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「数値化より見た目測定」女優キム・ユリムはいかにしてカリスマ美ホディになったか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
キム・ユリム(写真提供:SPOMAX/MUSCLE MANIA KOREA)

日本と同じく身体を鍛える女性が増えている韓国で、ひとりの女優が注目を集めている。

キム・ユリムがその人だ。

舞台やミュージカルで活躍しているキム・ユリムは、昨年10月に行われた韓国最高峰のフィットネス大会『マッスルマニア』に出場。フィットネス部門1位、ミズ・ビキニ部門2位、モデル部門3位と3種目で入賞を果たした。

この受賞をきっかけに、その美ボディが注目されるようになり、メディアでは女性たちの憧れとして紹介されている。「筋トレ女子のカリスマ」とも称されているほどだ。

(参考記事:女優にしてマッスル美女のキム・ユリムが魅せた超絶美ボディ【PHOTO】

そんなキム・ユリムは、どのようにして現在の美ボディを作り上げたのか。ソウルで独占インタビューを行い、ボディメイクの秘訣を訊いた。

“上位1%の神ボディ”より独特

「『マッスルマニア』に向けて、2カ月半ぐらいトレーニングを行いました」と切り出したキム・ユリム。

運動と食事管理を並行して短期間に身体をつくりあげたというが、さっそく彼女のボディメイク法について質問すると、その期間は想像を絶して大変だったと振り返る。

「ダンスや演劇、ミュージカルなど、さまざまな舞台を経験してきましたが、こんなに大変なバックステージは初めてでした。たった15~30秒のステージのために、食べる物からはじまり、生活のすべてを変えて準備するのは簡単なことではありません。

もちろん、その数秒のために血のにじむ努力を重ねるのがフィットネスの魅力の一つでもありますが、実際にやってみると本当につらかったです」

特に、体脂肪を落とすのには苦労したという。

以前インタビューした“9頭身マッスル美女”で韓国メディアで「2018年最高の美ボディ女神」と紹介されたチョン・ヘビンも、「OL時代に10kgぐらい太ってしまってトレーニングを始めた」と話していたが、キム・ユリムももともとは体脂肪の多い体質で、まずは身体を絞ることに集中したそうだ。

「食事管理もきつかったですが、それよりも有酸素運動が大変でした。ランニングマシーンやステップアップなどを地道に続けるのがあまりにも退屈で(笑)。

それで代わりの有酸素運動として始めたのが、ダンスでした。もともとダンス経験者だからかもしれませんが、音楽を流しながら鏡を見てダンスをすると楽しくなるんです。おかげで有酸素運動のつらさも解消できました」

有酸素運動としてダンスを取り入れるというのは、韓国マッスル美女の中でも珍しい。

“上位1%の神ボディ”とされるフィットネスタレントのイェ・ジョンファが「オフィスでできるトレーニング」の動画を公開していたことはあったが、キム・ユリムの運動法はかなり独特といえるだろう。

(参考記事:「上位1%の神ボディ」に「国宝級リンゴ尻」。韓国3大“美女スポテイナー”を一挙紹介!!【PHOTO】

「やっぱりボディメイクは、楽しくやらないと続かないと思うんです。面倒くさい、退屈と思ってやってもつらいだけですから。

私も、やりたくないと思ったらジムに行くこと自体がストレスになってしまうから、そうならないようにいろいろな方法を考えました。自分に合った方法を探すことが大切だと思います」

“7大マッスル美女”も行う「ヌン・ボディ」

もっとも、体脂肪率などの数字にこだわっていたわけではないという。「数字よりも、実際の見た目が大切だと思うんです」と話す。

「最近は、筋肉量や水分量など、本当に細かく数値を測るじゃないですか。でも私は、それよりも実際の見た目の方が重要だと思っています。韓国には目で身体を測定する“ヌン(目)・ボディ”という言葉もありますが、私もボディラインが他人の目にどう見えるかを意識してトレーニングをしています」

それは多くのマッスル美女が行っていることでもある。イ・ヨンファやレイヤンなど“7大マッスル美女”たちが、SNSで「#ヌン・ボディ」とハッシュタグを付けて、全身写真を投稿することも珍しくないのだ。

(参考記事:選ばれし7人の“マッスル美女”。時代が求め大衆が憧れるミューズ(女神)たち

ただ、キム・ユリムは筋肉の見た目だけではなく、パフォーマンスや演出にも力を入れたという。

“世界レベルの美ボディ女神”とされるユン・ダヨンも、以前行ったインタビューで「似合う衣装を研究した」といっていたが、キム・ユリムも相当努力したと語る。

「私は初心者なので、身体だけで勝てるとは思いませんでした。『マッスルマニア』ではパフォーマンスや表情なども審査されるので、舞台経験を生かしてそこに力を注ごうと考えたんです。

衣装も動きやすいものがいいと思って、背中に付ける羽を布で作りました。ウォーキングやポージング、ジェスチャー、パフォーマンスも映像に撮って何度も確認しました。ジムにいる時間と同じぐらい練習していたと思います」

そんな努力の末に『マッスルマニア』では3種目入賞を果たしたのだから、キム・ユリムが立てた対策は間違っていなかったのだろう。

今ではその美ボディに注目が集まり、一躍人気者となったが、だからこそキム・ユリムに訊いてみたくなったのは、韓国のフィットネスブームのことだ。

彼女が脚光を浴びたのもフィットネスブームが背景にあってこそのことだろうが、身体を鍛える女性が増えている状況を彼女はどう見ているのか。次回はそのあたりの彼女の本音について紹介したい。(つづく)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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