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カネロが11年半ぶりに祖国のリングに上がる

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 WBA/WBC/IBF/WBOスーパーミドル級チャンピオン、サウル・"カネロ"・アルバレスが、5月6日に現WBO同級暫定王者で、過去にWBA暫定王座に就いたこともあるジョン・ライダーを相手に防衛戦を行うこととなった。

 会場は、メキシコ中部のハリスコ州グアダラハラにあるエスタディオ・アクロン。2026年に催されるサッカーW杯でも使用する予定となっている5万人収容のスタディアムだ。

写真:ロイター/アフロ

 カネロにとっては、昨年9月にGGGを判定で下した以来のファイトであり、11年半ぶりの祖国のリングとなる。前回のGGG戦で左手首を負傷し、手術を受けた統一王者はリハビリに長い時間を費やした。

 今回の一戦はCinco de Mayo(5月5日)の翌日であり、メキシコのファンはスターチャンプ凱旋を心待ちにしているだろう。Cinco de Mayoは、1862年にフランス軍を撃退したことを祝う祭日だが、カネロの挑戦者はフランス人ではなく英国人となった。

 カネロは記者会見で語った。

 「手術後、いつ復帰できるかわからない状態だったので、5月に試合ができることを本当に嬉しく思っている。しかも、私の出身地であるハリスコでのファイト。願ってもないよ。ジョン・ライダーは実力者だから、対戦が楽しみだ」

写真:ロイター/アフロ

 ロンドン出身のWBO暫定王者は、サウスポーの34歳。2019年にカラム・スミスが保持していたWBAスーパーミドル級タイトルに挑んだ際、0-2で判定負けを喫した。が、物議を醸すジャッジでもあった。その後、WBO暫定王座決定戦を含めて4連勝し、カネロ戦のために敵地に乗り込む。

 ライダーも言った。

 「カネロが偉大な選手の一人であることは間違いありませんし、彼がボクシング界で成し遂げた多くの事柄に、私は心から敬意を表します。

 しかし、休暇でメキシコを訪れる訳ではありません。5月6日は彼の故郷、グアダラハラで勝利を挙げ、英国にベルトを持ち帰ります」

写真:ロイター/アフロ

 カネロが最後にメキシコで戦ったのは、2011年11月26日。獲得したベルトの数はもちろん、富も栄光も十二分に手にした。一方、ドーピングで話題を撒いた時期もある。メキシコのファンは、どのように統一王者を迎えるだろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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