健康食品を摂取している人の実情をさぐる(2020年10月発表版)
錠剤やカプセル、さらには粉末、液状などに加工された、健康の維持・増進に役立つといわれる成分を含む加工食品を健康食品と呼んでいる。最近では薬局だけでなくコンビニやスーパーなどでも気軽に手に入るようになり、一般の食品と変わらない感覚で購入し、利用している人も多いことだろう。今回は厚生労働省が2020年10月に発表した「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」(※)の内容から、健康食品の利用実情を確認する。
最初に示すのは健康食品を食べたり飲んだりしているかについて。一度でも飲食の経験があるかではなく、日常的に摂取しているかを尋ねている。質問の原文は「あなたは、サプリメントのような健康食品(健康の維持・増進に役立つといわれる成分を含む錠剤、カプセル、粉末状、液状などに加工された食品)を食べたり、飲んだりしていますか」。
男女別では全体、年齢階層ともにすべてにおいて女性の方が摂取率が高い。健康食品は女性の方が需要が高そうだ。そして意外にも思えるかもしれないが、若年層よりも高齢層の方が摂取率は高い。女性は50代以降において4割前後が摂取していることになる。
それでは具体的にどのような種類の健康食品を摂取しているのか。摂取者に限定した上で、「健康保持・増進」「たんぱく質補充」「ビタミン補充」「ミネラル補充」「その他」と区分し、該当するものに複数回答で答えてもらったのが次のグラフ。
男女とも全体としては健康保持・増進がもっとも多く7割台。明確な目的のためにというよりは、何となく健康によさそうだからとマルチビタミンの錠剤や、普段から不足していると言われているカルシウムや鉄分などのサプリメントを服用しているのだろうか。
年齢階層別にみると健康保持・増進はおおよそ年齢が上になるに連れて摂取率が増え、ビタミン補充は減っていく。ミネラル補充は年齢階層であまり変わりがない。
女性20代ではビタミン補充がずば抜けて多いが、美容と絡んでの摂取だろう。他方男性20代はたんぱく質補充が異様なまでの多さを示しているが、これは運動のサポートとして摂取しているものと思われる。
今回国民健康・栄養調査で健康食品が特別枠の調査対象となったのは、摂取している食材や主要栄養素などでは勘案されていないこと、そして何よりも日常生活に深く浸透し、多くの人が摂取している実情によるものだろう。今後さらに普及が進めば、何らかの形で食材の一つとして調査対象に加わるかもしれない。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2019年11月中。今回調査分では調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。
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