【京都市西京区】人生の楽園でも紹介された田園の中の工房が作る本物そっくりのミニチュア家具が精巧すぎる
行きつけの喫茶店で紹介されたこともあり、撮影した画像を見てもまるで本物の京町家を訪問したかのように見分けがつかない、それほどまでに精巧に作られた和風家具のミニチュアを見てみたくなって、大原野にある工房を2023年9月20日に訪問しました。
広大な田園や野菜畑に囲まれた閑静な住宅街の中に工房がありました。和風ミニチュア家具「てのひら工房」の玄関前にはレウコフィルムの濃い紫色の花が鮮やかに咲いていて、周りに家庭ガーデンが広がっていました。玄関まで工房代表の畑中義明さん(75歳)が出迎えてくださいました。
玄関を入ると伏見区の料理旅館の茶室を再現した「茶室」や、「祇園の宿」「京町家・台所はしりもと」などのミニチュア作品が置いてあり、その迫力に圧倒されました。
素材のヒノキに数種類の色の木部着色剤を使い分けて塗装されている作品は、本物の邸宅の十分の一の大きさに仕上げられていると言います。部屋の中を覗いてみると調度品に至る細部まで本物そっくりです。その精巧さには目を見張るものがあります。
さらに応接間に入ると部屋中に建物や可愛い家具のミニチュアがいっぱいです。建物の部屋の中にある家具、調度品類もすべて開け閉めや引き出し、鏡なども同じ様式に作られていて、見ためだけでなくまさに10分の一の本物といえます。
元々、大手機械メーカーの設計技術者で、手先も器用でDIYなども得意な畑中さんは、若いころ、二人の娘さんへのオリジナルのおもちゃを作ってあげていたのだそう。2000年の単身赴任の時代に、家に帰った際、ストレス解消に和風を基本にしたミニチュア作りを始めたのがきっかけなのだそう。2002年、畑中さんが54歳の時に勤めていた業界に荒波が押し寄せ、退職をすることに。
当時、4年前(2019年)に他界された妻の信子さんの後押しもあって、「好きなことを本職にしよう」とミニチュア家具職人としての独立を決意。不安もいっぱいの船出でしたが、2004年には、テレビ朝日「人生の楽園」での紹介をきっかけに、その後、メディアでも多数取り上げられるようになり、当時は2年先まで予約でいっぱいの時期もあったと言います。
工房も見せていただきました。材料として手に入りやすく、加工しやすいヒノキの木片が大きさごとに並べてあります。電動工具で正確に切断し、木枠を組み上げ、木部着色剤で着色し、ニスを薄く塗っていきます。ルーペなどを使わず自身の眼で作業するところなどは見事としか言いようがありません。
畑中さんはもちろん、今でも現役です。最近は、海外の方へのお土産にとの注文もあるようで、「いつも傍らで手伝ってくれていた女房の分もまだまだがんばらなあかんな」と明るい笑顔で語ってくださいました!
和風ミニチュア家具「てのひら工房」(外部リンク)京都市西京区大原野上里紅葉町14-18 075-333-4137