Yahoo!ニュース

世界が嘲笑した“歴史的凡ミス”、インテルMFが悪夢のユニをファンに寄贈 「二度と見たくない」

中村大晃カルチョ・ライター
6月24日、セリエA第27節サッスオーロ戦でのガリアルディーニ(写真:ロイター/アフロ)

どんな人間にも、ミスはある。衆人環視の中で痛恨の失敗をすれば、激しい批判にさらされる。現代のプロサッカー選手なら、世界中で揶揄される。それでも、彼らは前を向かなければならない。

6月29日、インテルのロベルト・ガリアルディーニがSNSで、サッスオーロ戦で使用したユニフォームをファンにプレゼントすると明かした。彼にとって悪夢となった試合で纏ったユニフォームだ。

24日のセリエA第27節サッスオーロ戦で、ガリアルディーニは信じられないミスを犯していた。

2-1と1点リードで迎えた後半63分、ロメル・ルカクのシュートが相手守護神に阻まれると、ガリアルディーニはこぼれ球に反応。無人のゴールにボールを流し込むだけでよかったが、シュートをクロスバーに当ててしまったのだ。

追加点のチャンスを逸したインテルは、その後追いつかれ、一度は再び勝ち越したが、終了間際にまた失点し、最終的に3-3のドローで試合終了の笛を迎える。首位ユヴェントスとの勝ち点差は8ポイントに広がり、逆転優勝の可能性が遠のいた

もちろん、ガリアルディーニが確実にゴールを決めていても、インテルが勝利したとは限らない。だが、残り30分でリードを2点に広げれば、優位に試合を進められたことは間違いない。

当然、ファンからはSNSで揶揄され、各メディアからは酷評された。採点で4点をつけた『Calciomercato.com』は「表現できる形容詞が存在しない」ミスだとこき下ろしている。同メディアでアルベルト・ポルヴェロージ記者は歴史に名を残す失敗と記した。

ミスの動画は各国メディアによって世界に広められ、ガリアルディーニはさらに嘲笑されることに。翌日の国内の紙媒体でも、「ネガティブなパフォーマンスの象徴」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』)、「レベルが上がると限界露呈」(『コッリエレ・デッロ・スポルト』)など叩かれ続けた。

だが、上で紹介した動画のツイート主、マウリツィオ・ピストッキ記者は「ガリアルディーニが最初ではないし、最後にもならない」と、似たようなミスはこれまでもあり、今後もあると指摘。イタリアの歌手フランチェスコ・デ・グレゴーリの詞の一節を紹介している。

「カンピオーネたちでもPKを失敗することはある。だが、そういうことで選手を評価すべきではない」

4日後の第28節パルマ戦で、ガリアルディーニは再びスタメン出場した。ひげを剃ったのが、心機一転を図ってのことかは分からない。この日も、雪辱と言えるようなパフォーマンスではなかった。それでも、ガリアルディーニは切り替えようとしている

サッスオーロ戦で着たユニフォームとの“決別”も、そのひとつなのだろう。ガリアルディーニは「歩みを間違えたあとにすべきは、言い訳せずに前を見て、仕事することだけだ」とツイートした。

「だから、サッスオーロ戦のユニフォームをプレゼントすると決めたよ。二度と見たくないしね!」

ユニフォームは、インスタグラムで最も心を動かされたコメントの投稿者に贈るという。

インテルはパルマ戦で苦しみ、一時は優勝争いで終戦を迎えたと思われた。だが、終盤の立て続けの得点で逆転勝利し、かろうじてレースに踏みとどまっている。残り10試合でインテルが挽回できるのか、そしてガリアルディーニが貢献できるのか、注目だ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

中村大晃の最近の記事