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ブランジェリーナの離婚は取りやめとなるか?ハリウッドに結構いる、復縁カップル

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:Shutterstock/アフロ)

 アンジェリーナ・ジョリーがブラッド・ピットにすえたお灸が、効いたのかもしれない。昨年9月 、ジョリーが裁判所に離婚を申請したものの、その後具体的に進んでいないように見える中、本日、「Us Weekly」が「アンジー&ブラッド:離婚は中止」という見出しの独占記事を掲載したのである。同誌が事情を知る人の話として伝えるところによると、「ここ数ヶ月、彼らは離婚に向けて何も動いていないし、これからも動かないと、みんな思っている」そうだ。

 離婚を申請した時、ジョリーのピットに対する態度は、冷酷だった。アメリカでは、よほど相手側に問題がないかぎり共同親権が普通だが、彼女は単独親権を要求。それに伴って、ピットがよく酒を飲むことや、時には子供に対して声を荒げるなど、彼女に有利になるかもしれない事実が浮上してきた。離婚する理由として、ジョリーは、「家族の健康のため」と述べている。ジョリーは子供たちを連れて出て行き、ピットが子供たちに面会する時には、セラピストの同伴が義務付けられた。

 わが子たちを何よりも愛するピットにとって、それは人生が真っ暗になるくらいの出来事だったようだ。抜き打ちのアルコール検査を受けることに同意したピットは、以後、いっさい酒をやめたそうで、アメリカ版「GQ」に対し、「僕の尿は、今、L.A.で一番きれいだよ。保証する」と語っている(ブラッド・ピット、離婚騒動後初めて心境を語る)。

 そのインタビューで、彼はまた、「人生で何度か、自分がつくづく嫌になったことがある。今回のは、大きかった。大きな変化というのは、そういう時に起こる。僕は感謝しているよ」とも語った。さらに、自分が父に育てられたのと同じように、「お父さんは絶対」という姿勢の子育てをしたことにも反省を示し、今後は違うふうに挑むとの意志も示している。

 一方、ジョリーも、先月末に出た「Vanity Fair」のインタビューで、「私たちはお互いのことを気にかけているし、家族のことを気にかけている。私たちは、同じゴールに向かって努力をしている」と語った。このインタビューは、彼女がL.A.に新しく買ったばかりの家で行われ、まだ引っ越して間もない状態だったようだが、インテリアを考えるのは苦手だと示唆する彼女は「そこはいつもブラッドがやっていたのよね」と語っている。

 最近では、セラピストなしでピットが子供たちに面会できるようにもなったらしく、ジョリーのピットに対する態度が軟化しているのは明らかだ。酒も飲まず、声も荒げない、彼女の望むとおりの父親像に変わってくれた今、子供たちから父親を取り上げる理由も、この美しい男を突き放す理由も、もはやないのではないか。今、彼女はそんなことを考えているのかもしれない。

 もちろん、まだふたりが正式に復縁を発表したわけではなく、これからどうなるのかはわからない。だが、 ハリウッドには、出戻りカップルが、実際のところかなりいる。これらの人々の中に、新たにこのふたりが加わっても、おかしくはない。

ミーガン・フォックスとブライアン・オースティン・グリーン

出会いは2004年、「Hope & Faith(日本未公開)」での共演。当時フォックスは18歳、グリーンは30歳だった。2006年に婚約するも、2009年に解消。しかしすぐに復活して、2010年、ついに結婚する。ふたりの男の子に恵まれるが、2015年8月、フォックスが離婚を申請した。親権はふたりとも共同を希望、グリーンがフォックスに元配偶者サポートを求めるなどしていたが、具体的に離婚交渉を進めないままでいたところ、半年ほどしてフォックスの妊娠が発覚する。世間が憶測したとおり、お腹の子の父親はグリーンで、離婚話は消えてしまった。3人目も、男の子である。

ショーン・ペンとロビン・ライト

ペンがライトと同棲を始めたのは、最初の妻マドンナと破局してすぐ。ライトとは事実婚状態のまま長男と長女を授かるも、1995年に破局。翌年、復縁し、正式に結婚した。11年後の2007年、離婚申請に至るが、数ヶ月後、裁判所に取り下げを願い出ることに。2009年、ペンが再び離婚を申請するが、仲直りして1ヶ月後にまたもや取り下げた。その3ヶ月後に、今度はライトが離婚を申し出る。三度目の正直というべきか、この時は成立に至った。

パトリック・デンプシーとジリアン・フィンク

ロマンチックコメディで知られるデンプシーとメイクアップアーティストのフィンクが結婚したのは、1999年。3人の子供に恵まれるが、2015年1月、フィンクが離婚を申請する。しかし翌年には、ふたりがまた一緒に時間を過ごす様子が見かけられるようになり、 11月には離婚を取り下げた。デンプシーは以前からカーレースに強い情熱を持っており、それも夫婦の間で問題を引き起こしていたようである。復縁後のインタビューで、デンプシーは、「どこかで犠牲が強いられる。全部はできない」と、レースに費やす時間を減らす決断をしたことを語っている。

マイリー・サイラスとリアム・ヘムズワース

始まりは、恋人同士を演じた「ラスト・ソング」(2010)。だがこの若いカップルは、映画の北米公開の数ヶ月後に最初の破局を迎える。原因はサイラスが多忙なことにあったようだ。翌2011年、復活するが、やり直せるかどうかゆっくり様子を見るという姿勢だった。それからまもなく、再びカップルとして堂々とレッドカーペットに登場するようになり、2012年には婚約を発表。しかしその後もふたりの間には問題が絶えず、結婚の準備が進む気配もないまま、2013年9月に婚約を解消する。その後、サイラスはパトリック・シュワルツェネッガーと交際、ヘムズワースにもマイカ・モンローとの噂が出るが、いずれも短期間で終わった。波乱万丈の末、あらためて愛を確認したふたりは、また婚約者同士に戻っている。

エリザベス・テイラーとリチャード・バートン

8度の結婚歴を持つテイラーだが、結婚した相手は7人。5人目の夫であるバートンと、2回結婚しているからだ。ふたりの出会いは「クレオパトラ」(1963)。 どちらも既婚者で、ダブル不倫だったが、それぞれ離婚し、1964年に結婚。その後も多数の映画で共演し、「世紀のカップル」と呼ばれる存在となる。1974年に離婚、翌年、再び結婚するが、2度目の結婚は1年弱しか持たなかった。このふたりの情熱的な関係を描くテレビの1時間半ドラマ「Liz & Dick」(2012)では、リンジー・ローハンがテイラーを演じたが、視聴率はそれほどでもなく、ローハンのキャリアを復活させる手助けにはなっていない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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