『なんでもアリ監督と個性派集団』ルヴァン杯 浦和vs川崎【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■選手層の厚さを感じたスタメン発表
いい天気でよかった。今年は、試合の日に狙いすましたように雨が降ることが多いので、ちょっと心配した。
家で大相撲中継を見終って外に出ても、まだ日は暮れてない。天気が良ければ、5月の自転車移動は一番気持ちいいくらい。アジサイは咲いてるな。
試合開始45分前くらいに南側自由席の、いつもの、だいぶ上の階段通路側の席についた。そりゃ空席は多い。きょうも、たぶん1万2~3千人くらいだろうと、予想。あとでほぼ的中なのを知る。水曜夜恒例の「大人のお客さん」がほとんど。スタンドの階段を上がる時、お客さんの顔ぶれを確認したから、確かだ。フロンターレサポは元気よかった。
水曜は アダルトナイトで ほっこりと
先発メンバーのターンオーバーは想定以上。11人全員、前の試合とかえてきてる。あの、スコルジャ監督っていうのは、変幻自在っていうのか、ちょっと「なんでもアリ」みたいなことをする人なんだな。埼スタに来るまで、「どうせルヴァンだから」とあんまり期待してなかったのは正直あったが、「総とっかえ采配」を見て、俄然、気合入って来た。
とはいうものの、メンバーをチェックしても、前の試合ときょうと見比べて、あんまり「格落ち感」はない。西川が彩艶に、興梠がカンテになっただけでなく、ショルツやホイブラーテンが岩波や犬飼になっても、「いやー、落ちたな」とはならないでしょ。知らないうちにレッズは選手層厚くなってるんだ。
11人 かえても格は 落ちてない
■個性のお祭り
期待以上っていうのは、試合が始まってからも、ずっと続いた。チーム全体にも「ルヴァンだから」感がないのだ。どうやって自分の個性をアピールして、リーグ戦の先発を勝ち取ろうかといった「向上心」がみなぎってる。開始そうそう、いきなり得点されても、見てる方はあんまり落胆はしなかった。
前半だけでも、カンテが、あるいはACL決勝で点を決めたラファエル・シルバのように、「最後の一歩」を出せる可能性のある選手なのがわかった。18分くらいの、折り返しのシュートチャンス、惜しかったね。あれ、足出せるとしたら、今のレッズで、他は無理。
高校生の早川も、受けたボールをまとめるのがうまい。「まとめ役」で伸びていったら、日本代表クラスで活躍できるかもしれない。長谷部がそうだったから。
高校生 早くもチームの まとめ役
リンセンは、カッコばっかりつけて、女性にモテない「エセ紳士」みたいだったが、キャラクターとして、そういうのもいいかな、と許そう。
いろんな個性が、それぞれに躍動している様子が、けっこう心地よかった。ただ、1点負けてたけど。
後半に入って、その躍動感があっさりと得点につながった。休み明けのモ―ベルグのパスから、やってくれそうなのになかなか結果が出なかったカンテのゴール。
「よし、きょうはこの1点でもいいや」
と少しだけ思っていたら、後半15分くらいにはこれまた休み明けの酒井投入。嬉しいね。あの、酒井の、押し引きの芸というか、攻撃参加したかと思ったら、いつの間にかしっかりDFの位置に戻ってる、あの「呼吸」が私は好きなのだ。闘莉王みたいに、人をかき分けて前に出てくるのも悪くはないが、自然体で、これ見よがしなところを見せずにチームプレーをしているところが「さすが、酒井」なのだ。
まだ本調子じゃないのか、押し引きのスピートはいつもほどじゃないとしても、あの「オウンゴールのアシスト」は、やっぱり「さすが、酒井」だったな。あんな面倒なところにクロスを上げたからこそ、うっかりのオウンゴールが生まれたのだ。
さすが酒井 オウンゴールの アシストを
楽しかったな。勝っちゃった。もう、「キャラクター祭り」みたいな。彩艶もナイスセーブ連発するし、リンセンも惜しいシュートで盛り上げてくれた。スコルジャが選手それぞれの個性を輝かせるのが得意な監督なんだな、ともわからせてくれる一戦だった。
まだまだ楽しませてくれそうな気がする。
動画:ニューヒーロー・早川!浦和レッズ川柳2023【4月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2022』(飯塚書店)が好評発売中。代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年9月、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追った『川岸咨鴻伝 コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』をリリース。11月上旬には『タブレット純のローヤルレコード聖地純礼』も発売。今年4月には、漫才協会在籍30年の浅草芸人・ビックボーイズ・なべかずおが半生を振り返る『たまらんぜ! 芸人人生七転び八転び』を出す。