竹島問題に関心がない人3割強、その理由は?(2023年公開版)
竹島問題に関心がある人は6割強
内閣府は2023年2月、竹島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から竹島への関心のある無しなどの実情を確認する。
竹島は島根県に属し、隠岐島の北西約158キロ、北緯37度14分・東経131度52分に位置する、男島・女島から構成される島。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定したが、その直前に韓国が独自かつ一方的に海洋主権宣言(李承晩ライン宣言)を行い竹島の領有を主張、同島を自国領海に取り込み、以後同国が武力によって不法占拠・支配を継続しており、日本の施政権行使がさまたげられる状態が続いている。
その竹島について関心があるか否かを聞いたところ、直近分の2022年では強い関心を持つ人は26.9%、どちらかといえば関心がある人は36.7%となり、合わせて63.6%が関心派との結果が出た。
逆にどちらかといえば関心が無い人は21.7%、まったく関心がない人は10.3%となり、合わせて32.0%が無関心派に属する形となった。また「竹島を知らない」もどちらかといえば無関心派とも解釈できる(知らなければ関心の持ちようは無い)ので、これを合わせると36.3%となる。
関心内容は「正当性」「歴史的経緯」
関心派・無関心派それぞれにつき、その内容・理由を尋ねた結果が次以降のグラフ。まずは関心派の具体的な関心内容だが、「我が国の竹島領有の正当性」を挙げる人がもっとも多く、71.5%との結果となった。なお空欄の部分はその年に該当する設問が無かったことを意味する。
次いで「歴史的経緯」や「周辺の地下資源や水産資源」「我が国の政府や地方自治体の対応・取組状況」「日韓関係に与える影響」「地元関係者の想いや声」「韓国の主張」が続く。見方を変えれば同問題について広報・啓蒙・公知を行う場合、これらの要件に重点を置いて情報を配信することで、効果的に需要に応えることができることになる。
また「研究成果・論文」への値が低いのが目にとまる。これは他の主張などに興味は無く、関連問題における事実、実情を知りたい、興味があるといった関心派の認識が透けて見える。もっともこの値が低いのは、押し並べて一般的なメディアに周知されるこの類の話は、概して日本に対して否定的な内容のものが多く、それらに対する拒否反応の現れの面もあるのかもしれない。
一方、無関心派が関心を示さない理由として挙げたのは「竹島に関して知る機会や考える機会が無かった」で、52.5%。次いで「自分の生活にあまり影響が無い」が42.9%と続いている。
トップの「竹島に関して知る機会や考える機会が無かった」は、今後竹島に関して知る・考える機会があれば、関心を持つようになるかもしれないとの思惑を多分に含むもの。知って考えた上で竹島への関心を失う可能性はあるものの、関心を持ってほしいと考えている人には、大いに期待できる層といえる。
第2位の「自分の生活にあまり影響が無い」について。国レベルでの外交・内政問題である竹島問題だが、一人一人の立ち位置から見れば、直接生活には関係の無い話と受け止められるのも無理は無い。ただしこれは周辺海域の施政権にもかかわる問題となり、対応次第では同島以外の問題にも連鎖反応が生じるリスクもある。要は「竹島一島だけの問題で、自分の日常生活には影響が無い」と回答者が考えているに過ぎない、見方を変えれば回答者の認識・情報が不足していることになる。この点ではトップの回答「竹島に関して知る機会や考える機会が無かった」も近いものとなる。
第3位以降の「紛争や武力衝突など負のイメージを連想する」「内容が難しい」は、個々の心境・性質の問題から、仕方の無い面もある。しかし第1位・第2位の理由は、多分に啓蒙・情報公知不足によるところが大きい。今調査の調査要目にある「(調査目的として)竹島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」を誠実に実行することを期待したい。
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※竹島に関する世論調査
今調査は2022年11月10日から12月18日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対して郵送法で行われたもので、有効回答数は1765人。男女別では男性795人・女性970人、年齢階層別では18~29歳152人・30代172人・40代289人・50代313人・60代342人・70歳以上497人。
2014年実施までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、2017年実施の調査からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性はない。また2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査以降では新型コロナウイルスの流行により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が以前の調査と比べて有意に少なくなっているなど)。
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