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「千賀フォーク」の使い手がまた一人!笠原大芽、快投続きでウエスタン防御率1位に

田尻耕太郎スポーツライター
今季5年目。一軍デビューは近いか

完封リレー! 連敗3で止めた

5月18日、ソフトバンクはウエスタン・リーグで中日と対戦した。

【5月18日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1,336人】

中日     000000000 0

ソフトバンク 02000300× 5

<バッテリー>

【D】●丸山(0勝1敗)、岸本、吉田――赤田、武山

【H】○笠原(3勝0敗)、野澤、小澤、岡本、児玉、加治屋――栗原

<本塁打>

なし

<戦評>

ソフトバンクが6投手の完封リレーで連敗を3で止めた。先発の笠原が5回無失点。その後は小刻みに投手をつないだ。岡本が左すね付近に打球を当てて降板したのが気がかりだ。

打線は2回に6番・栗原のタイムリーと7番・高田の犠飛で2点を先制。6回に8番・真砂のタイムリーで貴重な3点目を奪い、9番・釜元の2点三塁打でダメ押しした。高田、真砂、釜元はいずれも2安打をマーク。下位打線の奮闘が目立った。(了)

山田に続き笠原も好投! 左腕不足解消へ

トラブル続きのソフトバンク先発陣。18日は「和田毅、左肘手術か」の一報が朝から飛び込んできた。同日に和田本人が筑後の練習施設で報道陣の取材に応じ、「検討中」であることを認めた。いずれにせよ、復帰までまだ時間を要することは明らかだ。

左腕不足の中、先日は山田大樹が好投。そして、18日の2軍戦では5年目の笠原大芽が好内容のピッチングを披露した。5回を70球で投げきり、2被安打1与四球4奪三振の無失点。これで防御率は1.42まで向上し、ウエスタン・リーグの1位となった。

直球は最終イニングに最速143キロをマーク。「今日は全体的に(球速が)出ていなかったので、最後は力を入れました」と笑ったが、常時140キロ台をマーク。昨シーズンよりも確実に4、5キロはアップしている。

一軍要望に応えるフォークの習得

また、注目は3回の近藤弘基から空振り三振をとった場面だ。勝負球は、この日ほとんどなかった130キロ台中盤の落ちるボールだった。

「あれはフォークです」

驚いた。

笠原がフォークボールを投げるイメージはなかったからだ。

「先月、先発に変わってから投げ始めました。プロ2年目までは投げていたんですが、3、4年目はチェンジアップを投げていました」

今春のキャンプ時には「ようやくチェンジアップらしいチェンジアップを投げられるようになりました」と喜んでいた矢先である。

「一軍(の首脳陣)から『落ちるボールを覚えるように』と言われました。なので、チェンジアップよりもフォークかな、と」

ただ、以前と同じフォークではない。倉野信次投手統括コーチの助言で取り組んだのが、千賀滉大と同じ握りのフォークボールだった。

「千賀さんは片方の縫い目に指をかける。僕の場合、普通に握って投げたらスライダー回転してしまうんです。もともとスライダーを投げるのであまり意味がなかった。千賀さんの握りに変えたら、良い落ち方をするようになったんです」

投げ始めて1か月も「使える」

この”千賀フォーク”は、五十嵐亮太も今季キャンプ中にマスターして、現在も「今年の僕のキーになる球種」と話すほど欠かせぬ武器となっている。笠原は実戦では投げ始めて1カ月ばかりだが、手応えはもう十分ある。

「安定して腕が振れている。使えると思います」

この日の5回交代は予定通りだった。16日に6回で交代した山田も同様に、疲労を蓄積させないよう2軍首脳陣の計らいがあったと思われる。

つまりは1軍バックアップに非常に近い位置にいるという表れだ。

「準備はいつでもOKです」

22歳の若鷹に嬉しい報せは届くだろうか。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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