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期待のホワイトヘビー、9日にカムバック及びリベンジ戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 9日に行われるWBCヘビー級タイトルマッチ、タイソン・フューリーvs.デオンテイ・ワイルダーの前座に、ポーランドの人気ヘビー級ファイター、アダム・カナッキが出場する。

 メインイベントの両者は3度目の対戦だが、カナッキもキャリア唯一の黒星を喫した相手、ロバート・ヘレニウスとのリターンマッチとなる。

 ポーランドから米国、ニューヨーク・ブルックリンに移り住み、デビュー以来20戦連勝(15KO)を重ねてWBA4位まで上ったカナッキだが、タプタプの体はどう見ても調整不足であった。2020年3月7日、同7位のヘレニウスに4ラウンド1分8秒でKO負けを喰らった。

 同ファイトはWBAヘビー級タイトル挑戦者決定戦とされたが、カナッキはチャンスを逃したのだ。かつ、コロナ禍で再起のリングがなかなか用意されなかった。敗北により現在のカナッキはWBA10位、ヘレニウスは3位と立場が入れ替わっている。

 ヘレニウスは公約通り、直ぐにでもWBA王者へ挑戦したかった筈だが、人気選手であるカナッキのオファーを快諾した。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions 2019年8月3日、カナッキが20勝目を挙げたファイト
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions 2019年8月3日、カナッキが20勝目を挙げたファイト

 カナッキは言う。

 「10月9日に勝利して、自分の敗北が事故だったことを証明したいです。今振り返れば、あの日の僕は疲れが残っていました。ラッシュをかけようとしたところで、パンチをもらってしまったのです。

 負けてから、ブルックリンの住民に支えてもらいました。カムバックすることが、彼らへの恩返しになります。移民の多い労働者の街で生きて来た自分へのテストだと受け取っています。

 ヘレニウスはカウンターが巧みですよね。前回はそれにやられたので、十分に対策しています。

 トレーニングキャンプはとても上手く運びました。週に2回、2名のパートナーと、8~10ラウンドのスパーをこなしてきました。何度かこの試合は(コロナで)延期になったので、1月からトータルで3~4回ミニ・キャンプを張りました。早くリングに上がりたくてウズウズしています」

 22戦目にしてカナッキは初めてラスベガスのリングに上がる。興行主がヘレニウスよりも、このポーランド人ファイターを売り出そうとしていることは誰にでも理解できるが、果たして結果を出せるだろうか。締まった体でリングに立つだろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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