ラーメンライターが格付け 1月新発売の名店監修カップ麺 こだわりはどう再現されたか?
筆者は長らくラーメンの食べ歩きをしてきたが、新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、昨年から自宅でも食べられるカップ麺にも注目をしている。麺・スープともに、開発技術の向上には驚かされることばかりだった。そこで、昨年のカップ麺の動向を、B級グルメ研究家の野島慎一郎氏に聞いてみた。
「まずは二郎系・ニンニクマシマシ系カップ麺の流行ですね。一時は売り場が黄色いカップ麺ばかりになりました。特に日清の動きが顕著でしたね。
そして、激辛ラーメンが唐辛子系から黒胡椒系にややシフトした感覚があります。夏くらいから富山ブラック系(醤油の濃い富山発祥のご当地ラーメン)や黒胡椒をガッツリ使った商品が多く売り場に並び始めました。
さらに、夏は冷やしカップ麺が注目されました。湯切りしたあとに水を入れてまた流すという、仕方ないけどちょっと面倒なスタイル。今年は変化球の冷やし系が出そうな気がします」
今回は、1月に発売された名店監修のカップ麺に注目してみたい。
店主のこだわりをどう具現化するか、その苦労が見えるのが名店カップ麺の面白さだ。
「明星 札幌らーめん信玄 コクみそ味」(220円(税別) 明星食品)
北海道の人気店「らーめん信玄」監修の味噌ラーメン。本店は石狩にあり、すすきの近くにある南6条店は地元客から観光客まで広く人気のお店である。メニューの名前が「越後」「信州」「土佐」「播磨」「尾張」「水戸」と土地の名前で提供しているのに、札幌ラーメンというのが面白い。
濃厚な味噌スープは野菜の甘みが印象的で、それがコクにも繋がっている。別添の調味油でニンニクの香りがプラスされる。麺はピロピロの油揚げ麺で、少しかためにあげるのがオススメだ。
麺 ☆☆
スープ ☆☆☆
具材 ☆☆
チャレンジ度 ☆☆☆
総合 ☆☆☆
「麺屋翔監修 香彩鶏だし塩らーめん」(220円(税別) サンヨー食品)
東京は新宿の人気店「麺屋 翔」の人気メニュー「香彩鶏だし塩らーめん」をカップラーメンで再現。
何と言っても目立つのが「丸鶏だし2倍」の文字。とにかく鶏の旨味の分厚さにこだわった一品だ。
仕上げに入れる別添の小袋が鶏油になっていて、入れると一気に鶏の香りが上がってくる。
鶏の旨みが贅沢で、とても芳醇なスープ。塩味もまろやかで、鶏だけではなくホタテやエビなど魚介も香り、複合的な美味しさになっている。縮れ麺が清湯スープをしっかり持ち上げてとても美味しい。
塩ラーメンのカップラーメンとしてはトップクラスの美味しさだ。
麺 ☆☆
スープ ☆☆☆☆☆
具材 ☆☆☆
チャレンジ度 ☆☆☆☆
総合 ☆☆☆☆☆
「全国ラーメン店マップ 博多編 博多元気一杯!!監修 博多クリーミー豚骨ラーメン」(220円(税別) エースコック)
博多の呉服町にある伝説の店「博多元気一杯!!」。
看板のないお店で、水色の小さいバケツが営業中の目印。かつては店内の写真撮影NG店だった。博多豚骨ながらクリーミーで濃厚なスープが特徴。
豚骨の香りのする真っ白なオイルが別添で付いてくる。これを入れるとかなりクリーミーで再現度の高いスープが完成。店に行ったことない人は驚くかも。
具材は極力おさえ、スープに全てを注ぎ込んだ感が凄い。細切りキクラゲがアクセントになり、ひき肉は大豆で代用していてカロリーを抑えている。この濃厚さで427kcalは凄い。
麺はかなりスープを吸うので、伸びてしまわないように少し急いで食べよう。
麺 ☆☆
スープ ☆☆☆☆☆
具材 ☆☆
チャレンジ度 ☆☆☆☆
総合 ☆☆☆☆
「中華そば処 琴平荘 中華そば」(278円(税込) ファミリーマート)
山形県鶴岡市で夏は旅館だが、冬だけラーメン屋さんをやっているという珍しいお店「琴平荘」。
10月1日から翌年5月31日までの期間営業となり、6月1日から9月30日まではお休みとなる。
焼あごの香りと旨味がしっかりとしたスープにチャーシュー2枚、ノリ2枚と嬉しいトッピング。
何と言っても素晴らしいのは麺。「生麺ゆでてうまいまま製法」という、生の麺をゆでた後乾燥させた麺。なめらかでツルツルと喉越しもよく、カップラーメンと思えない素晴らしい仕上がりだ。
まさに王道の醤油ラーメン。カロリーも325kcalと控えめで嬉しい。
麺 ☆☆☆☆☆
スープ ☆☆☆☆
具材 ☆☆☆
チャレンジ度 ☆☆☆☆
総合 ☆☆☆☆☆
まとめ
各店の力の入れどころがそれぞれで大変面白かった。
個人的に一番のオススメは「麺屋翔監修 香彩鶏だし塩らーめん」。塩の清湯ながらここまで鶏の旨味を押し出したカップ麺は今まで食べたことがなく、素晴らしい仕上がりだ。
一番尖っていたのは「博多元気一杯!!監修 博多クリーミー豚骨ラーメン」。ここまでクリーミーな豚骨スープは他にないだろう。「博多元気一杯!!」に訪れた時の衝撃がそのままカップラーメンに再現されていて驚いた。
※写真はすべて筆者による撮影
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】