Yahoo!ニュース

「激痩せ」から一転「激太りの金正恩」 ダイエットに失敗し、リバウンド!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
昨年12月(左)と今年9月の金総書記(労働新聞から筆者キャプチャー)

 韓国の情報機関「国家情報院」(NSP)が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の体重が「140kgに迫っている」と、国会情報委員会での報告で明らかにしていた。

 北朝鮮の最高指導者の健康状態は北朝鮮のみならず、朝鮮半島の情勢を左右しかねないだけにNSPでは表情を含め金総書記の一挙手一投足に神経を注ぎ、チェックを重ねている。

 国会情報委員会に所属している与野党議員の記者団へのブリーフィングでは、昨日開かれた情報委員会全体会議でNSPは金総書記の体重について「一時、減量していたが、また太り出し、以前の130~140kgに戻ったことが確認された」と報告していたようだ。

 金総書記の体重は後継者としてデビューした2009年頃は90kgと推定されていたが、それ以降は増え続け、NSPの分析では2014年には120kg、2016年には130kg、そして2019年には140kgまで増加していた。

 しかし、昨年6月4日に開催された労働党政治局拡大会議では一転、痩せて現れ、世界を驚かせた。この時の金総書記の様子について朝鮮中央テレビは「我が人民は敬愛する総書記同志のやつれた姿をみると、心が痛む」とのある中年男性のインタビューを流していた。

 さらに、3か月後の9月10日の建国73周年軍事パレートではダイエットに磨きがかかったのか、一段とスリムになっていた。全体的に頬の肉が縮み、顎のラインも少し露出していた。眼鏡をかけていた耳のあたりをみると、つるも食い込んではいなかった。

 実際に、NSPは当時「20kg程度減量したようだ」と分析し、「激痩せは病気でなく、減量による」と結論付けていた。トレーニングや薬物療法、食事療法も含め健康のためダイエットに取り組んだ成果が表れたのではとの分析が一般的だった。

 ところが、状況が一変したのは今年5月に入ってからで、5月12日に開かれた党政治局会議で司会をしている姿を昨年12月28日に労働党全員会議に出席していた時の写真と比べてみると、太り気味で、顔がふっくらし、首回りもきつそうだった。こうしたことから5月29日付の韓国の「聯合ニュース」は金総書記が「ダイエットに失敗した」とのニュースを配信していた。

 「聯合ニュース」は今年2月の父・金正日(キム・ジョンイル)前総書記の生誕80周年と4月の祖父金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年、さらに人民革命軍創建90周年など国家行事が重なったことでストレスが増え、暴飲暴食を重ねた結果、リバウンドしたものと推定していた。ストレスの証拠として、「水害視察でも弾道ミサイル発射場でも政治会議の場でも喫煙を続けていた」ことを挙げていた。

 金総書記は中毒ではないかと言われるぐらいヘビースモーカーとして知られている。金ファミリーの料理人である藤本健二氏の話では金総書記は10代半ばから親に隠れて喫煙していた。

 確かに金総書記は政権を継承した2012年からどこに行っても、煙草を離さなかった。歩きながらでも、また座っていても目の前のテーブルには必ず灰皿が置かれていた。音楽会や舞踏会でも、妊婦の李雪主(リ・ソルジュ)夫人が隣に座っていても、また元老や長老らの前であろうがおかまいなしに喫煙していた。

 それでも2016年に一度、3月中旬からから約80日間、煙草を絶ったことがあった。その頃、全国で禁煙キャンペーンが展開され、朝鮮中央テレビには「朝から煙草を吸う人は健全ではない。周りの環境にも不快感を与えるので非常識だ」と喫煙家を非難する市民のインタビューまで流されていた。しかし、金総書記は我慢できなかったのか、6月4日に新たに建設された万景台少年団野営所を視察に訪れた際、手をみると、煙草を手にしていた。以降、金総書記は二度と禁煙にチャレンジすることはなかった。

 禁煙に続き、ダイエットまで失敗したとなると、慢性的な肥満のため高血圧や通風、心筋系疾患の可能性が指摘されているだけに金総書記の健康問題は再び、西側の情報機関及びメディアの注目の的となるであろう。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

「辺真一のマル秘レポート」

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

辺真一の最近の記事