世界タブレット市場、Androidのシェアがついに7割、ホワイトボックスの台頭が価格下落圧力強める
市場調査会社の米ストラテジー・アナリティクスが公表した速報値によると、今年4〜6月期の世界のタブレット端末出荷台数は5170万台で、1年前の3610万台から43%増加した。
Androidは87%増、iPadは14%減
このうち米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」を搭載する端末は3460万台で、市場全体の総出荷台数に占める割合(シェア)は67%と、ほぼ7割に達した。
これに対し米アップルの「アイパッド(iPad)」の同じ期間の出荷台数は1460万台にとどまった。
アンドロイド搭載タブレットが1年前から87%増えたのに対し、アイパッドは14%減少し、そのシェアは1年前の47.2%から28.3%へと、ほぼ3割の水準に低下した。
これに先立ち別の調査会社である米IDCが公表していた今年1〜3月期のリポートでは、アンドロイドのシェアが56.5%、アイパッドが39.6%だった。
アンドロイドは1〜3月期時点ですでにアイパッドを上回っていたが、この4〜6月期でその差がさらに広がったということのようだ。
iPad mini の需要、4〜6月期に持続せず
ストラテジー・アナリティクスによると、アンドロイド躍進の理由の1つは、「ホワイトボックス」と呼ばれる中国などの小規模メーカーのノーブランド端末の台頭。そうした端末の大半は、グーグルが無料で提供しているアンドロイドを採用しており、安価なモデルが市場に出回っている。
米インフォワールドが調べたところ、ホワイトボックスを統計に含めなかった場合、4〜6月期のアイパッドのシェアは40.4%と若干高まる。
ただし、いずれにせよ、アイパッドのシェアは大きく低下しており、それにはホワイトボックスの台頭以外に2つの理由があるとストラテジー・アナリティクスは分析している。
その1つは昨年の反動だ。アップルは昨年3月に初めて高精細ディスプレイ「レティーナ(Retina)」を採用した第3世代アイパッドを発売しており、その後の4〜6月期に出荷台数が伸びた。ところが今年4〜6月期は新製品がなかった。
もう1つの理由は、昨年11月に発売したアイパッドミニと第4世代アイパッドがこの4〜6月期に予想通り伸びなかったこと。アナリストらはこのうち安価なアイパッドミニが4〜6月期も持ちこたえ、前年割れを防ぐか、減少幅を縮小させると見ていたという。
マイクロソフト、Surface RTを150ドル値下げ
なおタブレットに採用されているOSにはこのほか「ウィンドウズ」と「ブラックベリー」があるが、いずれのシェアもごくわずかという状況だ。ウィンドウズは4〜6月期に230万台を出荷し、シェアは4.5%。ブラックベリーの出荷台数は10万台で、シェアは0.1%だった。
このうちマイクロソフトはウィンドウズ8の派生版である「ウィンドウズRT」を搭載した「サーフェス(Surface)RT」の価格を150ドル下げたが、依然としてアンドロイドの廉価タブレットに比べて高い水準となっている。
今後はホワイトボックスをはじめとした低価格端末の台頭で価格下落圧力が強まり、アップルも低価化を余儀なくされると言われている。
アップルのアイパッドミニの現在の価格は329ドルから。インフォワールドによると、アナリストらはこれを249ドルにまで下げる必要があると指摘している。
(JBpress:2013年8月1日号に掲載)