2か月ぶりの5連勝で今季最多の貯金2 殊勲は二神と原口! 《阪神ファーム》
13日の近畿はめまぐるしくお天気が変わり、阪神甲子園球場でファームの試合をご覧になったお客様も大変だったでしょう。降ったりやんだりというよりは「降ったり晴れたり」ですからねえ。6回に本降りになって、審判が中断を告げようとした途端にピタッと雨粒が消えた、と思ったらすぐザッと降り出し、次の瞬間にはまた青空が広がるという具合。忙しい一日で傘を何度も忘れそうになりました。
約2か月半ぶりに西岡選手の登場テーマ曲が甲子園で流れ、ボードやマフラータオルを手にしたファンの皆様が声援。加えて福留選手や、ソフトバンクは松中選手の名前もあるスターティングメンバーです。1番DHで先発出場した西岡選手は3打席に立ち、空振り三振2つと二ゴロで試運転を終えました。「雰囲気あるよなあ。打席に入るのも、空振りしても。あしたもいくよ」と平田監督。きょう14日も同じDHで出る予定です。
今季最短、2時間16分の投手戦
阪神・二神投手、ソフトバンク・東浜投手の好投により終盤まで両チーム無得点。8回に作ったチャンスで代打・原口選手がタイムリーを放ち、これが決勝点となって逃げ切りました。これでチームは2か月ぶりに今季2度目の5連勝(4月は引き分けを挟む)で、貯金が2。今まで5割前後をウロウロしていたため、貯金2が今季最多なんですね。首位のソフトバンクと6ゲーム差、ちょっとだけ接近しています。
投手戦で1対0という内容だったため、試合時間が2時間16分。これは4月9日の阪神-オリックス戦(鳴尾浜)の2時間19分を抜いて今季ウエスタン・リーグ最短の試合でした。
それと二神投手はこの試合で通算43イニングを投げていて、規定投球回数まであと3分の1だったんですよ。惜しい!もし延長戦に入って1人だけ打ち取っていたら、防御率トップに躍り出ていたわけですね。1日だけですけど。まあそこを目指すのはまだ早いというか、やるべき舞台は1軍なので、よしとしましょう。
《ウエスタン公式戦》6月13日
阪神-ソフトバンク 11回戦 (甲子園)
ソフ 000 000 000 = 0
阪神 000 000 01X = 1
◆バッテリー
【阪神】○二神(3勝) / 日高-岡崎(9回表)
【ソフ】●東浜(4勝4敗)(8回) / 拓也-山下(6回~)
◆二塁打 松中、原口
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]指:西岡 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .000
〃打指:原口 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .344
〃走指:北條 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .220
2]左:荒木 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .320
3]中:伊藤隼 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .252
4]三:陽川 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .218
5]右:福留 (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .182
6]一:森田 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .248
7]捕:日高 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .245
〃走:横田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .207
〃捕:岡崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .314
8]遊:西田 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .241
9]二:阪口 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .245
◆投手 (安-振-球/失-自/防1御率) 最速キロ
二神 9回 129球 (4-7-2 / 0-0 / 1.05) 144
両軍4安打ずつ、8回に決勝点
二神は1回、先頭の安田に右前打され、松中には四球、牧原の犠打で1死二、三塁としますが後続を断って無失点。最後の金子は大きな当たりを放ち、レフトの荒木が背走しながらナイスキャッチ!3回は2死から松中に左翼線ギリギリに落ちる二塁打を許すも、0点に抑えています。あとは7回に塚田の左前打があり、8回まで3安打0点。1、3、7回以外はすべて三者凡退でした。
打線は2回に先頭の陽川が中前打し、暴投で二塁へ。福留は四球、続く森田が中前打!と思ったら…陽川がいったん二塁に戻って再スタートしたため、センター真砂からサード宮崎へと渡ったボールで三塁タッチアウト(陽川選手はショートライナーだと勘違いしたそうです)。これはつまり森田の中前打ではなく“センターゴロ”ですね。そのあと2死ながら福留が三塁まで進むも、西田は中飛で得点なし。
4回は先頭の伊藤隼が右前打しますが、相手の好守備にも阻まれてチャンスを広げられません。こちらも東浜に2回と4回以外はキッチリ三者凡退に切って取られ、両チームのゼロ行進が続きます。
しかし8回、ボール球が増え始めた東浜から先頭の日高が中前打(代走・横田)。1死後に阪口がバントしますが、一塁線へのフライ。フェアグラウンドで東浜がグラブを出して…おっと落とした!急いで拾った山下が一塁へ送球して阪口はアウト。横田は二塁へ。すったもんだはあったものの、記録は犠打で2死二塁です。いや~助かりましたねえ。
そして6回の打席を終えて試合から離れていた西岡に代わり、ここで原口が打席に。141キロの真っ直ぐがボール、次は125キロのスライダーで空振り、132キロのボールを挟んでカウント2-1からの4球目、やや高く入ってきた125キロのスライダーにバット一閃!鋭い打球は三塁線を破る二塁打となり、横田は二塁から還って先制のホームを踏みました。原口の代走に、右手人差し指の突き指でスタメンを外れていた北條が出たものの、追加点はありません。
ベンチの動きでは、そろそろ交代かな?という雰囲気も見えた二神ですけど、少し浮いた球がある程度でしたね。110球を超えた8回にも、まだ144キロが出ていたくらい。この日の二神にとってはもう決勝点といってもいい援護をもらった9回、もちろん続投です。ところが代打の李杜軒を空振り三振に仕留めたものの、牧原には内野安打を許し、自身のエラーで二塁へ。2死後に塚田を敬遠して2死一、二塁となりますが、最後は代打の福田を中飛に打ち取って試合終了。
まずは平田監督の総括です。「二神はスピードが出ていたし、ソフトバンクの強力打線をゼロに抑えたのは自信にしてほしい。秋山に次いでの完封。まだまだチャンスはあるから競争して交流戦明けにね。それと日高の、バッターを観察してのリードもよかった。さすがだな。1回のピンチを救った荒木の好プレー!あれが大きかった。原口は素晴らしいな!あのバッティングはきょう一番いい。見逃し方にしても空振りにしても」
「自分の感触と結果が一致した」二神
次は2012年8月4日のソフトバンク戦(鳴尾浜)以来、2年ぶりにプロ2度目の完封勝利を挙げた二神投手の話。「ソフトバンクとは相性いいですね。きょうは真っすぐでファウルが取れて、それで変化球が生きた。今シーズン、真っすぐは腕が振れていると思います。前回と前々回は、いろいろやっても感触があまり良くなかったけど、今回は結果と感触が一致していました。ただ今日いきなりだったので、これを続けていきたい」
真っすぐとスライダー以外で「右打者へのカットボールが良かった」と言います。130キロ半ばの球がそうだったみたいですね。「向こうも意外だったんじゃないかな。ただ投げ方が違うのでわかるかも」と笑う二神投手ですが、非常に効果的でした。「やっぱり真っすぐがよければ変化球が生きるのは間違いない。真っすぐを、しっかり腕振って投げていくことが一番。それができた試合だったかなと思います」。1軍再昇格に向けては「先発か中継ぎか、どんな形で呼ばれるかわからないので、いろんな準備をして待っています」とのこと。
最後に「欲を言えばきりがないけど、まだまだできると思うし、まだまだ良くなってもらわないと。真っすぐが浮いたのもあったので」と二神投手。自分自身に対するノルマってところでしょうか。手元でグンと伸びていくストレートに、我々も期待が増してきました。
久保投手コーチは「真っすぐが振れている時にブレーキのあるカーブもいい。それが彼の原点だね。調子はずっといいんだけどねえ。あれくらいの真っすぐが常時投げられれば」と話しています。立ち上がりに高く外れる球が少しあった点は「ブルペンから力があって、ちょっと“吹き上がって”いた感じ。それを低めに抑えようとすると、ああなる。調子がいい証拠」だそうです。
9回の敬遠は「ゲームの“あや”を握るところ。次が(代打の)福田だったので、あれくらい差し込めるピッチングをしていたなら初めての打者と勝負する方がいい」という分析でした。また平田監督と同じく、日高選手を高く評価しています。「8日の秋山と藤井のように、ベテランキャッチャーは少ない球種でうまくリードしてくれる。それで相手はピッチャー勝負から、キャッチャー勝負へと変わっていくんだよ。真っすぐでどんどんいって、時々フォークやカーブとか。若いキャッチャーは、まんべんなく持ち球を使おうとしてしまうからね」
原口、感謝を込めて立つ打席
お待たせしました。試合後には、二神投手に続いてテレビ中継のヒーローインタビューも受けた原口選手のコメントです。「打ったのはスライダー。はじめ(2球目に来た同じスライダー)より、コースも高さも甘かったですね」。ナイスバッティングでした。「ありがとうございます!」。バッティング好調?「好調って感じでは特にないです。自分のスイングができれば飛んでいくし、大きくは崩されていないので、いいポイントで打てているのかなと思います」と、原口選手らしい真摯な受け答えでした。
スタメンでも代打でも結果が出ていますね。「それしか近道はないと思いますし、出た時に少しでもアピールしていきたいです」。なかなか試合でマスクをかぶる機会はないものの「やりたいところはありますが…出られたとこで一生懸命やるしかないので」と言います。大事な場面での代打起用には「ベンチにいて、もっと上の、自分よりレベルも上の方たちがいる中で出してもらっているので。そこに感謝してやっています」と。だからこそのヒットなんでしょう。
掛布DCはこう話していました。「柔らかく振ってみろと言ったんだよ。ボールを引っ張ってくるようにってね。だいぶレベルで回るようになった。今までファウルになっていたボールが前に飛んでいるんじゃないかな。彼は徐々に加速していくスイングだね。それに残留中の練習で言ったことを、僕がいないところでもちゃんとやってくれている選手だから」。そう、これが“グッチ”なんです。
まずは打って出場機会を得ること、そこでも打ってアピールし続けること。そうすれば“やりたいところ”へ辿りつけるかもしれないと奮闘しています。この試合は二神投手が投げ切る瞬間をベンチで見守った原口選手ですが、グラウンドで最後の球を受けてマウンドへ歩み寄る背中も、ファンとしては見たいですね。