ドジャースが先発投手のグラスナウを獲得したのはわかるが、延長契約はハイリスク!?
ロサンゼルス・ドジャースは、先発投手と外野手と交換に、先発投手と外野手を手に入れた。26歳のライアン・ペピオと25歳のジョニー・デルーカをタンパベイ・レイズへ放出し、30歳のタイラー・グラスナウと29歳のマニュエル・マーゴ（と400万ドル）を獲得した。
そして、グラスナウと５年１億3500万ドル（2024～28年）の延長契約を交わした。もともと決まっていた2024年の年俸2500万ドル――２年3035万ドル（2023～24年）の契約２年目――に、４年１億1000万ドル（2025～28年）を追加した、という見方もできる。ESPNのジェフ・パッサンによると、新たな契約の最終年となる2028年は、年俸3000万ドルの球団オプションだが、ドジャースがそれを破棄した場合、グラスナウは年俸2000万ドルの選手オプションを行使できるという。５年１億3500万ドルは、2028年の年俸が2000万ドルだった場合の総額だ。
【追記：12/21】その後のいくつかの報道によると、契約の総額は、１億3656万2500ドルらしい。
ドジャースがグラスナウを獲得した理由は、よくわかる。来シーズンのローテーションは、グラスナウが加わっても、まだ３枠しか確定していない。ウォーカー・ビューラーとボビー・ミラーに、グラスナウだ。
ただ、グラスナウは、怪我が多い。これまでの８シーズンのうち、100イニングを超えたのは、2018年と2013年の２度。それも、111.2イニングと120.0イニングだ。今シーズンは、左の脇腹を痛め、開幕から５月下旬まで故障者リストに入っていた。また、８月上旬には、腰痛により、登板間隔が半月近く空いた。
一方、マウンドに上がれば、投球はエース級だ。ここ３シーズンの214.2イニングに記録した、奪三振率12.37と与四球率2.77、防御率3.10とFIP2.86は、このスパンに200イニング以上の182人中、それぞれ、２位と80位、23位と４位に位置する（イニングは167位）。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。
ちなみに、大谷は、ここ３シーズンに428.1イニング（50位）を投げ、奪三振率11.39（９位）と与四球率3.00（113位）、防御率2.84（８位）とFIP3.23（19位）を記録した。
ドジャースにとって、グラスナウと交わした延長契約のリスクは低くないが、ハイリターンとなる可能性もある。
例えば、５シーズンで計100試合の先発マウンドに上がり、これまでのような投球をすれば、５年１億3500万ドルの契約に見合うのではないだろうか。今シーズンは、先発21登板で奪三振率12.15と与四球率2.78、防御率3.53とFIP2.91を記録した。
なお、グラスナウとともにドジャースが獲得したマーゴは、来シーズンが２年1900万ドルの契約２年目。2025年は、年俸1200万ドル（解約金200万ドル）の球団オプションだ。
ここ３シーズンは、313試合で打率.263と出塁率.316、18本塁打と29盗塁、OPS.694なので、レギュラーには物足りない。けれども、左投手には、このスパンに、打率.290と出塁率.348、OPS.757を記録している。ドジャースでは、第４の外野手として、左打者のジェイソン・ヘイワードと併用されることになりそうだ。
ドジャースのローテーションについては、グラスナウが加わる前に、こちらで書いた。
