Yahoo!ニュース

デビュー間近の那須川天心が村田諒太と対談で強気発言「絶対にKOを狙う」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供FUKUDA NAOKI

4月8日東京・有明アリーナでのプロデビュー戦を控える那須川天心(24=帝拳)。

同ジム所属の先輩である元WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太との対談動画が公開され話題になっている。

那須川天心の経歴

天心は格闘家として42戦全勝(28KO)の戦績を誇っている。これまで主戦場としていたのはキックボクシングだが、戦績に含まれないエキシビションマッチではボクシングで試合したこともある。

例えば、2018年元5階級制覇王者・フロイド・メイウェザーとの対戦や、2019年元3階級制覇王者・亀田興毅との試合だ。

そして、THE MATCH 2022での武尊との対戦を最後に、正式にボクシングへの転向を発表した。

デビュー戦に向けて天心は「デビュー戦の会見がテレビでも大きく報道されて超期待されている。負けられない想いが強くなりました」と意気込みを語った。

村田諒太との対談

デビュー戦に向けトレーニングに励む天心を激励に訪れた村田諒太。

村田はロンドン五輪ミドル級金メダリストで、プロで世界チャンピオンとなった。アマとプロで世界一に輝いたことのある唯一の日本人ボクサーだ。

対談の初めに、村田がボクシングを選んだ理由について聞くと「単純に自分がどこまで行けるか挑戦したい、それだけですね。勝っていくことで自分が言っていることの説得力が増す」と答えた。

格闘技の世界では無敗を貫き、数々の伝説を残してきた天心。村田はその分、重圧も大きいだろうと問いかけると、「重圧やプレッシャーは感じませんね。前回の東京ドームでの試合の時もそこまで緊張しなかったので、あれを乗り越えたから大丈夫だろうという気持ちがあります」と答えている。競技は違えど、大舞台の経験はボクシングでも活きてくるだろう。

また、対談中に村田は天心の持つ“若いファン層”に期待していると話していた。ボクシングのファンは年齢層が高い。天心の試合をきっかけにより幅広い層の、多くの人にボクシングを見てもらいたい、そんな期待があるのだろう。

キックとボクシングの違い

天心がボクシングの練習だけに絞り始めて約半年経った。

村田がどんな変化があったか質問すると「ステップだったり間合いの取り方、時間の使い方が変わりました。今まで3ラウンドで疲れていましたが、疲れなくなり、ペース配分もできるようになりました」と答えた。

キックボクシングが3分3ラウンドなのに対し、ボクシングは最長12ラウンドで戦う。短距離走と長距離走と例えられるほど、戦い方が変わるものだ。

私も3分3ラウンドで戦うアマチュアボクシングから転向してプロになったが、力の抜き方やラウンドでの戦略など、最初は戸惑うことが多かった。

慣れるまで時間がかかるものだが、天心はすでにその感覚を掴み始めているようだ。

動画ではミット打ちやシャドーの動きも公開され、パンチを打った後のバランスや、細かなステップなどボクシング仕様に変わっていた。試合ではさらに進化した姿を見せてくれるだろう。

デビュー戦について

今回対戦する与那覇勇気(32=真正)は、日本バンタム級4位の実力者だ。デビュー戦としては申し分ない相手だろう。

村田も「すごく冒険的な良い対戦相手。実力差を見せて勝てばボクサーとしての評価も確立されたものになる」と語っている。

村田のデビュー戦の相手は、当時現役の東洋太平洋王者だった。結果は2回TKOで圧勝し、プロとしての評価を一気に高めるきっかけとなった。

ボクサーにとってデビュー戦は周囲からの期待が高く、プレッシャーのかかる試合だ。

対談の最後、村田が「自信のほどは?」と問うと、天心は「自信はありますね、やってやるぞと。デビュー戦でこういう立場なので、絶対にKOを狙います」と力強く宣言した。

試合は4月8日に有明アリーナで行われ、Amazonプライムビデオでライブ配信される。

キックの神童はボクシングでどんな活躍を見せてくれるのか、まずはデビュー戦に注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事