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最後のピッチに向かう元Jリーガー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 2014年に中央大学を卒業し、大宮アルディージャに入団した高瀬優孝(32)が、さいたま市浦和区北浦和4-5-16 3Fに、ピラティススタジオ「BOOST」をオープンしたのは2023年9月1日のことだった。丸一年が経過し、「自分のなかでは順調だと感じています」と経営を振り返る。

 「ピラティス」とは、ドイツ人看護師だったジョセフ・H・ピラティスが、第一次大戦で負傷した兵士のリハビリにと開発したエクササイズであり、Jリーガー時代、相次ぐ故障に泣かされた高瀬は、「ケガに負けない身体作り」に着眼し、この資格を得てスタジオを開業した。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 大宮アルディージャでプロのキャリアをスタートし、ザスパクサツ群馬、ロアッソ熊本、ブラウブリッツ秋田でプレーした高瀬は、昨シーズンからは関東リーグのアヴェントゥーラ川口でプレー中だ。

 「5歳から始めたサッカーですが、今月の21日でピリオドを打ちます。午前11時に鴻巣競技場でキックオフされるゲームが、僕のラストマッチになります。良かったら、見に来て頂ければ幸甚です」

写真:ピラティススタジオ「BOOST」提供
写真:ピラティススタジオ「BOOST」提供

 現役生活を終え、ピラティスを普及させることを中心とした活動に移行する。

 「故郷で開いたスタジオですから、地域に根付いた存在でありたいと考えています。今、指導している、ある大学のサッカー選手は、『筋肉がついたことで可動域が増え、無理がきくようになった。力を入れなくても動ける』と効果を口にしてくれます。

 健康寿命を延ばすこと、運動不足の解消を目的とした年配の方々もいらっしゃいます。ピラティスをやることで、姿勢がよくなり、腰がしっかりしてくるんですよ」

写真:ピラティススタジオ「BOOST」提供
写真:ピラティススタジオ「BOOST」提供

 この8月からは、自身のトレーニング風景を動画で配信するサイトもスタートした。

 「ケガをしてから治す、というよりも、故障をしない身体を作る。あるいは、自分の肉体に関する知識を増やして、可能性を広げる。自身の身体の使える部位を最大限に引き出す。

 ピラティスを通じて、僕はそういうことを伝えていくことを、新たな目標としています。何か質問のある方は、Instagramでご連絡ください。yuko_trase24です」

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 9月21日に一つの道を歩き切った後、高瀬は新たなチャレンジのギアを入れる。Jリーガーのセカンドライフに注目だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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