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『やすらぎの郷」 ふたりは共謀しているのか

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

仲代達矢からの『やすらぎ体操』

『やすらぎの郷』毎日レビューで、ドラマに出ていないにもかかわらず、高齢俳優の例として仲代達矢のことを書いてきたが、6月8日(木)、前の番組『徹子の部屋』のゲストに仲代達矢が出ていた。

仲代達矢と野上照代と徹子のトークが終わると、「人生百年、年金に頼るな」という歌詞が印象に残る、もはやすっかりお馴染みになった「やすらぎ体操」(別名:老いダンス)が流れ出す。手前に置かれた花越しに、椅子に座った女性と立っている女性が並んでいる絵面は、NHK「みんなの体操」とほぼ同じだ。

このシュールな劇中番組がドラマの冒頭を飾るのは、5月29日(月)放送の41話以来になる。41話は、この「やすらぎ体操」のピアノ演奏を担当している及川しのぶ(有馬稲子)が40年前にやっていた伝説のバラエティー番組が復活するというエピソードのはじまりだった。 その話は詐欺らしいことがわかったのが49話。2度目の『やすらぎ体操』ではじまる回は、そろそろ、及川しのぶ編が終わりかかっている合図かもしれない。

もっとも、及川しのぶ編と見せて、犬山小春(冨士眞奈美)編だったような気もしないではないが。

浅丘ルリ子のカラダはかなり柔らかい

ハワイから来た石上五郎(津川雅彦)は詐欺だったが、一緒に来た犬山小春も共謀しているのだろうか。はっきりしたことはわからないながら、しのぶと貝田(藤木孝)の件は、やすらぎの郷中にたちまち広がってしまう。箝口令が敷かれているのに、まったく効果なし。レギュラー陣、ほぼみんな知っている。おそろしい。

箝口令をうろ覚えで「かんぽ令」とか言い間違えるお嬢(浅丘ルリ子)。記憶力はは若干弱っているようだが、身体は若々しい。180度開脚してストレッチをしている場面は、あまりのカラダの柔らかさに目を見張った。体年齢は3、40代なんじゃないか。すごいぞ、浅丘ルリ子。ちなみに筆者は「箝口令」と言おうとして「戒厳令」と言ってしまった経験がある。物騒過ぎる。

警察が来た

警察(布施博)が来て、コンシェルジュ(常盤貴子)に事情聴取。小春の部屋に行くと、小春はいなかった。

「かつて名を売った有名な方々が静かに余生を送っておられる 桃源郷のようなところかと思っておりましたがやっぱりいろいろあるんですな」と警察の人。いや、ほんとうに、人生諦めた人々ばかりかと思いきや、諦めきれず、欲望の残り火をくすぶらせている人達というところか。そういうほうが面倒くさそうだ。

帯ドラマ劇場「やすらぎの郷」(テレビ朝日 月〜金 ひる12時30分  再放送 BS朝日 朝7時40分〜)

第10週 49回 6月8日(木)放送より。 

脚本:倉本聰 演出:池添博

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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