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バルサはネイマールを再獲得できるのか?ラウタロの優先度と圧迫されるクラブ財政。

森田泰史スポーツライター
バルサ復帰報道が絶えないネイマール(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

バルセロナとネイマールの「物語」は終わらない。昨年夏にネイマール獲得に向けて動いていたバルセロナだが、パリ・サンジェルマンとの交渉をまとめられず。最終的には残留が決まった。ただ、リオネル・メッシが復帰を望んでいるネイマールの再獲得を、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は諦めていないようだ。

バルセロナは現在、ラウタロ・マルティネスの獲得を最優先にしながら行動している。その一方で、ネイマールとパリ・サンジェルマンの状況を注視しており、再獲得の可能性を追求している。パリ・サンジェルマンが属するフランスのリーグアンは、新型コロナウィルスの影響でシーズン中止が決まった。首位を走っていたパリ・サンジェルマンにはリーグ優勝のタイトルが与えられたものの、クラブ財政への打撃は避けられない。その損失は、2億ユーロ(約240億円)に上る可能性があるといわれている。

そこで、パリ・サンジェルマンは選手たちのサラリーカットを検討しているようだ。これに対して、異を唱えているのがネイマールを含めた複数選手だ。

■絶好のチャンス

バルセロナとしては、パリ・サンジェルマンとの関係性が悪化したネイマールを狙うのに、絶好のチャンスとなる。

バルセロナは、この夏に向けて、FIFAの移籍条項の第17条(クラブあるいは選手が一定の保護期間が終了した場合に一方的に契約を解消できる)に照らし合わせて、ネイマールを獲得できるかどうか模索していた。

「昨年の夏、ネイマールには値段が付けられていなかった。パリ・サンジェルマンが5億ユーロ(約600億円)を要求するというのも可能だったんだ」とは、ネイマールの元代理人であるワグネル・リベイロの弁である。

「なぜかと言えば、長期契約を残していたから。だが、この夏は違う。FIFAの規定、彼の獲得に支払われた契約解除金2億2200万ユーロの割合を顧みれば、彼の価格は1億6400万ユーロになる」

■1億6400万ユーロの行方

つまり、移籍金1億6400万ユーロ(約188億円)を支払うことができるのならば、バルセロナのネイマール獲得は現実味を帯びる。

だが、バルセロナも新型コロナウィルスの影響でクラブ財政が圧迫されている。ERTE(レイオフ/一時解雇)の適用に加え、選手たちのサラリーを70%をカットするなど、苦しい台所事情がある。リーガエスパニョーラは再開に向けて動き始めたが、バルセロナが当初の予算額を確保できるかは疑わしい。

そして、バルセロナはラウタロの獲得にプライオリティを置いている。ラウタロの契約解除金は1億1100万ユーロ(約126億円)である。

ラウタロとネイマールの獲得に、総額2億7500万ユーロ(約316億円)を突っ込むというのは考え難い。バルセロナには選手譲渡で移籍金を引き下げ、ラウタロとネイマールのオペレーションを成立させる思惑があるようだが...。その答えは、この夏のマーケットが終わるまで待たなければいけない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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