18:30〜)、22日(土 12:30〜)TBSチャンネル1でもオンエアされることも決定した。

生田絵梨花主演、豪華俳優陣が集結。音楽は服部隆之×森雪之丞という一流クリエイターがタッグを組む

橋本じゅん、斉藤慎二、生田絵梨花、柿澤勇人、シルビア・グラブ
橋本じゅん、斉藤慎二、生田絵梨花、柿澤勇人、シルビア・グラブ

今やミュージカルシーンには欠かせない存在になった生田絵梨花(乃木坂46)が主演を務め、ミュージカル、映画、ドラマと出演依頼が殺到している柿澤勇人、この後もミュージカルへの出演が控えている、人気お笑いタレント・斉藤慎二(ジャングルポケット)、そしてシルビア・グラブ、橋本じゅんという実力派が脇を固め、豪華な俳優陣が顔を揃えたことでも注目を集めた。さらに劇中で歌われるミュージカルナンバーは、作編曲、音楽監督を服部隆之、作詞を森雪之丞が務めるという超豪華タッグが実現。音楽的にも聴きどころ満載の、1話15分×5話のミュージカルドラマに仕上がっている。

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舞台は、日本中が新型コロナ感染拡大のために自粛生活を送る中、ゴールデンウィークを翌日に控えた4月24日金曜日。町の小さな印鑑屋・真壁印章の社員たちに突然「リモート飲み会」のメールが届いたところから物語は始まる。主人公の吉澤希奈梨(きなり/生田)と先輩の太田悠人(柿澤)はお互いに素直になれず、反発しあって自粛生活に突入中。おもしろ営業部長の松倉純(斉藤)は、独特のユーモアを絶やさないが仕事はからっきし。社長の真壁陽一郎(橋本)と副社長の由佳(シルビア)は夫婦だが現在別居中。会社は経営危機のまま休業状態になってしまい、二人は会社の存続についてもずっと揉めたままだ。それぞれに問題を抱えた、個性豊かな5人が集うリモート飲み会で一体何が起こるのか、どんなドラマが生まれるのか――。

「表現に制限がかかるリモートで作品を作るなら、ミュージカルをやったら面白いんじゃないか」(服部英司P)――最初の打合せから収録まで約2か月で、オリジナルミュージカルドラマを作り上げる

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リモートでミュージカルドラマを、という企画にも驚かされたが、その製作期間にもっと驚かされる。番組のプロデューサーであるTBSの服部英司氏が「表現に制限がかかるリモートで作品を作るなら、ミュージカルをやったら面白いんじゃないか」というアイディアを思いつき、関係各所に声をかけ、第1回目の打合せが行われたのが4月21日。

5月18日服部隆之×プロデューサー、森雪之丞×演出/プロデューサー打合せ

6月頭、キャスティングが固まる

6月10日 脚本が完成し、本読みと芝居稽古の開始

6月12、13日 歌の稽古

6月14、15日 事前レコーディング

6月17、18日 収録

7月6日 第1回目オンエア

と、ザックリとしたスケジュールを時系列で並べてみたが、まさに“怒涛”のスケジュールだ。ミュージカルというとその制作には、膨大な時間と資金が必要、というイメージだが、わずかこれだけの期間で豪華キャスト×一流音楽家・作詞家によるミュージカルを完成させるのは至難のワザだ。短時間でセリフと歌を覚えなければいけない俳優陣も大変だったと思うし、携わった全てのスタッフも超一流だ。「無謀な挑戦です。これは前代未聞です!」(柿澤)というこの連続ミュージカルドラマの制作過程や、出演者のオフショットは公式Instgramでもチェックすることができる。

「この自粛期間に全員が体験したようなとても日常に寄り添った内容」(生田)

「上を向いて進むべき今、この物語を僕らからのエールとして贈りたい」(橋本)

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個性豊かな5人の運命と、恋の行方が気になる全5話だが、主演の生田は「話を聞いた時は、えっ!できるの??そんな風に思ってしまいました。ミュージカルドラマなので、もちろん歌ではファンタジックな世界観はありますが、リモートが題材ということで、この自粛期間に全員が体験したようなとても日常に寄り添った内容だなと思いました」と語り、橋本は「上を向いて進むべき今、この物語を僕らからのエールとして贈りたいと思います」とコメントしているように、ハートフルでコロナ禍の日常に寄り添う、どこまでも優しいミュージカルドラマになっている。

「リモートというのはそれほど意識せず、舞台でやってもいいように作っています」(服部隆之)

「コロナ禍によって炙りだされる新たな人間関係。離れていても心の距離は縮められると、そう願いながら作詞をしました」(森雪之丞)

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溢れた感情が言葉ではなく歌になるのがミュージカル。その歌を短期間で書き下ろした服部と森は今回の取り組みについて「この時期、リモートの作品が世に出始めていますが、それを『ミュージカル』にする。面白い発想だと感じました。そして、作詞を森雪之丞先生が引き受けて下さった。全ての工程に時間がないこの作品で、素晴らしいクオリティを発揮して下さる最高のキャスティングでした。本作では、キラキラ感を強調したフレンチポップスのジャズワルツのような雰囲気の曲、全員野球で疾走感があるロックテイストの曲、希望を期待させるラブソング、何度も聞きたいと思ってもらえる中毒性を目指したテーマソングなどを書き下ろしました。リモートというのはそれほど意識せず、舞台でやってもいいように作っています。どういう化学反応が起きるのか、とても楽しみです。今回はファーストトライ!何か残したいと思っています」(服部)、「心の距離 エンタメ界が絶望を突きつけられる中、今何を書くべきか、自粛生活を続けながら悩んでいました。まさか、その日々をリモート・ミュージカルにするという企画にお誘いいただくとは、雲間の光芒です。コロナ禍によって炙りだされる新たな人間関係。離れていても心の距離は縮められると、そう願いながら作詞をしました」(森)とコメントしている。この企画自体が二人のクリエイター魂を大いに刺激したようで、テーマ曲「みんな空をみてた」他、一度聴くと忘れられない言葉とメロディが次々と登場する。

ネット上で「サントラ希望」という声が多く飛び交うこのミュージカルドラマの音楽は、オフィシャルサイトの『3分でわかる!“とど愛”全曲メドレー』『3分でわかる“とど愛”全曲メドレー BGM編』で楽しむことができる。

コロナ禍の元で自粛生活を余儀なくされる中、逆にSTAY HOMEの時間が心地いいという人もいたと思うが、この“おうちミュージカル”を観ると、やはり大切な人たちに会いたくなるはずだ。

※服部隆之の「隆」は、「生」の上に「一」が入ります

Paravi『とどけ!愛のうた』オフィシャルサイト

BS-TBS オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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