パク・ボゴムやBTS(防弾少年団)は引っ張りだこか…韓国で授賞式が“飽和状態”なワケ
12月になり、いよいよ年の瀬ムードが高まり、賞レースの季節となる。
音楽ファンや映画ファン、ドラマファン注目の授賞式などが多数行われることになるが、年末に授賞式が多いのは韓国も同様だ。
年末には毎年恒例のKBS、SBS、MBCの地上波3局が主催する「歌謡祭」や「演技大賞」などがある。
最近も韓国2大映画祭のひとつといわれる「第39回青龍映画賞」が開催され、人気女優たちが艶やかなドレス姿を披露したレッドカーペット・セレモニーなどが大きな話題になった。
12月1日には『2018 MelOn Music Awards』、12月10日からはアジア最大級の音楽授賞式とされる『Mnet Asian Music Awards』(MAMA)が控えている。
“アジアのグラミー賞”を目指すMAMAは今年、10日に韓国、12日に日本、14日には香港で開催。今や飛ぶ鳥を落とす勢いで人気絶頂の俳優パク・ボゴムが2年連続でMC(司会)を務めることもあって、日本でもかなり注目が高いと聞いている。
いまや「年中無休で授賞式」
ただ、それも無理はないだろう。MAMAだけに限らず、その年を彩ったスターたちが一堂に集結するのだ。それだけに注目度も高いが、その一方で授賞式が多すぎるという指摘があるのも事実だ。
実際、韓国芸能界では近年、授賞式の数が増えている。
例えば、先日11月28日に開催されたドラマとK-POPアーティストの総合授賞式『2018 Asia Artist Awards』(AAA)も、AKB48メンバーが参加する日韓合同ガールズグループであるIZ*ONEが初めて授賞式に登場することなどが話題だが、同賞が設立されたのは2年前のことだ。
特に音楽授賞式は急増しており、今年も『SORIBADA BEST K-MUSIC AWARDS』(8月30日開催)と『2018 MBC PLUS × genie music AWARDS』(11月6日開催)の2つが新設された。すでに開催されたものも含め、今年度の音楽授賞式は9つに上るという。
ここに映画賞や演技大賞、「演芸大賞(放送バラエティ大賞のようなもの)」なども含めるとその数は数え切れないほど多い。
最近は年末以外の時期に開催される授賞式も増えてきており、韓国メディア『週刊京郷』などは、「“年末といえば授賞式”という言葉はもう古い。雨後のタケノコのように授賞式が増え、芸能界では“年中無休で授賞式”という新たな造語が生まれている」と綴っているほどだ。
BTS(防弾少年団)のファンも一苦労?
なぜ、韓国でこれほど授賞式が増えているのか。
主催するテレビ局や新聞社の収入源になっていることがその一因にあるのは言うまでもないが、近年、音楽配信サービスが勢力を拡大していることも背景にはあるという。
「韓国では音楽利用者の大部分がストリーミング配信サービスを利用している」(『韓国経済』)とされているが、前述のように音楽配信サービスの『Melon』や『SORIBADA』『genie music』が授賞式を設立し、自身のブランド力を高めようとしているというのが韓国メディアの見方だ。
韓国の音楽授賞式ではファン投票の方法がとられることも多く、その投票過程に新たな利用者を獲得しようという狙いもあるらしい。
もっとも、授賞式が飽和状態となっていることに、「疲労感を訴えるファンも少なくない」(『オーマイニュース』)という。
例えば、BTS(防弾少年団)は昨年度に『2017 MAMA』や『2017 MelOn Music Awards』、『第32回ゴールデンディスク』『第27回ソウル歌謡大賞』などで賞を総なめにしていた。
いまや世界中で支持され、最近は日本でもドームツアーをスタートさせたBTSだが、韓国国内だけでこれほど授賞式が多いと、その情報を追うだけでファンが疲れてしまうのも無理はないだろう。
そんななか、授賞式の数が増えるのに反比例し、賞の権威は落ちていると指摘するメディアも少なくない。ブランド力を高めるために授賞式を新設したはずが、なんとも皮肉な話である。
いずれにしても、日本と同様に韓国でも、年末年始にかけて賞レースに関心が集まるのは間違いない。韓国ウォッチャーの筆者としても数々の授賞式を追うのは一苦労だが、今年はどの芸能人が話題の中心となるか注目したい。